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第19回 遊休不動産シェアハウス活用術その3

政権交代後初の参院選も終わり、民主党の大敗によってふたたび「ねじれ国会」の時代が訪れました。しかも現政権の場合、与党は衆院再可決の条件である「衆院で3分の2以上の議席」を持っておらず、参院否決→衆院再可決、という伝家の宝刀も使えません。9月に予定されている内閣改造まで現政権が続くものかどうか、いよいよ予断を許さない状況となって参りました。

話は飛びますが、参院選明けの7月12日、(財)東日本不動産流通機構東日本レインズにおける6月の市場動向を発表しました。これによりますと、同月の首都圏中古マンション成約件数は2,396件(前年同月比▲15.3%)と、2ヶ月連続で前年同月を下回り、2ケタ減となっています。とりわけ、東京都は1,052件(同▲21.8%)と大幅減となり、神奈川県が658件(同▲13.2%)、千葉県で340件(同▲12.4%)とそれぞれ2ケタ減となり、埼玉県の346件(同2.7%増)を除いてかなり厳しい現状となっています。ちなみに、中古戸建て住宅の成約件数も900件(同▲8.4%)となり、中古住宅市場全体で成約数の落ち込みが目立ちます。

一方、中古マンションの成約単価は1平米当たり38万5,100円(同1.4%増)と7ヵ月連続で前年同月比上昇。さらに、平均価格は2,537万円(同2.3%増)、平均専有面積は65.89平米(同0.9%増)となっており、相場の上昇と反比例して成約件数が減少してきていることがわかります。すなわち、高くて広い物件が売れ、安くて狭い物件の多くが売れ残っているというのが現状です。この市場トレンドは、中古ビルや遊休不動産にも当てはまりそうです。

昨今、オフィス不況といわれ、空室率の上昇ということがさかんに指摘されています。ご存じの方も多いと思いますが、この「空室率」の算出に使われるデータは基準階床面積300平米以上の大型ビル(現実には、同3,000平米以上の大規模ビルの中から200棟前後をピックアップし、そこから算出しているところもあるようです)。つまり、このデータには、我が国のオフィスビルの8割以上を占めているとされる、いわゆる「ペンシルビル」の現状はまったく反映されていないのです。

個人オーナーによるペンシルビルの場合、最上階にオーナー自身が自宅を構え、下層階をそれぞれテナントに貸している雑居ビルがほとんどです。しかし、築年数が経過し、設備の古いペンシルビルの多くは、空室率が60〜70%以上というところも珍しくありません。長引く不況のため、テナントである中小・零細企業は倒産、あるいは賃料負担を軽減するために退去し、次のテナントは一向に決まらず、月々の経費ばかりがかさんでいく。しかも、売ってしまいたくても買い手が見つからない……そんな、出口のない悪循環に陥っている個人オーナーさんも多いのではないでしょうか。

少々古い話になりますが、都心部を中心にオフィスビルの過剰供給が起こった2003年問題のとき、中小ビルオーナーの一部に「オフィスビルの住宅転用」を検討する動きがありました。当時行われたアンケートでは約6割が「検討したこともない」と一蹴していましたが、さて、現在であればどうでしょうか? 所有ビルの設備の陳腐化はいっそう進んでいるでしょうし、オフィス市況は一時改善に向かった後、以前にも増して悪化しつつあります。こうした背景から、条件さえ合えば「住宅転用」を前向きに検討したいとお考えのオーナーさんは増えているものと思われます。では、その条件、あるいは住宅転用のネックとなっているものは何か? ふたたび、当時のアンケート調査を見てみると、「オフィステナントが付き難くなった場合」「住宅転用に対する規制緩和や優遇制度が創設された場合」「オフィスより住宅の賃料の方が高くなった場合」などが条件であり、「改築等の建設費関係」「都市計画法・建築基準法等の法令関係」「テナント等の立ち退き補償関係」といったところがネックになっていました。これらの多くは、現在でも状況はそれほど変わっていません。しかし、当時は一般にほとんど知られていなかった概念で、現在では選択肢のひとつとして当たり前になっているものがあります。それがすなわち、「シェアハウス化」という選択肢なのです。

次回も引き続き、遊休不動産のシェアハウス化の注意点について考えてみたいと思います。


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