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第27回 シェアハウスを取り巻く環境その5

国土交通省は11月12日、2010年9月期における「土地取引動向調査」の結果を発表しました。同省では年2回、3月期と9月期に「上場企業および資本金10億円以上の非上場企業」を対象とした全国の土地取引動向に関する調査を行っていますが、今回の調査では、リーマン・ショックの直撃した2年前(2008年9月期)からドン底が続いていた市況が、わずかながら改善の兆しを見せているようです。たとえば、東京23区内に本社を置いている企業のうち、現在の土地取引状況が「活発である」と回答した企業は2.5%(3月期比0.5%増)だったのに対し、「不活発である」と回答した企業は55.9%(同13.3%減)。トータルバランスから見れば依然としてきわめて悪い状況が続いていますが、少なくとも「活発」が微増、「不活発」が減少しているのは悪い傾向ではないと言うことができそうです。また、一年後の取引状況予測としては「不活発」が41.9%(同3.6%減)に対して「活発」との回答は5.6%(同0.8%減)で、低水準であるとの見解を共有しつつも、まだまだ今後どう転ぶかわからないという先行き不透明感が企業の間に蔓延してきているようです。

さて、土地取引が低迷するなか、なぜか住宅供給市場は活発化しているようです。東京都が11月5日に発表した「2010年第3四半期(7〜9月)住宅着工統計」によると、同期の新設住宅着工数は3万1,080戸(前年同期比25.5%増)で、2期連続の増加となりました。利用関係別では、持家・貸家・分譲住宅のすべてで増加を示しており、特に分譲マンションは8,106戸(同90.0%増)と大幅な増加となっていることがわかります。この新築供給ラッシュの背景には、「都心でなければマンションは売れない」というマンションデベロッパーたちの思考があるようです。地価の安い都下・郊外で広大な敷地に建てられた大規模マンションには見向きもせず、猫の額のような都心の空き地に建てられた小型マンションに申し込みが殺到する、というのはいかにもありがちな話。しかし、毎年大量に供給される新築マンションの8〜9割が完売せず、未入居のまま新古(竣工1年超)、中古(竣工後2年以上)となっていくのが当たり前という現状は、どう考えても健全な市場とはいえないでしょう。その意味からも、おそらく今のマンション供給ラッシュは遠からず頭打ちになるものと予測されます。

その結果、市場にあふれた膨大な中古マンションは今、どういう状況を迎えているでしょうか。11月10日に(財)東日本不動産流通機構が発表した東日本レインズにおける「2010年10月度Market Watchによると、首都圏における中古マンションの新規登録件数は7ヶ月連続で前年同月比増加となっており、売却希望者が増え続けていることがわかります。同機構ではこの理由として、中古マンションの成約価格が10ヶ月連続増加していることを指摘していますが、その一方で成約件数自体は6ヶ月連続減少しているという事実もあります。つまり、「売れる物件は少々高値でも売れる」「売れない物件はいくら安くても売れない」というのが、新築・中古を問わず、マンションの置かれた現状のようです。

このことは、これから収益不動産を取得しようとお考えのサラリーマン大家さんにとって、何を意味するでしょうか。分譲でさえ買い手のつかないマンションは、賃貸ではなおさら借り手がつかないものです。安いからといってうっかり飛びつくと、貸すに貸せず、売るに売れない、とんでもない不採算物件を掴まされる羽目にもなりかねません。かといって、割高な都心の物件を購入するのなら、二重三重のリスクヘッジを考えておく必要があります。こうして、空室リスクの分散や、競合物件に対する競争力強化の手法として、シェアハウスを選択する人が増え始めているのです。

次回もまたこのテーマで続けていきたいと思います。
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