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第145回 原点回帰とシェアハウス

2026年2月8日に実施された衆議院総選挙は、「60年ぶりの通常国会冒頭解散」「戦後最短となるわずか16日間の選挙戦」「36年ぶりの?雪の2月?投開票」という奇襲戦法が功を奏したものか、高市自民党の歴史的圧勝となりました。おかしなもので、この結果が出たとたん、高市政権への批判的言辞はおろか、ごく当たり前の疑問や感想としての意見もめっきり見かけなくなりました。せいぜい選挙に敗れた野党代表が言い訳のようにコメントする程度で、それすらあっという間に炎上します。おそらく、ほんのわずかでも高市政権に異論を唱えようものなら、たちまち「非国民」のレッテルを貼られ、理不尽な暴力にさらされるという恐怖感のために皆口を噤んでいるのでしょう。こうした異常心理は、独裁国家や全体主義国家の国民が陥りがちなもの。つまり、高市首相本人の意志とは無関係に、不特定多数の?名もなき高市支持者?たちが寄ってたかって彼女を独裁者に祭り上げようとしている状態です。しかし、もし彼女がその気になって本当の独裁者に成りおおせたとしたら、それはそれで悲惨な話。日本では従来、長期政権を維持した為政者は引退後も派閥の領袖となって隠然たる権勢を保ち続けますが……例えばお隣の韓国では、歴代大統領は引退後には必ずと言ってよいほど逮捕され、裁判で有罪となっています。やはり、国民が自国の最高権力者を公然と批判できる程度の「言論の自由」が保障されている社会のほうが、国民にとっても為政者にとっても健全な姿なのではないでしょうか。

さて、今月も直近の話題から目についたものをいくつかピックアップしていきましょう。まずは2月17日、不動産投資と収益物件の情報サイト『健美家』に「シェアハウス投資の落とし穴:95%のシェアハウスが建築基準法の要件を満たしていない現実」( https://www.kenbiya.com/ar/ns/buy_sell/trouble/9828.html )という記事が掲載されました。これは、(株)FESCH一級建築士事務所を主宰する不動産投資・事業系不動産専門建築家の安井慎治氏の執筆した記事になります。安井氏は一級建築士と宅建士の資格も持つ専門家であるだけに、非常にわかりやすくポイントをまとめており、これは是非リンク先で全文を読まれることをおすすめします。とりわけ、「95%」という数値の意味とその根拠、また、当コラムでも2013年当時何度か取り上げたものの、その後はほとんど言及することのなかった「寄宿舎ルール」の適用上の問題についても簡潔に指摘しており、短いながらなかなか読み応えのある内容になっています。

続いて、2月10日付の『東洋経済オンライン』に不動産コンサルタントの沖有人氏が寄稿した「東京23区で暮らせる年収はいくら?新築マンション1億超え・家賃も上がる時代の生存戦略」( https://toyokeizai.net/articles/-/934013 )という記事。こちらは「生存戦略」というご大層な文言がやや論旨にそぐわない感もありますが、データとしてはかなり信憑性の高い、参考にしやすい試算結果が掲載されています。以下、抜粋して引用します。
「(前略)いったい、いくら年収があれば東京で暮らすことができるのだろうか?(中略)
まずは賃貸住宅から考えよう。最も面積が小さいのは風呂なし四畳半のアパートかもしれないが、そもそも戸数が少なすぎる。そうなると、面積と家賃の観点で最下限はシェアハウスだろう。面積は7?で、トイレ・浴室・キッチンは共用になる。都区部のシェアハウスの相場は約6万円程度だ。これは水道光熱費(単身者なら1万円は超える)を含むことが多いので、家賃相当は実質5万円程度といったところだ。
通常のアパートであれば、敷金・礼金・前払い家賃・保証料などがかかるので、初期費用は数カ月分に及ぶ。それがシェアハウスでは数万円で、最短で翌日入居できるケースも多い。布団はレンタルできることが多く、家財道具がない人にとっては最初に検討する選択肢の1つとなりそうだ。
手軽に入居しやすい一方で、平均入居期間は約1年と短い。東京で暮らし始めるにあたり家財道具がない人にはよいが、徐々に自分のライフスタイルが確立してくると、転居するのは時間の問題かもしれない。
Z世代はシェアエコノミーを当たり前のものとしており、これに合致した『コリビング』という賃貸住宅も増えてきた。自分の部屋は13?ほどだが、利用頻度が週1回程度の設備は共用部にまとめられている。例えば、キッチン、洗濯機・乾燥機、ジム、ワークラウンジ、大浴場などである。その分、個人で家具・家電を購入する必要はなく、初期費用は下がる。ベッドや机は専有部にあるので、ミニマリスト(所有物の最小限主義者)には向いているかもしれない。(後略)」
元記事ではこの後、さらにシミュレーションが続いていきますが、シェアハウスに関してはひとまずここまで。沖氏のシェアハウス観はやや偏っているような印象も受けますが、金額についてはおおむね実態に近いものと思われます。ただし、記事の主旨からここではあくまで「東京23区」のシェアハウスに限定しているため、地方都市や、東京市部など首都圏近郊ではおのずと違ってくるものと思われます。

次にご紹介するのは、1月23日付の『タウンニュース 横須賀・三浦版』に掲載された「三浦市社協 独り身守るシェア生活 高齢者専用の共同住宅」( https://www.townnews.co.jp/0501/2026/01/23/821704.html )という記事。以下、抜粋して引用いたします。
「複数名が共同で生活する高齢者向けの『シェアハウス』がこのほど三浦市南下浦町菊名に開所した。三浦市社会福祉協議会が開設したもので、社協が主体となり同様の取り組みを手掛ける事例は全国で初めて。
 『たすけあいのいえ「みうらん家」』と名付けられたシェアハウス。かつて介護施設として利用されていた建物を改装したもので、4・5畳を中心とした7つの個室のほか、入居者で共有するキッチンや風呂、テレビが設置されたリビングルームなどがある。
 開所の背景にあるのは、社会問題になっている一人暮らしの高齢者の増加。福祉施設への入所を希望しても、親族との関係が希薄などの理由で身元保証人が見つからなければ、受け入れを拒否される現状がある。
 こうしたなか、同社協は成年後見中核機関プロジェクトチームを昨年1月に結成。人生の最期に向けて自分らしく生きる準備をする『終活』の支援事業を検討する組織で、その一環として一人暮らしの高齢者の住まいに関する課題解決に向けて取り組んできた。
 同社協では高齢者の住居用施設を保有しておらず、『頼れる家族がいない高齢者から住まいの相談を受けても、解決できるツールがなかった』と語る同チームリーダーの森祐貴さん。安否確認のために地域を巡回する体制は確立されても、孤独死の場に接するたびに悔しさを感じていたという。
 そこで昨夏、複数人で生活をともにするシェアハウスの設置案が浮上。約半年かけて整備を進めてきた。同社協の杉山実会長は、『小さな施設だが、これをスタートとしてより大きく育てていきたい』と話した。
■入居者交流の企画も
 施設の外には共同で野菜を育てる畑地があるほか、リビングでは将棋や囲碁を楽しめる。社協職員による健康相談なども随時実施していく予定だという。森さんは、『入居者同士が交流し、生きがいをもって生活できる仕掛けをつくっていきたい』と話している。(後略)」
ちなみに、社会福祉協議会(社協)とは、「民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織」のこと。これは全国社会福祉協議会(全社協)のホームページの記載ですが、何だかわかったようなわからないような、要領を得ない文章になっています。高齢者向けシェアハウスにしても、引用した範囲では対象者があまり明確ではないように読めますが、どうやら「身元保証人不要」ということが最大の特徴となっているようです。

このほか、興味深いプレスリリースを何本かご紹介していきます。

「元治療院をシェアハウスへ再生― 癒しの場が、島の未来を語る『集いの場』に ―
『離島引越し便』が、上五島で対話型イベントを開催、TURNS掲載」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000053945.html
これはアイランデクス(株)が 2026年2月13日に発信したリリース。タイトルにもあるように、「かつての治療院の建物」という物件の来歴と、「離島専門の引越サービス」という運営企業の性格が特徴的です。

「年間7.6万人の『孤独死』と『孤育て』の連鎖を断つ。 元社員寮・団地を再生し、シニアと子育て家族が“血縁を超えて”支え合う『多世代共生型コンセプトシェアハウス』事業を本格展開〜20棟の実績を持つ彩ファクトリーが、遊休不動産を『現代の長屋』へバリューアップ〜」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000027381.html
これは(株)彩ファクトリーが2026年2月12日に発信したリリース。「シニア・子育て家族歓迎の多世代共生型シェアハウス」の開発を強化するため、「企業の元社員寮、社宅、団地などの遊休不動産」を保有するオーナーを募集することが目的のようです。

「【健康経営を導入したい企業様へ】温泉付きシェアハウス『湯治ぐらし』の企業契約プラン開始〜大分県別府市・鉄輪温泉(かんなわおんせん)エリアで『お試し移住』『二拠点生活』『シェア保養所』の場として提供〜」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000148854.html
こちらは湯治ぐらし(株)が2026年2月6日に発信しています。「温泉付きシェアハウス」というのもなかなかユニークですが、「個人契約のみならず、企業契約プランも開始」という告知が今回のプレスリリースの主な目的だったようです。

こうして改めて「直近の話題」に注目してみると、特に?新しい取り組み?というのは見当たらず、単に?レアケースの、珍しい?事例ばかり目につくようになっているのではないかと思えてきます。その意味で、「シェアハウスにはもう、新しい可能性はないのだろうか……?」などと、ふと不安を覚えることもあります。
しかし――考えてみれば、「戸建て」「アパート・マンション」などの住まいは、別に新しい取り組みやアイデアがなくても話題になりますし、むしろ新奇なアイデアと物件としての人気は必ずしも両立しないように思います。すなわち、ことさら「目新しいアイデア」に頼る必要はなく(無論、新しいアイデアそのものを否定するわけではありません)、物件の魅力だけで十分集客・運営が成立するようになること。シェアハウスとは、本来そういう暮らしを追求する住まい方であったはずです。いわば、「原点回帰」というところでしょうか。今回のコラムでご紹介した安井慎治氏や沖有人氏の執筆した文章を読み返してみて、シェアハウスという住まい方の原点に立ち返ることの重要性を思い出した気がします。
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