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シェアハウス 能登半島地震 建設業倒産 地震保険 インバウンド回復

第120回 震災とシェアハウス2024

2024年最初の更新になります。皆様、本年も当コラムを何卒よろしくお願い申し上げます。
今年は元日早々、能登半島で最大震度7を観測する巨大地震が発生……およそ考えられる限り最悪の年明けを迎えることになりました。石川県によれば、地震発生から2週間が過ぎた1月15日現在、県内で確認された被害は死者221人(うち13人は災害関連死の疑い)、安否不明者22人となっており、住宅被害は1万5000棟以上と見られ、特に被害が甚大だった珠洲市や輪島市では現在も被害の全容がつかめていない状況です。体育館や公民館などの「1次避難所」には、1万9000人余りの被災者が身を寄せ、いつ終わるとも知れない避難生活を続けております。一方、ホテルや旅館などを活用した「2次避難所」にいる高齢者らは14日の時点で780人となっており、今後、生活環境が整った「2次避難所」への移行をどのように進めていくかが課題となっています。なお、この季節の能登地方は降雪量も多く、現地では連日厳しい冷え込みが続いているとのこと。さらに、同じ14日の時点で石川県全域の5万5000戸以上で断水が続いており、避難生活の環境悪化は感染症の流行や持病の悪化などを招き、「災害関連死」の増加が懸念されています。その14日には、岸田文雄首相による被災地の訪問が行われましたが……支持率ドン底に喘ぐ首相の薄っぺらな政治パフォーマンスとしか見えないのが、何とも辛いところです。
今回の震災で被災された皆様の一日も早い日常の回復と生活の再建をお祈りするとともに、不幸にして亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

さて、当コラムでは本年もシェアハウスを中心に不動産関連業界のさまざまな話題をご紹介して参ります。まずは、(株)不動産流通研究所が運営する不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト『R.E.port』に1月10日付で掲載された「不動協・FRKが合同新年会『GXの取り組み加速』」( https://www.re-port.net/article/news/0000074611/ )というニュース。以下、全文を引用いたします。
「(一社)不動産協会、(一社)不動産流通経営協会は10日、オークラ東京(東京都港区)で新年賀詞交歓会を共同で開催した。会場には会員企業経営者のほか、関係団体役員や衆参国会議員が集まった。
 1月1日に発生した令和6年能登半島地震の犠牲者に対して黙とうを行なったのち、主催者を代表して不動協理事長の吉田淳一氏が挨拶。『2023年は、コロナ禍からの脱却が図られ、社会・経済活動の正常化が進められてきた。我が国の経済は緩やかな回復基調を続けているが、物価上昇や世界経済の下振れリスクなどにより、先行きは予断を許していない。加えて少子高齢化など構造的な課題にも直面している』などと現状を分析。そうした中で、GXやDXを加速させることにより、『社会課題の解決を経済成長のエンジンにすることが大切になる。民間投資を拡大させ、我が国の競争力を強化することが重要だ』などと述べた。協会活動については、『50年カーボンニュートラル実現に向け、官民連携によるGXの取り組みを加速することで、持続的成長と経済合理性、社会課題の解決等を実現していく。そのためにZEH・ZEBの促進や中高層建築の木造化に取り組んでいきたい』などと語った。
 その後挨拶したFRK理事長の太田陽一氏は『令和6年度の税制改正では、土地にかかる固定資産税等の負担調整措置の延長や、住宅ローン減税において子育て世代への支援措置を講じていただいた。住宅取得環境が厳しくなる中で、不動産流通市場を下支えする内容だ』などと評価。『23年の不動産流通市場は、各種政策の後押しを受け、東日本レインズにおける首都圏既存マンション価格がおおむね好調を維持した。本年は、内需のけん引役として、既存住宅の流通活性化に着実に取り組んでいく』などと述べた。
 来賓として、国土交通副大臣・参議院議員の堂故茂氏が震災対応に専念している斉藤鉄夫国土交通大臣に代わって挨拶。能登半島地震の被災地である富山県選出の同氏は、『国土交通省としても、被災地の早期復旧・復興に向けて全力で対応していく。不動産業界の皆さんにも、人々が安心して暮らせる住まいと平穏な暮らしを取り戻すことができるよう、ご協力いただきたい』などと被災地復興への協力を求めた」
「官民連携によるGXの取り組みを加速」とか「ZEH・ZEBの促進」とか……毎年、新年の決意表明の場などではやたら目に付くものの、その後はさっぱり見かけなくなるフレーズの典型のような気がします。少なくとも、政府閣僚関係者は決まり文句のように口にしますが、年度中に具体的な施策を提案したり、進捗度合いの中間報告を受けたりしているのかどうか、甚だ疑問に感じます。無論、中には熱心に取り組んでおられる方もいらっしゃるかもしれませんが……いずれにせよ、これらの「次代に向けた新しい取り組み」が注目されるのは世の中が平穏無事な時だけのことで、今回のような災害発生時には、当然のように後回しにされることでしょう。

同じ1月10日、(株)帝国データバンク(TOB)は「『建設業』倒産動向調査(2023年)」( https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240103.pdf )を発表しました。これによると、建設業の倒産件数は前年比38.8%増で8年ぶりに1,600件を超えたとのこと。詳細はリンク先に譲りますが、概要についてはTOBホームページより引用いたします。
「はじめに
2023年に発生した建設業者の倒産件数は1,671件となり、前年比+38.8%と急増した。増加率が30%を超えるのは2000年以降では初めてで、リーマン・ショック期(2008年は3,446件で前年比+17.3%)にも見られなかった高い水準。
8年ぶりの1,600件超えでコロナ禍前の2019年(1,414件)を上回り、2014年以降の10年間では2番目の多さとなった。コロナ禍で政策的に抑制されていた倒産の揺り戻しと見られる一方、急激な業者数の減少は、進行中の案件の停滞や先送りを招く可能性もあり、地域経済への影響も懸念される。
負債総額は1,856億7,800万円で、前年比+52.5%の大幅増となった。大手パチンコチェーン『ガイア』のグループ会社で、同社の店舗建設を担っていたMG建設(負債214億5,000万円)とガイア・ビルド(同155億1,600万円)の負債が全体を押し上げたが、この2社を除くと1件あたりの平均負債額は8,900万円と小規模業者の倒産が中心となっている。
調査結果
1 前年比38.8%増は、リーマン・ショック期を上回り2000年以降で最も大きな増加率
2 建設コストの上昇が背景、2024年問題で今後さらに倒産増加の可能性も
3 『北海道』は前年比210%増、『九州』は過去10年で最多」
要するに、地方の中小工務店等の倒産が多かったということで、TOBではその原因については「深刻な『人手不足』『資材高』が背景」にあると分析しているようです。

続いて、1月6日付けで(株)ファーストロジックが発表した「地震保険に関するアンケート」調査結果( https://www.firstlogic.co.jp/wp-content/uploads/2024/01/80168d9cfd05e621602f0d09507e9f11.pdf )の話題。たまたま発表がこういうタイミングになりましたが、同アンケート調査は約半年前の2023年6月18〜22日に、同社が運営する「楽待」のユーザーである不動産オーナーを対象に実施されたもの(有効回答者数143人)です。これによると、地震保険加入に対する考えについての質問には、「必ず加入する」が55.9%、「できるだけ加入する」が24.5%となり、加入意向の回答が8割を超えました。加入する理由は、「地震が多いから」がもっとも多く、「過去の地震で多額の修理代が発生し、地震保険に助けられたから」という声もありました。逆に、「できるだけ加入しない」は11.2%、「加入しない」も8.4%あり、その理由としては「費用対効果が合わない」「受け取り時の調査の基準が厳しそう」などの意見がありました。これはあくまで「平常時」のアンケートですから、おそらく今のタイミングで実施されれば、2割弱いる「加入しない」意向のユーザーの多くが「加入する」へと回答を変えるのではないかと思われます。

最後にもう一つ、これは昨年の話題になりますが、ぜひご紹介しておきたいと思います。2023年12月15日付で『全国賃貸住宅新聞』に掲載された「シェアハウス、供給増加傾向」( https://www.zenchin.com/news/content-1500.php )という記事。有料記事であり、全文読むには有料会員登録が必要になりますが、「さわり」の部分だけは無料で公開されています。とりあえず、無料公開されている部分だけ引用してみましょう。
「2023年のシェアハウス市場は、インバウンド需要の回復で好転している。運営棟数は22年比で増加傾向にある。一方で、新型コロナウイルスの収束で入居率が高まっているものの、集客への不安はまだぬぐえないようだ」
まず、ここまでがリードになります。サラッと書いていますが、「インバウンド需要の回復」というのは見逃せないキーワードです。ちなみに、どのくらいの回復度合いなのか、ざっと調べてみると――「日本政府観光局によると、2023年10月に日本を訪れた外国人旅行客は、コロナ禍以前の2019年10月比で100.8%にのぼりました。 8月は85.6%、9月は96.1%と回復を見せ、10月にはコロナ禍後初めて2019年同月を超えています」ということです。同記事では、本文の見出しに「外国人需要復調で入居率回復」と銘打ち、小見出しの1番目に「インバウンド再開」として、以下のように続きます。
「シェアハウスの集客においては、海外からの反響が回復している。
 一般社団法人日本シェアハウス連盟(東京都渋谷区)が1日に発表した「シェアハウス市場調査2023年度版」によると、全国の物件数は5808棟で22年度比201棟の増加となった。1棟あたりの全国平均ベッド数は10.5床。中・小規模の物件が多くを占める。
 同調査は、5月末時点でシェアハウスのポータルサイトや運営事業者のウェブサイト、SNS上に掲載されている物件数を収集したもの。新規開設以外にも、集客を再開した物件や新たにSNSで集客を開始した物件も含まれる。調査期間は2〜5月。対象は、1カ月以上の入居を条件とした物件に限定している。
 高橋圭一代表理事は『3月以降、海外からの問い合わせが急増し、7月ごろまでその状況が続いたという運営事業者の声を多く聞く』と話す。
 一方で、国内在住の入居者の回復は、コロナ下(※原文ママ)前の19年と比較し7〜8割程度だ。インバウンド需要の回復だけでは、安定性のある集客への不安が残る。光熱費の高騰を踏まえると、運営事業者側は家賃の引き上げを検討したいところだが、市場全体での大幅な家賃上昇はみられないという。シェアハウス事業の積極展開は控え、現状維持とする傾向があるとした」
これに続く小見出しの2番目に「都内は飽和状態か」と読めますが、これ以降は有料会員登録しなければ読めないようになっています。続きをお読みになりたい方はご自身の判断でリンク先へどうぞ。

今回の能登半島地震の被災者等支援については、すでに多くの企業・団体が義援金の寄付等を公表しておりますが、私たちも一個人として、できる範囲で支援の気持ちを表したいと考えております。これ以上の災害の収束と、被災地の一日も早い復興を願ってやみません。
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