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第126回 市場動向とシェアハウス2024

7月18日の東京外国為替市場の円相場は一時、1ドル=155円台半ばを付けました。およそ1ヶ月ぶりとなる円高水準であり、長らく続いていた「一向に歯止めのかからない円安傾向」に、ようやく歯止めがかかった、と言えるかもしれません。この原因としては、17日の米国・トランプ前(次期?)大統領の発言や、同日の日本政府・河野デジタル相の発言、さらにFRB(連邦準備制度理事会)の高官であるウォラー理事の発言などが考えられますが、翌19日のニューヨーク市場ではふたたび1ドル=157円台半ばとなります。また、河野デジタル相に対しては、鈴木財務相が「発言は慎重に」と苦言を呈するなど、政府内でも市場介入について今なお一枚岩ではないことが察せられます。
一方、日経平均株価の値動きは、7月11日に一時史上最高値となる4万2,000円台を付けたものの、その後は続落し、19日の終値で4万円そこそこに落ち着いています。一般に、「円安が進行すれば日経平均は上昇し、逆に円高に振れると日経平均が下落する傾向がある」と言われる通りの展開です。バブル期の最高値(1989年12月末の3万9,000円台)を大きく上回る日経平均4万円前後で推移している昨今の状況について、しばしば「バブル期の再来」もしくは「バブル期を超えた」などの声も一部では聞かれますが……。当時と大きく違うのが「個人消費」と「経済格差」。昨今は、「賃上げが物価上昇に追いつかない……」と指摘される諸物価の高騰や将来への不安などから個人消費の抑制が進んでいる上に、まだ「一億総中流」の名残りが残っていたバブル期とは比較にならないほど貧富の差が隔絶した超・格差社会が到来しています。大多数の国民にとって「実感なきバブル期超え」であることは、どうやら間違いないようです。

さて、今月も直近のニュースから目に付いた話題をピックアップして参りましょう。まずは、シェアハウス大家さんにとって円相場よりも身近な「相場」である不動産価格の市場動向についての話題です。
(公財)東日本不動産流通機構は7月18日、「首都圏不動産流通市場の動向(2024年04〜06月)」 ( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_202404-06.pdf )を発表しました。これによると、首都圏中古(既存)マンション成約件数は9,355件(前年同期比6.3%増)となり、4四半期連続で前年同期を上回りました。地域別では、東京都が同9.6%増、埼玉県が同8.5%増、千葉県が同3.2%増となっており、神奈川県のみ同0.7%減となっています。また、1平米当たりの平均成約単価は77万5,000円(同8.9%上昇)で、16四半期連続で上昇。そして平均成約価格は4,940万円(同8.4%上昇)と、2012年10〜12月期から47四半期連続で上昇しています。これは、「2012年末から続く今回の景気循環が、過去と比べても長期化している」という内閣府の見解とも一致しているようです。
ちなみに、この1週間前の7月10日に発表された「月例速報Market Watch サマリーレポート2024年6月度」( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202406_summary.pdf )によると、首都圏中古マンション成約数は13ヶ月連続で前年同月を上回っており、1平米当たりの平均成約単価は50ヶ月連続、平均成約価格は49ヶ月連続で前年同月を上回っていました。

参考までに、同じ7月10日に(公財)不動産流通推進センターが公表した「指定流通機構の物件動向(令和6年6月)」( https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/reins/bukken/bukken2406.pdf )について見てみると、全国の既存(中古)マンションの成約数は10ヶ月連続で前年同月を上回っており、1平米当たりの平均成約単価、平均成約価格ともに49ヶ月連続で前年同月を上回っていました。すなわち、これは首都圏に限った傾向ではなく、全国的に共通する傾向であることがわかります。一般に、不動産市況は「経済の遅行指標」と言われるものの1つですが、これらの数値の推移を見ていくと、現在の市況は(間にコロナ禍を挟みながらも)ほぼ一貫して上昇傾向にあった、ということになります。しかし――直近半年余りの景気動向は、明らかにそれ以前とは次元の違うものが感じられます。円安にしても、日経平均にしても、平成−令和の30数年間絶えてなかった水準に達しており、その一方で、庶民の生活水準は逆に低下傾向にあることが指摘されています。シェアハウス大家さんは、不動産オーナーという意味では「富裕層」に属すると見なされる場合も多いでしょうが、自分自身をそのように実感されている方は、案外少ないかもしれません。

次に、7月11日付で『FNNプライムオンライン』の「ニッポン全国 注目スポット」のコーナーに掲載されたUMKテレビ宮崎の番組紹介について。「都会と田舎の交差点 移住者を迎えるシェアハウス『でぇらの家』自給自足的な暮らしの聖地を目指して」( https://www.fnn.jp/articles/-/722049#goog_rewarded )というタイトルが冠せられています。以下、全文を引用します。
「宮崎・椎葉村の山奥に、都会からの移住者を迎えるシェアハウスがある。“自給自足な暮らしに挑戦したい”という想いを胸に、助け合いの精神で人や村の温かさに触れる。
■約10人が暮らしを体験 新たな住人も
宮崎市から車を走らせること3時間。椎葉村の中心部から、さらに30分ほど山奥へ進んだ場所に川の口集落がある。21世帯・50人が暮らすこの集落内にあるのがシェアハウス『でぇらの家』だ。
シェアハウスの管理人・村上健太さんは、愛媛県出身の43歳。東京で長く働いた後、7年前に地域おこし協力隊として椎葉村にやって来た。シェアハウス『でぇらの家』は、15年以上空き家だった古民家を村上さんと集落の人などが約半年間かけて改修し、2022年4月に完成した。
『でぇら』という聞きなじみのない響きは、この家の名前・家号である『平』が訛ったものである。村上さんは、『でぇらの家を「都会と田舎の交差点」にしたい』と話す。
村上健太さん:都会から来た人と元々田舎に住んでいる人が交わる場所っていうニュアンスで、観光というかちょっと来て1泊、2泊していくとか。日帰りで体験していくっていうのよりも、もう少し長い時間で暮らしてみることができる場所があるといいのではないかということで作った。
これまでに東京や神奈川、東北から訪れた移住者など、約10人がこの家での暮らしを体験したという。
ただシェアハウスするよりも、何かコンセプトが固まっていた方が人も集まりやすいのもあるという。2024年4月にも新たな住人がやって来た。シェアメイトの楓花さんはこの春大学を卒業し、神奈川・横浜市から椎葉村に移住してきた。
楓花さんは『椎葉村に来た一番の目的は、このでぇらで自給的な暮らしを挑戦したいと思ったから。村上さんは師匠のような存在』と語る。
■こだわり満載の“自給自足”生活
この日は田植えを行った。こだわりは農薬や肥料を使わないこと、そして『手植え』だ。
手植えが初めてだという楓花さんは、『やってみたいと思ってここには来たが、周りはみんな機械でやっているみたいなので、現実ではやっぱり大変なことなのかなと思いながら…楽しい』と話す。
村上健太さん:昔からある技術を絶やしたくない。実際やってみないと分からないこともあると思うので。
でぇらの家では、特別な日のご飯は釜土で炊く。楓花さんはこの家に来て2回目の挑戦だが、釜土で炊く際は水の量や火加減の調節が難しいようだ。『やっぱこうなっちゃう。けど悪くはない』と、具だくさんの豚汁とともにいただいた。
午後からも田植えは続いた。楓花さんに話を聞いてみると『達成感がすごく半端ない』と語った。
日が落ちるとお風呂の準備が始まる。『でぇらの家』では、薪でお風呂を沸かす。天候によって変わるものの、お風呂が沸くまでに1時間半から2時間ほどかかることもあるという。
村上健太さん:好き好んで不便になろうとしている訳ではないので、そのために工夫をしていくというか、自分で工夫できる余地があるというのが好きというか。
ここでの暮らしに楓花さんは、『いざ住むってなったらすごく心細くなったりしたが、集落の皆さんがすごくあたたかくて、それで気持ちも安心したし、山が見える暮らしやっぱりいいなと思う。椎葉が好き』と話す。
■村上さんの理想の姿は…
村上さんは『まだ100%自分の理想を実現している訳ではないけど、ゆくゆくは自給自足的な暮らしをしたい人にとっての聖地みたいになると面白いかなと思っている』と語る。
この村に代々伝わる助け合いの精神。都会から来た人が助け合って暮らす都会と田舎の交差点が椎葉の山奥にあった」(2024年7月11日 木曜 午後3:00更新/テレビ宮崎)
掲載元の『FNNプライムオンライン』は、FNN(=Fuji News Network)の冠名からもわかるようにフジサンケイグループ系列のニュースサイトですが、テレビ宮崎はFNNだけでなく、ANN(朝日ニュース根とワーク/テレビ朝日・『朝日新聞』等)およびNNN(日本ニュースネットワーク/日本テレビ・『読売新聞』等)にも加盟している「3系列クロスネット局」という位置づけになっています。当コラムでこれまで何度か指摘してきましたが、『産経新聞』ではもっぱらシェアハウスの市場動向など経済的な面に焦点を当て、『読売新聞』では主にシェアハウスの弱者救済・支援など社会的な面に着目することが多いのに対して、『朝日新聞』ではそれぞれのシェアハウスが進めている新たな取り組みや独自のコンセプトなどを掘り下げて取り上げることが知られています。そこから考えると、このニュースに対するテレビ宮崎のアプローチは加盟3系列のうち、特にANNの影響が強く感じられるように思います。いずれにせよ、シェアハウスに対してはおおむねプラス思考で捉えている系列局ですから、ニュースの取り扱いにしても必然的に好意的なものになっていることがわかります。

最後に、シェアハウス関連のプレスリリースを1本ご紹介しておきましょう。これは、「多様性が認められるフェアな社会に対応した二人用物件BUDDY<β>(バディベータ)の運用を開始〜都内で最大級の物件数を誇るTOKYO<β>〜」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000103282.html )というタイトルで、東京都内に1,200棟以上のシェアアパートを保有するTOKYO<β>(トーキョーベータ)の展開する新規事業で、つまるところ「同性カップル向け物件」ということのようです。TOKYO<β>や、運営会社の三好不動産については過去に何度か取り上げたことがありますが、毎度ユニークな事業展開で話題を振りまいています。必ずしもすべてが成功しているわけではないでしょうが、なかなかのアイデアマンであると同時に、チャレンジ精神旺盛な事業者であることは間違いないと思います。

このように、シェアハウス関連の新規事業案件では、一方で当事者の志向や希望による分離や差別化の需要「も」あるに違いありません。ですが、決してそれだけでなく、時代の変遷に伴う事業方針の変化として、「いま現在の」市場動向に即した各企業の対応についても無視することはできない……のではないでしょうか。
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