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シェアハウス 不動産市況 高齢者向けシェアハウス 空き家問題 生活困窮者 クラウドファンディング

第139回 不動産市況とシェアハウス2025夏

7月20日の参院選で自民党が大敗してまもなく、米トランプ政権との相互関税について日米が合意
に達したと報じられました。石破総理の説明はざっくりしたものでしたが、多くの国民にとって
はひさびさの明るい話題と受け止められたはずです。ところが、いざトランプ関税が発動する8月
7日の直前になって、突然「総理が国民に説明した日米合意の内容とは齟齬があるのではないか?」
という疑念が持ち上がることになりました。この件については、交渉に当たった赤澤経済再生
担当相が「敢えて」共同文書を作成しなかったことも混乱に拍車をかけることになりましたが……
赤澤再生相は8月15日に「関税合意についての日米の齟齬はあくまで事務的なものであり、早期実施
に向けての首脳会談は不要だ」と説明しました。ひとまずはその言葉を信用するしかありませんが……。
それはそれとして、このトランプ関税が日本経済に与える影響についても、影響を被る範囲や経済的
損失の大小について、経済の専門家を称するいろいろな先生がたがそれぞれ違った見解を口にされる
ので、はたして何を信じていいものやら……?
いずれにしても、一小市民の手に負えるようなことではありませんから、成り行きを冷静に見守りつつ、
適時しかるべき対応をとっていくしかないでしょう。気持ちを切り替えて、今月も直近の話題について
ご紹介して参りましょう。まずは、8月15日付で(一社)Masterpieceが発信した「【新規プロジェクト】
虐待などの困難な状況にある若者の『住居』を支えるためのクラウドファンディングを開始――目標金額
300万円。虐待などのさまざまな理由により親・家族を頼れない若者の住まいをサポート」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000145252.html )というプレスリリースから紹介
していきましょう。といっても、この見出しを読んだだけでだいたいの内容はおわかりになると思います。
要は、身内に頼れない困窮した若年層のためにシェアハウスを用意するため、クラウドファンディング
で資金を集めようという試みです。目標金額300万円とはさすがに少なすぎるように感じますが、もと
もとMasterpieceでは20室ほどのシェアハウス、ステップハウス等を運営しているらしく、何もゼロから
物件を探して新しくシェアハウスをつくろうということではないようです。募集するのは、入居者の当面
の生活を援助するための資金とのこと。いずれにせよ、自分の力ではシェアハウスに入居することもでき
ない生活困窮者が支援対象ということになります。シェアハウス大家さんにしてみれば、「気の毒とは
思うが、自分とは関係ない……」というあたりが本音かもしれませんが……。ただ、少子化に加え、物価
高騰のあおりを受けて生活が困窮し、いわゆる子どもの貧困化が進んでいる現状を考えると、将来的に
「シェアハウスにも住めない」という若者がどんどん増えていくことも十分にあり得ます。現時点では
もっとも多いと思われる「20代〜30代の単身者」をメインターゲットとしたシェアハウス運営は、
ビジネスモデルとして限界が近づいているのかもしれません。

ここで、最近の不動産市況の動向に目を向けてみましょう。折しも、8月14日付で(株)東京カンテイ
が2025年7月の「三大都市圏の分譲マンション賃料月別推移」
https://www.kantei.ne.jp/report/rent/7645/ )を公表しています。これは、分譲マンションが賃貸
された場合の募集賃料を1平米当たりの単価に換算して算出したものです。これによれば、首都圏の平均
賃料は3,858円(前月比0.5%上昇)と、8ヶ月連続で上昇しています。都県別では、東京都が4,656円
(同1.0%上昇)で同じく8ヶ月連続の上昇。これに対して、神奈川県は同0.5%下落、埼玉県と千葉県は
それぞれ同2.3%下落しており、東京都への一極集中ぶりが顕著となっています。なお、東京カンテイ
では、埼玉県と千葉県の下落幅が目立つ理由について「築浅物件の減少が影響したもの」と分析しています。
一方、近畿圏は同0.6%下落、中部圏は同0.5%下落となっており、ここでも首都圏(=東京都)への一極
集中が際立っていることがわかります。逆に言えば、東京都以外ではあまり極端な値動きは見られない
ということで、分譲マンションの賃料相場はおおむね一定の水準で安定傾向にあるようです。

次に、分譲マンションの売買相場を見てみましょう。8月12日付で(公財)不動産流通推進センターが発表
した「指定流通機構の物件動向(令和7年7月)」( https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/reins/bukken/bukken2507.pdf
によると、既存マンションの平均成約価格は全国で4,141万円(前年同月比5.75%上昇)で、9ヶ月連続
上昇となりました。なお、地域別に見ていくと、上昇したのは全国10地域中で北海道、首都圏、近畿圏、
九州・沖縄の4地域で、残る6地域では下落しています。1平米当たりの平均単価は64万400円(同8.21%
上昇)で、これで62ヶ月連続上昇となりました。これに対して、平均専有面積は8ヶ月連続マイナス、築
年数は15ヶ月連続プラスとなり、「古くて狭い」物件の価格が「どんどん高くなっている」という現状が
わかります。なお、成約件数は9ヶ月連続プラスなので、こうした現状でも既存マンションの買い手は増え
続けているようです。
また、同じ8月12日付で(公財)東日本不動産流通機構が発表した2025年7月の首都圏不動産流通市場動向
「月例速報Market Watch サマリーレポート2025年7月度」
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202507_summary.pdf )によると、同月の首都圏中古
(既存)マンション成約件数はやはり9ヶ月連続で増加しており、都県別に見ても15.3〜32.3%とすべての
都県で大幅増加となっています。1平米当たりの平均成約単価は85万4,700円(前年同月比8.2%上昇)とな
り、こちらは前出の「指定流通機構の物件動向」よりも1ヶ月長い63ヶ月連続上昇。なお、平均成約価格は
9ヶ月連続上昇、平均専有面積はマイナスで平均築年数はプラスという傾向も「指定流通機構の物件動向」
と同じです。調査対象の母数が違うので細かい数値には多少の差異が出ていますが、同じ「首都圏の既存
マンション」の状況ですから、これはむしろ当然の結果でしょう。そして、この「月例速報Market Watch」
独自のデータとしては、新規登録件数こそ3ヶ月ぶりに減少しているものの、在庫件数は15ヶ月ぶりに増加
に転じています。
一般に「不動産価格は景気の遅行指標」と言われている通り、現時点では「高くて、狭くて、古い」物件
であっても、不動産に「買い手がつく」状況にあることは間違いありません。ただし、買い手は必ずしも
「住み手」とイコールではなく、もし買い手が「貸し手」に転じた場合、高額で購入した物件を相場以上に
「安く貸す」ことは考えにくいでしょう。従って、首都圏、それも東京都を中心に考えた時、分譲マン
ション(引用したデータは既存マンションのみですが、新築マンションがさらに高騰していることは言う
までもありません)を賃貸した場合の賃料相場の上昇傾向は、今後も当面の間続くことが予測されます。
そして、これらの既存マンションの少なくとも一部がシェアハウス化されることになれば、賃料上昇の
影響はシェアハウスにも及ぶことになります。その結果、「シェアハウスにも住めない」生活困窮者が
ますます増加することになる……というのは、決して悲観的過ぎる未来予想図とは言い切れないでしょう。

その一方で、住み手のつかない空き家物件を抱えているオーナー層もさまざまな「困りごと」を抱えて
います。これも同じく8月12日付で、空き家解決サービス「アキサポ」を運営する(株)ジェクトワンが
発表した「空き家トラブル・管理リスクに関する調査」結果( https://www.akisapo.jp/wp-content/uploads/2025/08/%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%94%A8%E3%80%90%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%80%91%E3%80%90%E3%82%A2%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%83%9D%E7%A9%BA%E3%81%8D%E5%AE%B6%E7%B7%8F%E7%A0%94%E3%80%91%E3%80%8C%E7%A9%BA%E3%81%8D%E5%AE%B6%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%80%8D_%E7%A9%BA%E3%81%8D%E5%AE%B6%E6%89%80%E6%9C%89%E8%80%85%E3%81%AE%E7%B4%844%E4%BA%BA%E3%81%AB1%E4%BA%BA%E3%81%8C%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB%E7%B5%8C%E9%A8%93%E3%81%82%E3%82%8A%EF%BC%81.pdf )を発表しました。これは7月9・10日の2日間、日本全国で空き家を個人で所有している計350人を対象にインター
ネット調査を実施した結果をまとめたものです。詳しい内容はリンク先をご参照いただくとして、同社のまとめ
によれば「空き家所有者全体の8割以上が何らかの困りごとを実際に経験していると回答しており、空き家を“所
有しているだけ”でも大きな負担となり得る現実が浮かび上がっています」とのこと。具体的には、固定資産税
や管理維持費用、解体費用・リフォーム費用などの経済的負担はもちろん、住まいが離れていれば現地までの移
動や管理の手間も大きな負担となります。それ故か、所有している空き家が「価値ある資産か? 負債か?」と
の問いに対しては、「どちらかというと負債になっている」「負債になっている」との回答が4割に達したという
ことです。

ちなみに、東京都は8月23日、「東京都地域別空き家活用セミナー」( https://akiya-katsuyo-seminar.net/
を開催します。時間は13:00〜15:00、会場は東京都日野市の「日野市東部会館」。定員30名(先着順)で、参加
費は無料ですが、事前申し込みが必要とのことです。同セミナーでは、空き家を地域交流の場やシェアハウスと
して活用している事例を紹介するほか、パネルディスカッション、質疑応答および交流会を実施すると言いま
す。興味がおありの方は上記リンク先から手続きできます。

前回の当コラムで紹介した「高齢者向けシェアハウスを国が整備する」との方針を受けて、俄かに高齢者向けシ
ェアハウスへの注目が高まっています。それはそれで良いことには違いありませんが……貸し手側の都合だけで
言えば、入居したらできるだけ長期間住んでくれて、健康面にも不安材料は少なく、なおかつ収入も安定してい
る“若い入居者”だけを選んで住んでもらったほうが絶対にいいはずです。そのほうが管理運営していく上で
「楽」ですし、賃料を取りっぱぐれる不安も少ないわけですから。高齢者や、経済的に困窮している若年層を対
象とするのは、普通に考えて「リスクが高い」と思ってしまいますが……逆に、そうした人びとの入居を積極的
に受け入れることこそが、シェアハウス大家さんとして生き残れるか否かの分かれ目になるのかもしれません。
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