10月4日に投開票が行われた自民党総裁選は、高市早苗氏が3回目の挑戦で新総裁に選出されました。普通ならこれで、「日本国初の女性総理大臣誕生!」と華々しい話題で盛り上がるところですが……総裁選から1週間と経たない10月10日、公明党が自民党との連立政権からの離脱を表明。これにより、臨時国会での首相指名選挙を含めて、何やら雲行きが怪しくなってきました。高市総裁は野党各党のうち日本維新の会の吉村洋文代表に接近を図り、公明党に代わる連立政権のパートナーに取り込もうと画策しているようですが、果たして結果は吉と出るか凶と出るか――。その一方で、10月15日現在の東京株式市場における日経平均株価は4万8000円台の高値で推移しており、国内外で高市総理大臣誕生への期待が高まっています。政界と財界それぞれの思惑を乗せて、次期政権の行方はどうなるものか、まだまだ目が離せない状況が続きそうです。
……さて、そんな先行きの不透明な中、今月も直近の気になる話題をいくつかご紹介していきたいと思います。まずは、10月7日夕方、福岡県の地上波テレビ局である『RKB毎日放送』で報道された「『ここに住んでいる子たちは全員”家族”』子供や若者が暮らすシェアハウスが誕生 福岡・久留米市」(
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/rkb/region/rkb-2215358 )というニュース。情報元がテレビ番組のため、上記リンク先は、NTTドコモが提供するスマートフォン向けのポータルサイト「dmenu」のまとめ記事になります。記事としては少々読みにくいものになっていますが、以下、一部抜粋して引用いたします。
「様々な家庭の事情で家に帰ることが難しい若者が短期間生活するシェアハウスが福岡県久留米市にオープンしました。(中略)
■1人の時間が子供たちにも必要
福岡県久留米市の戸建て住宅。ここは、様々な家庭の事情で家に帰ることが難しい子供や学生など若者が短期間寝泊まりして暮らすシェアハウス『ウウチ』です。大変な時でも『ウチに帰ろう』と言える場所にという思いが込められています。
運営するのは、シングルマザーなど様々な境遇の子育て世帯を支援する久留米市の団体『じじっか』です。(中略)
『親同士でけんかしたり親と子でけんかしたりとかいろいろある中で、一回自分の1人の時間が子供たちにも必要でその環境を提供するというか作り出す必要があったのかなと思っていて』
■『いろんな人とコミュニケーションをとれたりするのがすごく楽しい』
『ここが自分の部屋です』
20歳の男子大学生は父親が病に倒れるなどして、実家での暮らしが困難になり先月、『ウウチ』にやってきました。
部屋にはベッドや照明器具が備えられていてすぐに生活ができるようになっています。(中略)
『みんなでくつろぎながら雑談をしたりとかいろんな人とコミュニケーションをとれたりするのがすごく楽しいと思います』
■築80年の空き家をDIY
このシェアハウス、元々は築80年の空き家でした。
『ウウチ』で暮らす若者やじじっかを利用している子供たちが職人たちと一緒に壁を作ったり色を塗り直したりしてきました。(中略)
『自分が作った家に住むというのはなかなかない、ありがたい機会かなと思います』
こうしてできた家は木の香りがする温かみのある内装に。
ガラスなど元の家のものも残し、懐かしさと新しさが融合した空間となりました。(中略)
■同じ屋根の下 暮らす男性は
今年7月にプレオープンし、今月から本格的に動き始めた『ウウチ』には、現在3人が暮らしています。
年齢も育ってきた環境もバラバラですが、同じ屋根の下で過ごす中で特別な感情が生まれているようです。(中略)
『窮屈というか、だるいなみたいな明日の仕事のことを考えてだるいなと思う時もある。そういう時に「ご飯食べにいこっか」って連れ出してくれたりとか、気持ち的にはリフレッシュできます。助かります。家族に近い何かがあると思います』(中略)
『ここに住んでいる子たちは全員”家族”。彼ら自身がどう自分で自分を成長させていけるのかを考えられる場所になればいいなと思います』
様々な事情を抱える子供たちが一息ついて暮らせる場所に。
人とつながりながら生き方を見つめる新たな居場所『ウウチ』には、きょうも温かな明かりが灯っています」
(『RKB毎日放送』10/7 18:02)
どうも、こうして文章だけで紹介すると、いかにもローカルな「地元のトピック」という感じで、情報としてはかなり薄味になってしまいますが……。少々気になったのは、上記の「ウウチ」に暮らす3人の年齢が19歳・20歳・21歳と、いずれも法的には成人(18歳以上)に達しているにも関わらず、運営者である「じじっか」のスタッフは「子供たち」と呼んでいること。もちろん、そう呼ぶのは自由ですが、もともと「じじっか」がいわゆる「子ども食堂」を運営する生活支援団体であったためか、シェアハウスの入居者に対しても同じようなスタンスで接しているのではないか――と想像してしまいます。これはこれで社会的意義のある事業だとは思いますが、成人年齢に達した若者たちに対する「自立支援」はどのように行っているのか? また、シェアハウス経営の採算性はどのように担保しているのか? そのあたりの言及が一切ないため、ニュースとしてはいささか物足りないものに感じられると思います。とはいえ、まだスタートしたばかりの事業ということですから、長い目で見守っていくしかないでしょう。
次に、健美家株式会社の運営する「不動産投資と収益物件の情報サイト『健美家』」に2025年10月7日から10日まで全4回で掲載された「不動産投資コラム」についてご紹介したいと思います。同コラムのシリーズタイトルは「大家対談 KAKI×DX@母ちゃんさん」。すなわち、「KAKI」氏と「DX@母ちゃん」氏という、2人のシェアハウス大家さんによる対談記事です。全4回の各サブタイトルおよびリンク先は以下の通り。
■高利回りのカギは「好立地×デザイン性」。表参道から始まったKAKIさんの不動産投資【第1回】(
https://www.kenbiya.com/ar/cl/taidan/tc-348/348.html )
■広尾で20%、恵比寿で12%、KAKIさんが都心で高利回りを実現できる理由【第2回】(
https://www.kenbiya.com/ar/cl/taidan/tc-348/349.html )
■ワインバーの入るジブリ風戸建に変身した高円寺の元廃墟物件【第3回】(
https://www.kenbiya.com/ar/cl/taidan/tc-348/350.html )
■2024年に恵比寿の新築RCで利回り12%を実現できた理由【最終回】(
https://www.kenbiya.com/ar/cl/taidan/tc-348/351.html )
無料記事でもあり、変に内容を抜粋・引用するよりも、ぜひリンク先で原文をお読みになることをおススメします。一定以上の成功を収めている先達による生々しい実体験は、悩めるシェアハウス大家さんにとって、きっと何らかのヒントを与えてくれると思います。
続いてもう1本、株式会社AlbaLinkが10月3日付で発表した「空き家をシェアハウスや民泊にすることへの抵抗感に関する意識調査」(
https://albalink.co.jp/realestate/vacant-houses-into-share-houses/ )というプレスリリースについて。これは全国の10代〜60代以上の男女を対象として2025年9月30日に実施された同社の自社調査であり、インターネットによる任意回答方式で500人(女性345人/男性155人)から有効回答を得てまとめたもの。同社の運営する「訳あり物件買取ナビ」というサイトで公開されています。
同リリースではまず、「空き家の活用方法として注目されているのがシェアハウスや民泊。相続した空き家を活用し、シェアハウスや民泊を運営してみたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
ただシェアハウスや民泊についてはトラブルも報告されていることから、抵抗感を抱く人がいるのも事実です」という導入文から始まり、次に以下の概要(調査結果サマリー)を列記しています。各項目の具体的な集計内容は上記リンク先を参照していただくとして、ここでは概要部分のみ要約して引用することにします。
「【調査結果サマリー】
・空き家をシェアハウスや民泊にすることに抵抗がある人は81.2%
(シェアハウスや民泊については、「違法な施設」「管理の行き届いていない施設」「利用者のマナーが悪く、近所迷惑になっている施設」などがメディアで取り上げられることも。
もちろん適切に運営されている施設もありますが、シェアハウスや民泊自体がまだ新しい施設形態であり、実際に施設を見たことがない人も少なくないでしょう。そのためネガティブなイメージが先行し、抵抗感をもつようになった人も多いと推測できます)
・空き家をシェアハウスや民泊にすることに抵抗がある理由は『騒音トラブルが起こる』
(理由の上位は『騒音トラブルが起こる(40.9%)』『治安が悪化する(36.7%)』『近隣のマナーが悪化する(21.9%)』。
複数の項目を挙げた人も多く、空き家をシェアハウスや民泊にすることに対しては、多様な不安・抵抗感があるとわかりました。
とくに、静かさや生活マナーなど現在の生活環境が乱されるのではないかという不安が色濃く表れています)
・空き家をシェアハウスや民泊にすることに抵抗がない理由は『空き家のままよりもいい』
(理由の上位は『空き家のままより安心(33.0%)』『地域に活気が出る(22.3%)』『空き家を有効利用できる(21.3%)』。
『空き家をシェアハウスや民泊にすることに抵抗がない』と答えた人の多くは、空き家がシェアハウスや民泊として活用されることによるメリットに注目していました。
空き家のままであることも、防犯面・防災面での不安要素となるため、人の手が入って活用されるほうがポジティブだと考えるのですね)
・空き家をシェアハウスや民泊にする場合に安心できる条件は『防犯対策を行う』
(理由の上位は「『防犯対策を行う(36.6%)』『利用ルールを周知徹底する(28.6%)』『行政がチェックする(23.0%)』『利用者を審査する(18.8%)』。
防犯対策や利用者の審査といった、近隣住民の安全への配慮が重視されているとわかりました。また、利用ルールの徹底や騒音対策などは、マナー違反によるトラブルを防ぐ仕組みづくりです。
シェアハウスや民泊が適切に運営され、近隣住民の生活にストレスを与えるようなトラブルがなければ、受け入れられる人も多いとわかりました)」
回答者の年齢層・性別等の偏りもあってか、8割超が抵抗を感じているとの結果になりましたが、それでも「空き家のままよりは……」と考える層が一定以上いて、さらにその中には具体的な対策についても考慮しているということは、前向きに評価してもいいのではないでしょうか。また、行政の立場から「空き家対策にはシェアハウス」と判で押したような意見が出てくるのと違って、「抵抗がある」側の本音を細かくヒアリングしたアンケート調査はこれまでに類例がほとんどなく、貴重なデータになっていると思います。惜しむらくは、「シェアハウス」と「民泊」を一緒くたにしたアンケートであることですが、それでも個々の回答を見ていくと「シェアハウスはまだしも、民泊は……」といった声もあり、民泊に比べればシェアハウスへの抵抗は少なくなってきているのかもしれません。そう考えると、シェアハウス大家さんにとって「空き家の利活用」という市場は、追い風とまではいきませんが、逆風は多少なりとも和らいできているのではないでしょうか。