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シェアハウス 高市自民 イラン戦争 震災15年 復興 人を集める取り組み 住まいに対する価値観

第146回 環境の変化とシェアハウス

2026年2月28日、アメリカ・イスラエル連合軍の空爆から始まったいわゆる“イラン戦争”は、早期終結を口にする米トランプ大統領の見通しとは裏腹に長期化の様相を呈してきました。ホルムズ海峡がイラン海軍の機雷により封鎖され、原油輸出が事実上ストップしたことを受けて、すでに日本国内でもガソリン価格が高騰しつつあり、国民生活に重大な影響が出始めています。一部では“悪質な便乗値上げ”と、この期に及んで事態を軽視する声もあるようですが、仮に当初はそういう傾向もあったにせよ、戦争が長期化すれば国内に十分な原油の備蓄があろうはずもなく、早期に枯渇することは目に見えています。まさしく危機的な状況下にあって、高市首相のリーダーシップがこれまで以上に求められているのですが……どうも、ここへきて高市首相は体調不良を口実に“逃げ”の姿勢が顕著になってきたようです。それを如実に示しているのが、3月12日に首相官邸で開催された中東諸国大使との会合である「イフタール」へのドタキャン。さらに、16日の参院予算委員会では、19日に予定される日米首脳会談で「イラン攻撃の国際法上の法的評価を議論するつもりはない」とまで述べています。2月下旬のいわゆる“ギフト問題”や“サナエトークン問題”など、高市首相の支持率急落は今に始まったことではありませんが、つい先日の衆院選で歴史的圧勝を果たしたばかりの高市政権も、このままいけば事実上の三日天下に終わることはほとんど不可避と思われます。

さて――高市政権もしくは後継の自民党政権がどのような形で事態の収束を図ることになるかは依然不透明な状況ながら、せめて最悪の事態だけは避けてくれることを祈りつつ――当月も、直近のシェアハウス関連のニュースから、注目の話題をいくつかご紹介して参りましょう。まずは、リクルート社の情報サイト『SUUMOジャーナル』に3月9日付で掲載された、ライターの蒔田志保( ほしあかり )氏による「福島・原発被災12市町村の震災15年。人口ゼロからの地区『もと通りにはできない。だから”創造”する』。挑戦の舞台としても再始動、変わり続ける今 相双地域」( https://suumo.jp/journal/2026/03/09/215589/ )という記事から。タイトル通り、3.11震災からの地域の復興という大きなテーマを取り扱ったものでが、この中でシェアハウスに直接関係する部分のみ抜粋・引用します。
「(前略)
■新天地での暮らしを見守るシェアハウス『kashiwaya』
(中略)
かつて避難指示が出ていた地域は今、避難していた人が戻る『帰還』のフェーズから、外から新しく人を迎え入れる『移住促進』へと歩みを進めている。しかし、移住は人生における大きな決断。覚悟を持って住み始めても、地域になじめず、定住につながらないケースも少なくない。
『町の人』と、『新しく来た人』。
双方がそれぞれのライフスタイルを尊重しながら、ゆるやかに関わり合い、この土地ならではの暮らしを育むことはできないか。
そんな思いから始まった、あたたかでユニークな取り組みがある。2022年に楢葉町に誕生した、『シェアハウスと食堂 kashiwaya(以下、kashiwaya)』だ。事業主体はまちづくり会社の一般社団法人ならはみらい、運営を株式会社結のはじまりが担っている。
kashiwayaの日常において、コミュニケーションの起点となっているのが『まかない』だ。移住希望者に対して家の供給量が足りていないのは、被災地域一帯の課題。そのため、シェアハウスや公営住宅の整備といったハード面の取り組みは各地で見られるが、管理人がまかないを通じて日常的に住民と関わるスタイルは全国的にも珍しい。
まかない付きシェアハウスというアイデアは、一体どんな背景から生まれたのだろうか。

■食事づくりを通して、住民の生活に溶け込みサポートする
やわらかい陽射しが差し込むkashiwayaを訪ねると、管理人で『結のはじまり』代表の古谷かおり(ふるや・かおり)さんと、『ならはみらい』移住促進係・係長の山口政義(やまぐち・まさよし)さんが迎えてくれた。
館内を案内していただいた後は食堂へ。地域のおばちゃんからのおすそわけという“おから茶”を頂きながら、まかない付きのシェアハウスを始めたきっかけを伺った。
『以前も別のシェアハウスを運営していましたが、当時は私自身が住民と一緒に過ごしていたわけではありませんでした。地元の方と交流したいのに空回ってしまったり、逆に熱意が強すぎて地域から距離を置かれてしまったり……。そんな、移住者が地域になじめず、1年ほどでまちを離れてしまう姿を、私は見守ることしかできなかったんです』(古谷さん)
自分自身も住民の生活に関わりながらサポートできる方法はないか。たどり着いた答えが『まかない』だった。
kashiwayaのまかないは、平日の朝・晩の2回。古谷さんと住民が顔を合わせる時間が限られていても、数日に一度、食卓を介して言葉を交わすだけでも『暮らしのケア』ができるようになった。
『入居初期から、「すれ違いが起きたら対話で解決しようね」と伝えていました。今では住民たちが主体的にルールを育んでくれています。直接言うと角が立ちそうなことも、管理人の私を介して伝えることで、共同生活のストレスを和らげることができたと思います』(古谷さん)
さらに、夜の食堂は地域にも開かれた。住民がまかないを食べる隣で、ご近所さんが肩を並べる。地元産の旬の野菜を使った『おうちごはん』を求めて、移住者や若者、単身者が集う光景が日常になった。休日にはイベントで利用されることも。住民がカフェを開いたり、地域の人がクラフトワークショップを行う。kashiwayaはいつしか、地域と人とが交差する“ハブ”になっていった。
惜しまれつつも、食堂としての営業は2025年10月に幕を閉じた。しかし、この場所で育まれたつながりは、今もまちの中に息づいている。

■定年後の旅人と20歳の大学生。世代を超えた住民が見つけたkashiwayaでの生き方
『kashiwayaに住んでいる人と話すと、みんなここが好きなんだと伝わってきます』と、山口さんは目を細める。実際、住民はどのような暮らしを送り、どう感じているのだろうか。
取材中、ガラガラっと食堂の扉が開いた。顔をのぞかせたのは、まもなく入居2年になるKさん(60代)。出身は東京、定年退職後に田舎暮らしをしたいと日本各地を旅する中で、楢葉町、そしてkashiwayaへたどり着いた。
『次の行き先を探しているときに、地域と交流できる場所としてkashiwayaの食堂が紹介されているのを見つけました。まかない付きシェアハウスだと知り、一人で暮らすのにちょうどいいなと思って。来てみたら、想像以上にいろんなことができましたよ』(Kさん)
Kさんはkashiwayaで開かれる『クラフトクラブ』に参加し、御朱印帳などのものづくりを楽しんでいるという。『私は言われたことをお手伝いするだけなんですけど』と謙遜しながらも、機会があれば木工に挑戦したいと意欲的だ。また、食堂を訪れた地域住民との会話も好きだと嬉しそう。意気投合したジャズ奏者のライブに、いわき市や東京まで足を運んだこともあるのだとか。
『kashiwayaは2年で卒業という期限があるので、この春からの住まいを考えているところです。近くにシェアハウスがあるけれど、そこにはまかないはないし、迷っています。田舎暮らしも続けたいし、クラフトクラブに参加したいから、まちに残れたらという思いはあるんですけどね』(Kさん)
Kさんと入れ替わりで食堂に現れたのは、神奈川県出身のめぐみさん。20歳、最年少の入居者だ。大学生で、学校の授業をオンラインで受けている。祖父母が暮らすいわき市の近くで暮らしたいと福島で家を探していたところ、kashiwayaのホームページと出合い、心惹かれたのだという。
kashiwayaで暮らし始めて3カ月。ここでの暮らしを、どう感じているのだろうか。
『神奈川にいたころは忙しない毎日でしたが、ここに来てからは心が休まっている感じがします。明日も楽しみだな、って思いながら眠りについて、朝日で目覚める毎日が最高。朝ごはんが用意されているのも嬉しいんです』(めぐみさん)
大学の授業は夜に受けており、日中は子どもたちが集まるフリースペースでの活動やアルバイトなど、町中に出掛けて過ごしている。顔馴染みの仲間も増え、彼女の暮らしはすっかりこの町に溶け込んでいた。

■定住には難しさもある
まかない付きシェアハウスという仕組みが、移住や定住の“決定打”になるか。現実は、それほど単純ではない。古谷さんは、町への愛着や『住み続けたい』という気持ちがあっても、個人の力ではどうにもならない“現実の壁”が立ちはだかることを痛感していた。
『仕事の問題やご家族の事情、病気になった時の通院の便……。愛着だけで暮らす場所を選ぶということは、決して簡単ではありません。地域と暮らす人のライフスタイルが重なり合って、そこから関わり合いが生まれていくことをkashiwayaは目指していたけれど、地域との適切な距離感もまた、人それぞれに異なるんですよね』(古谷さん)
移住促進係の一人として、日々、移住相談にのる山口さんも、『地域とのつながり』だけで移住が決まるわけではないと感じているようだ。
『地元の方と移住者、双方からの声があるので、お互いが関わり合うきっかけづくりは必要だと思います。ただ、最終的な移住の決断には、その人の人生設計のタイミングや、仕事、そして住環境が整っているかという要素も、はるかに大きな比重を占めていると感じます』(山口さん)
2026年3月、古谷さんは管理人の役目を終える。現在は引き継ぎの真っ只中で、kashiwayaがどのような場所へと変化していくかは、これから見えてくることだ。(後略)」
以前から当コラムをお読みいただいている皆様ならご存じの通り、当コラムも3.11震災を機にリニューアルし、今回でちょうど15周年となります。この間、シェアハウスを取り巻く環境にはさまざまな変化があり、たとえば震災直後には、首都圏周辺のシェアハウスの一部で被災地からの避難民の方がたの一時的な受け入れを行っていたところもありました。中には、その頃からずっとシェアハウス住まいを続けている入居者の方もおられるかもしれません。15年といえば、未就学児童が成人するほどの長い年月であり、当時すでに成人されていた方でも、また、一時の仮住まいであったとしても、その後の人格形成に多大な影響を及ぼす経験であったことは間違いないでしょう。すなわち、シェアハウスというライフスタイルは、すでに日本人の人生設計の選択肢の一つとして確立したものと考えてよいと思われます。

ちなみに、同じ『SUUMOジャーナル』に3月6日付で掲載された、ライターの松倉奈弓氏による「若者を富山市街地に呼び戻す学生シェアハウス『fil』。入居条件は“まちづくり参加”、特典は電車代半額補助・映画無料や地元社長との座談会も!」( https://suumo.jp/journal/2026/03/06/215170/ )という記事も、やはり「地域に人を呼び戻すためのシェアハウス」という取り組みを紹介する内容となっています。この二つの記事が前後して掲載されることになったのは偶然でしょうが、“地域おこし”というテーマがこれからのシェアハウス運営に欠かせない要素となってきたことを暗示しているようです。

次にご紹介するのは、『日刊SPA!』に3月7日付けで掲載された「都内で“家賃1.9万円”の激安シェアハウスに住む20代男性の生活『無理して稼ごうとは思わない』同じカレーを1週間食べることも」( https://nikkan-spa.jp/2148556 )という記事。掲載元のサイトの傾向からも、またこのタイトルからも想像されるような内容ですから、詳細について引用することはいたしませんが、都心部では依然としてシェアハウスに“貧困ビジネス”――という言い方に語弊があるようなら“貧困層向けビジネス”と言い換えてもいいですが――としての側面もあるようです。

続いて、2月26日付で東京シェアハウス合同会社が運営する「東京シェアハウス」が発信したプレスリリースをご紹介しましょう。「転居検討中の都内在住20代〜30代単身者の45%以上が、シェアハウスへの入居を視野に入れている!東京シェアハウス合同会社が『都内の20代〜30代単身者の住まいに対する価値観に関する調査』を実施!」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000159140.html )というタイトルで、これは2026年2月16日〜2月19日にかけて、1年以内に引っ越しを検討中の都内在住の20代〜30代単身者496名を対象に実施されたインターネット調査であり、モニター提供元は株式会社レイクルーが運営する「RCリサーチデータ」です。大枠のみ抜粋して引用します。
「東京シェアハウス合同会社(本社:東京都渋谷区、代表者:森山 哲郎)が運営する『東京シェアハウス』は、1年以内に引っ越しを検討中の都内在住の20代〜30代単身者を対象に『都内の20代〜30代単身者の住まいに対する価値観に関する調査』を実施しました。この調査から、1年以内に引っ越しを検討中の都内在住の20代〜30代単身者が引っ越しを検討する理由や今後の住まいの選択肢としてのシェアハウスへの入居意向などが明らかになりました」
ここまでがリード文で、以下のような見出しの後、各項目に解説文が入ります。
「■引っ越しを検討し始めた最大の理由は『部屋の広さや設備をより良くしたいため』
■仮に住居にかかる初期費用や毎月の固定費を抑えられた場合、浮いたお金を主に『将来のための貯蓄や資産運用』や『趣味や旅行などの体験やレジャー』に使いたいと考えている
■1年以内に引っ越しを検討中の都内在住の20代〜30代単身者の45%以上が、今後の住まい探しの選択肢として、シェアハウスへの入居を視野に入れている
■シェアハウスを検討候補に入れる理由のトップ3は、1位『初期費用や固定費を抑えて浮いたお金を趣味や自己投資に回したいから』、2位『一人暮らしでは住めないグレードの高い設備や広い空間を使いたいから』、3位『一人暮らしよりも防犯面や精神面での安心感が得られるから』」
アンケートの内訳グラフや解説文については、上記リンク先をご参照ください。

また、フジテレビ系の情報番組『めざましテレビ』が テレビからwebに飛び出し立ち上げた新たなエンタメニュースサイト『めざましmedia』には、次のような記事が掲載されています。掲載されたのは3月15日ですが、ニュース自体はそのちょうど1ヶ月前の2月15日の出来事のようです。
「全国から約60名が参加。人との“きっかけ”を生み出すシェアハウス『一縁(ICHIE)』が東京・小岩にオープン」( https://mezamashi.media/articles/-/269135 )こちらは個別のシェアハウス事業者の取り組み事例紹介と言うことで、興味のある方はリンク先をご一読ください。
もう一本、3月4日付けで株式会社オークハウスが発信したプレスリリース「外国人入居比率70%超のシェアハウスが『100人運動会』開催決定!年間イベント350回を実施するオークハウス、2026年も入居者交流を加速」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000027970.html )という話題もありました。これまた個別のシェアハウス事業者の事例紹介ですので詳細はリンク先に譲りますが、各事業者それぞれ、生き残りをかけて積極的な“仕掛け”を試みていることがわかります。

期せずして、政治・経済・外交など日本全体を取り巻く環境に大きな変化が起こり始め、すでに国民生活にも重大な影響が出てきております。偶然なのでしょうが、このタイミングで“復興”や“人を集める取り組み”、あるいは“貧困層向けビジネス”の話題がニュースに取り上げられたことは、何やら象徴的なようにも思われます。なお――こうした情勢下で、無責任な政治的主張を口にすることは少なからぬリスクを孕んだものになりますが、かといって無関心を装ってばかりもいられません。声を上げるにせよ、沈黙を守るにせよ、“その時”に取るべき態度は今のうちに決めておく必要があるのではないでしょうか。
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