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第9回 シェアハウス経営の落とし穴その4

2月12日に開かれた国土交通省政策会議で、いわゆる「追い出し屋」問題に端を発する、家賃債務保証業者を許可制とする法案の詳細が公表されました。正式には「賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」といい、昨年暮れあたりから進捗状況が段階的に発表されていたので、すでにご存知の方も少なくないものと思われます。

同法案は、家賃滞納者に対して、カギの交換や家財道具の持ち出しや深夜におよぶ督促といった「行き過ぎた」「悪質な」追い出し行為をはじめ、賃貸住宅におけるトラブルの発生を未然に防ぐことを目的として検討されてきました。これは賃借人という「弱者」の保護を目的とした法案ですから、賃貸人および家賃保証業者の側から見れば、いささか面倒な手続きが増えるということになります。同法案によれば、家賃債務保証業者に許可制(登録制)を導入し、5年毎に更新することを義務づけ、名義貸しや誇大広告、暴力団員の雇用などを禁止。悪質な追い出し行為に対して懲役や罰金などの罰則規定が盛り込まれています。悪質な業者に対しては、国土交通大臣による業務改善・業務停止の命令、登録の取り消しなどの処罰も想定されています。今月23日の閣議決定を経て、国会での早期成立を目指しており、施行は公布後1年以内、国交省の見通しでは2011年度から施行される模様です。サラリーマン大家さんの中には、すでに特定の家賃債務保証業者と契約されていたり、今後契約を検討されている方もいらっしゃることと思われますから、こうした法改正の動きにも常に目を光らせておく必要があります。

さて、今回のお題はシェアハウスの稼動率(入居率)について。前回のコラムで、(財)日本賃貸住宅管理協会の会員企業における一般賃貸の稼動率が90%前後となっているというデータをご紹介しましたが、昨年夏に発表された総務省統計局の住宅・土地統計調査によれば、2008年時点での日本全国の賃貸住宅の空室率は18.7%、すなわち稼動率は80%強。では、シェアハウスに限定した場合、稼動率はどうなるか。残念ながら客観的に信憑性のあるデータは見当たりませんが、一般に、シェアハウスの稼動率は通常のアパート・マンションに比べて高いと考えられます。根拠としては、初期費用の安さや保証人不要などの手続きの簡便さから入退去におけるハードルが低く、比較的短時日で空室が埋まる傾向が強いこと、また、シェアハウスの社会的認知度が高まり、利用者が幅広い年齢層に広がりつつあることなどです。

ところで、シェアハウスの稼動率は何%くらいあれば是とすべきでしょうか? もちろん、100%の満室稼動が続けば言うことはありませんが、そうそううまくいくとは限りません。入退去が簡単ということは、かりに今日満室でも、明日いきなり何室かの空室が発生するかもしれないということなのです。あらかじめそうしたリスクを見込んだうえで、物件の取得や改装等に要した初期投資額や毎月のローン返済額、諸経費等も計算に入れ、できるだけ正確に損益分岐点を算出しておく必要があります。月々の家賃収入から上記の総支出を差し引いて、損益分岐点が赤字とならない稼動率はどのくらいになるか、知っておくことが大切です。また、そのためには、当該物件自体のグレードや周辺の競合物件の賃料相場などを基にして、適正な家賃設定を行うことも必要です。

次回は、適正な家賃設定の手法についてもう少し考えてみましょう。
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