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第14回 シェアハウスによる不動産投資その4

4月26日の日経新聞朝刊一面で「NTT子会社がJ-REIT市場に参入」云々と報道されたのをご覧になった方も多いのではないでしょうか。一部のテレビニュースでも取り上げていましたが、報道はおおむね景況感へのプラス材料として捉えていたように思われます。さっそくエヌ・ティ・ティ都市開発(NTTUD)のホームページにアクセスしてみると、「本日の一部報道について」なる見出しで「そのような決定事実はありません」とそっけない文面……。もっとも、その日のうちに日経スクープの通り、プレミア投資法人の資産運用会社であるプレミア・リート・アドバイザーズ(PRA)を子会社化したことを正式に発表するニュースリリースがアップされましたが。

サラリーマン大家さんのように実物不動産を投資対象としている方にとっては、REITへの関心は薄いかもしれませんが、不動産市況の判断材料としてその動向には気を配っておくことも必要でしょう。市場には巨大資本の参入を歓迎する声もありますが、このことが直ちに不動産市況の底上げにつながると期待してよいものかどうかは、やや疑問符がつきそうです。というのも、NTTUDおよびPRAが今後REIT化していく物件は、CBRE三鬼商事の調査にもはっきり表れているようにここ2年間で空室率が2倍以上に跳ね上がり、依然として市況回復の兆しが見えないオフィスビルです。優良スポンサーを得て信用力が高まったPRA、J-REITという出口戦略を得たNTTUDは双方損することはないにせよ、裏を返せば、NTTUDほどの巨大資本であっても売却に困る物件を抱えているということ。そもそもREITは不況下におけるリスク分散手法ですから、ここにお金が集まるということは、市況が危機的状況にあることの証明といっても過言ではないかもしれません。ゆめゆめ「不動産市況回復の兆し」などと早合点されないことです。

さて、今回はシェアハウス投資の利回り編の締めくくりです。前回までに「表面利回り」「不動産取得時の諸費用および税金」「減価償却」等について述べて参りましたが、最終的に手元に残るお金を計算するためには、もうひとつ考えておかなければならない大切なポイントがあります。それは、本業を含めた所得税(もしくは法人税)です。ご存じの通り、所得税は、所得が多いほど税率が高くなる超過累進税率方式になっています。たとえば、本業での年収が約2,000万円のサラリーマン大家さんの場合、控除額を差し引いた課税所得が1,800万円未満として、本業のみの所得税率は33%になっています。税率は、複数の所得がある場合は合算所得で計算しますから、給与所得(社員としての月給・賞与)と事業所得(シェアハウス経営による家賃収入)の合算で、課税所得が1,800万円を超えれば、所得税率は一気に40%に跳ね上がります。

わかりやすいように単純化してみましょう。物件価格1億円、家賃収入1,000万円/年として、表面利回り10 %の物件があるとします。これを、返済月額約30万円のローンを組んで取得した場合、

1,000万円−30万円×12ヶ月=640万円

で、1年間で約640万円の現金が手元に残る計算になります。ところが、本業との合算による課税所得を2,400万円とすると、所得税は約680万円となり、現金が残るどころか年間40万円ものマイナスになってしまいます。一方、本業との合算課税所得が1,600万円の人であれば所得税は約370万円となり、年間約270万円のプラスとなります。つまり、同じ利回りの物件を同じローンを組んで購入したとしても、この例のように課税所得によって最終的に手元に残る金額は違ってくる、ということです。

この、「最終的に手元に残るお金」を計算するのが「キャッシュフロー」という概念です。キャッシュフローといえば最近いろいろな場面で耳にしますが、要は「現金の流れ」のこと。不動産投資を実行する上で最も重要な知識のひとつです。「不動産投資では、『利回り』よりも『キャッシュフロー』を重視せよ」ということを覚えておいてください。

次回は、キャッシュフローについてもう少し掘り下げてみましょう。
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