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第18回 遊休不動産シェアハウス活用術その2

国土交通省は6月22日、「国土交通省政策集2010」を発表しました。昨夏の政権交代から約10ヶ月間における一定の成果として、参院選公示直前のこのタイミングで発表に踏み切ったことの論議はさておき、なかなか盛りだくさんの興味深い内容となっています。この中で、当コラムをお読みいただいている皆様にとって特に関心の高いものは、不動産投資市場の活性化を目的とする「不動産特定共同事業の見直し」についてでしょう。

国交省の発表によれば「遊休化・老朽化した不動産のリニューアルや環境投資の促進のためには不動産投資市場における民間の知恵と資金を活用することが必要なことから、新たな証券化手法を追加的に創設するとともに、不動産に関する情報の整備・提供の充実等を図ることにより、不動産再生による成長戦略を推進する」とあります。いかにもお役所仕事らしい、もってまわった表現ですが、要するに「民間からアイディアとお金を集められるような、新しい不動産証券化の手法をつくる」「そのために現行法(不動産特定共同事業法)を改正する」と言っているわけです。

これまたお役所仕事だけに、短時日での実現は難しいでしょうし、じゅうぶんな審議を経ないままの改正・施行にはいささか懸念もありますが、この法改正によって、実物不動産市場の活性化が見込まれるとすれば、期待される向きも多いことと思われます。ただし、これは不動産特定共同事業法の許可事業者から委任を受ける等の条件で、SPC(特別目的会社)による実物不動産事業の運営を可能にするための法改正。すなわち、規制緩和によって資金力のある年金・生損保などの機関投資家を誘致しようというもので、中小不動産オーナーにとって直接的なメリットはそれほど期待できないかもしれません。もちろん、将来的に物件の売却などの出口戦略をお考えなら、機関投資家の参入による不動産市場の活性化は歓迎すべき事態ですが……。

さて、今回のお題は企業などの遊休不動産の現状についてです。数年前からCRE(Corporate Real Estate=企業不動産)戦略ということが盛んに言われるようになりましたが、その背景にあったのが国際会計基準の導入で、今年の3月期からは新たに賃貸等不動産の時価開示が始まりました。これは、企業の保有する賃貸等不動産の含み損益を投資家に対して透明化することが目的で、店舗や工場、オフィスなど自社で使用している不動産を除いた「賃貸収益またはキャピタルゲインの獲得を目的として保有されている不動産」を、過去いくらで買い、現在売却すればいくらで売れるのかを明らかにすることで、投資家が企業の財務判断をする際に役立つものです。対象となる不動産には、現在使用されていない遊休不動産、賃貸目的でありながら借り手が存在しない空室物件が含まれます。

長引く不況の中で、企業は財務改善のために従業員の福利厚生の見直し(撤廃または規模縮小)を迫られ、「独身寮」や「社宅」といった福利厚生施設の維持が困難になりつつあるようです。また、無理に維持し続けたとしても、老朽化した施設では利用者の確保が難しいという現状もあります。一方、従業員側は給与カットや雇用の打ち切りなど収入が減少し、特に若い単身者の場合、住居費用の節約は切実な問題となっていますが、一度生活レベルを上げてしまうと、なかなか以前のレベルには落とせないのも人間の本能です。こうした従業員側のニーズと、インカムゲインが期待できない福利厚生施設の再生、このふたつに同時に応える手法として「シェアハウス化」という選択肢が今、注目を集めています。

次回は、じっさいに遊休不動産をシェアハウス化するにあたっての注意点を考えていきましょう。
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