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第21回 遊休不動産シェアハウス活用術その5

お盆休みを控えた8月10〜12日にかけて、不動産各社の第1四半期(4月1日〜6月30日)決算報告が相次ぎました。景気回復が囁かれるなか、着実に増収増益を重ね、見通しを上方修正する企業がある一方で、逆に減収や減益となり、今後も苦戦が予想される企業も少なくありません。何がその明暗の分かれ目となったのか、具体例を検証してみることにしましょう。

まずは、10日に発表されたスターツコーポレーション(株)の、2011年3月期におこなわれた第1四半期決算。連結業績は売上高が前年同期比▲6.5%だったのに対し、営業利益は同47.5%増、経常利益同68.8%増、当期純利益同33.7%増とそれぞれ大幅な増益を計上しました。建設事業は減収減益、分譲不動産事業は損失となりましたが、仲介・賃貸管理事業は管理物件数が増加したことで増収増益となっています。同社の場合、「賃貸斡旋手数料」「管理手数料および付帯するメンテナンス工事売上」「社宅管理業務代行手数料」などが安定収益基盤となっているようです。

続いて、11日に2011年3月期第1四半期決算を発表した日本ハウズイング(株)。こちらも連結売上高同▲0.5%とわずかに減収ながら、営業利益同38.7%増、経常利益同51.2%増、当期純利益同123.5%増と大幅な増益となっています。同社の場合、主力のマンション管理事業が好調で増収増益を確保していますが、ビル管理事業は管理物件の解約や管理委託料の減額などの影響を受け、売上高・営業利益ともに落ち込んでいます。

この2社に共通しているのは、それぞれ「集合住宅の管理事業」が企業の経営基盤となっていること。前者では「社宅」、後者では「分譲マンション」など、企業や個人の保有する不動産の管理を請け負うことで安定収益を確保しているということです。

そこで次に、社宅を中心に管理事務代行サービスを展開する日本社宅サービス(株)の決算報告を見てみましょう。同社は11日、2010年6月期(2009年7月1日〜2010年6月30日)決算を発表しました。同社もまた、連結売上高前年同期比▲4.7%と減収でしたが、徹底したコスト削減などの営業努力により営業利益同22.2%増、経常利益同22.9%増、当期純利益同49.3%増と大幅増益を達成しました。ちなみに、同社の場合は四半期ではなく、6月期決算ですから一概に比較することはできませんが、少なくとも直近の4〜6月において、不動産管理事業が堅調に推移し、建築や物件売買などの事業のマイナスを十分カバーできていることは間違いなさそうです。その一方で、ビル管理や社宅管理においても、予期せぬ解約や稼動時期のずれ込みが見られるなど、企業の遊休不動産の問題がますます深刻化している現状が読み取れます。

さて、遊休不動産のシェアハウス化について、今回は管理という観点から考えてみましょう。シェアハウス特有の管理の難しさについては、過去の当コラムでも何度か取り上げて参りましたが、遊休不動産化している物件が社宅や中古ビルの場合、特に管理の問題は大きくなります。それらの物件には当然、既存の管理業者がついていると思われますが、これをシェアハウス化する場合、まず間違いなく管理業者を変更しなければならなくなるでしょう。なぜなら、既存の管理業者が、シェアハウスについて豊富な知識や経験を持ち合わせているとは、まず考えられないからです。シェアハウスに関する知識は急速に普及しつつあり、2〜3年前のように「シェアハウス? なにそれ?」といった反応が返ってくることこそないでしょうが、実際にシェアハウス管理を手がけた経験のある管理業者は依然として少数派です。特に、大手の管理業者の場合は要注意。海外での事例など知識は豊富に学んでいるかもしれませんが、経験に基づいた細かいノウハウはまず期待できないと考えたほうがいいでしょう。管理業者の変更は、企業にとって固定費削減のチャンスでもありますが、目先のコストを惜しむあまり業者の見極めを誤ることのないようにしたいものです。

次回でひとまず、遊休不動産のシェアハウス化についてのテーマは一区切りとしましょう。
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