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第24回 シェアハウスを取り巻く環境その2

菅改造内閣が発足して2週間になりますが、依然として各方面で不安定な情勢が続いています。2兆円を超える規模とみられる為替介入の効果もあってどうやら最悪の事態には至っていないものの、9月30日現在の円相場は1ドル83円台の高値をつけたまま。さらに、尖閣諸島をめぐる日中間の緊張や、巻き返しを図る野党各党に加え、政局内にもくすぶり続ける火種を抱え、発足間もない改造内閣は内憂外患、早くも満身創痍といったありさまです。決算期である9月末を迎え、今後の対応にいっそう注目する必要があると思われます。

さて、今回も金融・経済や不動産など、シェアハウスを取り巻く業界動向をみていきましょう。9月30日に国土交通省が発表した2010年8月度の「建築着工統計調査報告」によると、同月の新設住宅着工戸数は7万1,972戸(前年同月比20.5%増)となり、3ヶ月連続の増加をみせています。同じく新設住宅着工床面積は655万平米(同19.8%増)で6ヶ月連続の増加となっています。さらに利用関係別でみていくと、持家は2万9,036戸(同15.5%増)で10ヶ月連続の増加。そして、貸家は2万5,892戸(同16.9%増)となり、2008年11月以来、じつに21ヶ月ぶりの増加となっています。このうち、公的資金による貸家は3,377戸。残る2万2,515戸が民間資金による貸家となります。ただし、これは一種の「数字のマジック」といえるかもしれません。なぜなら、比較対象となっている「前年同月」すなわち2009年8月の貸家の新設住宅着工戸数はわずか2万2,141戸で、前年同月比42.2%減という記録的な大幅減でした。これと比較するわけですから、21ヶ月ぶりの増加といっても額面通りに受け取れるものではなさそうです。ちなみに、残る分譲住宅は、1万6,588戸(同35.2%増)で6ヶ月連続の増加。このうち、マンションは6,617戸(同44.6%増)となり、これは3ヶ月連続の増加です。一戸建については9,919戸(同29.8%増)で8ヶ月連続の増加となりました。こうした統計データは、単月では無味乾燥な数字の羅列に過ぎませんし、数字そのものも上記のように鵜飲みにはできませんが、ある程度のスパンで長期的に観察し、点でなく線で傾向を捉えていくと、今後の市況予測に役立つこともあります。サラリーマン大家さんにとって身近な問題でいえば、物件購入・売却時の価格判断や、シェアハウス経営での賃料設定などにもうまく活かせるはずです。

29日に発表された日銀短観によると、2010年9月の業況判断DIは、製造業・非製造業、さらに大企業・中堅企業・中小企業の別を問わず、6月から9月までの変化幅がすべてプラスとなり、6月時点での予測を上回っていることがわかりました。これをもって「景況感の上向き」を期待したいのはやまやまですが、そう楽観することはできないのもご存知の通り。日本経済を牽引している大企業・製造業の事業計画の前提となっている想定為替レートは1ドル89円台で、現在の円高ははっきり想定外の事態だからです。大企業でさえそうなのですから、規模としては中小・零細事業者である(失礼)サラリーマン大家さんではより事態は深刻といえるでしょう。

つい先ごろ、某大手デベロッパーが竣工した最高月額賃料が500万円超という高級賃貸マンションがメディアで話題になりましたが、同社の展開する高級賃貸マンションブランドのシリーズでは、昨年までに竣工した13棟の平均稼動率が9割強という話も聞こえています。もちろん、高級賃貸とシェアハウスでは、ターゲットからアプローチまで何もかもまったく違うでしょう。しかし、どちらも不動産賃貸というくくりの中では比較的ニッチな市場である点は同じ。成功事例は成功事例として認め、客観的に研究してみたら、あんがい面白い発見のひとつやふたつ、あるかもしれません。

次回もまた、シェアハウスを取り巻く環境について論じて参りたいと思います。
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