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第25回 シェアハウスを取り巻く環境その3

日銀がついに伝家の宝刀を抜き、日本は2006年7月以来これで史上3度目となる「ゼロ金利時代」に突入しました。10月5日の日銀金融政策決定会合で決定された追加の金融緩和により、政策金利の誘導目標は従来の「年0.1%前後」から「0〜0.1%」へ引き下げられ、事実上の「ゼロ金利政策」が復活したのです。今回は「時間軸政策」も導入され、日銀は「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく」と表明しています。すなわち「消費者物価指数が、安定して前年よりプラスになるという見通しが出せるまで、ゼロ金利を続ける」との姿勢を明確に打ち出したことになります。日銀では新たに5兆円規模の資金を用意し、これに先立つ8月30日の臨時会合で決定された新型オペの増額と合わせて合計35兆円規模の基金を創設。これが市場に供給する資金量の目安になるということです。

今回新たに導入された5兆円の使途としては、長期・短期国債の買い入れに計3.5兆円、企業が発行するCP(コマーシャルペーパー)や社債などの買い入れに計1兆円が割り当てられ、残る約5千億円を「異例の措置」としてETF(株価指数連動型上場投資信託)およびJ-REIT(不動産投資信託)の購入に充てるとのことです。これを受けて、翌6日の東京株式市場では不動産市況の回復への期待が高まり、マンション開発など不動産関連株が軒並み値上がりを見せました。不動産業の株価指数はその後も14日までおおむね高値安定が続いている模様です。日銀ではこれまで、値下がりによる損失のリスクが大きいJ-REITなどは購入資産の対象外としてきただけに、市場では今回の特例措置を歓迎する声が多く、不動産市況活性化の「呼び水」となることが期待されています。ただし、現時点ではあくまで、買い入れ額は最大でも5千億円規模にとどまるとみられ、どこまで市場の期待を支え続けることができるか、まだまだ効果は未知数です。一部マスコミが無責任に煽り立てる「バブルの夢ふたたび」の風評にうかうかと乗せられないよう、冷静に状況を見極めることが肝心です。

タイミングとしては偶然でしょうが、これら一連の報道の直後、NHKのビジネス番組でまたもシェアハウス特集が放送されました。しかも、これまでのような「シェアハウスって何?」というHow to要素から一歩踏み込み、独自の運営方針により急成長を遂げた進化型シェアハウスの最先端に迫るといった内容になっていました。当コラムでもくり返し指摘して参りましたが、多くの不動産関係者にとって、シェアハウスはもはや「色モノ」ではなく、蓋然性の高い選択肢のひとつ。圧倒的な資本力を持つ大手が本格的に市場に参入してくれば、サラリーマン大家さんにはとうてい太刀打ちできません。その事実を、改めて認識する必要がありそうです。

一方、先月の為替介入により小康状態にあった円相場は、今回のゼロ金利政策を受けてふたたび急騰。14日午前の時点では1ドル81円台半ばを上下し、「80円割れも時間の問題」との見解もいよいよ現実味を帯びてきています。中小・零細資本に過ぎないサラリーマン大家さんにとって、ゼロ金利は物件購入の負担が軽くなるという意味では間違いなく「追い風」ですが、多額の借入金を抱える大手企業にとっても、長期低金利により借入負担軽減が見込めるというメリットがあります。大資本の算入による競争激化を招きかねないという意味では、ゼロ金利がかえって「逆風」となる恐れもじゅうぶんに考えられます。したがって、今回のゼロ金利を機に物件購入をお考えのサラリーマン大家さんには、これまで以上に慎重な物件選定と投資判断が求められるようになったといえます。長年の経験からご自身の選定眼や判断力に自信をお持ちの方であっても、これからは客観的な第三者であるプロに意見を求め、参考にするなどの対策が必要になってくるでしょう。

次回も引き続きこのテーマで論じていきたいと思います。
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