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第28回 シェアハウスを取り巻く環境その6

シービー・リチャードエリス総合研究所(株)は11月19日、「不動産投資に関するアンケート」結果を発表しました。同社の親会社であるCBRE(シービー・リチャードエリス(株))といえば、特にオフィスビルや倉庫・物流関連分野に強みを持つ不動産コンサルティング業の最大手。そのせいか、シェアハウスはもちろん、アパート・マンション等の個人オーナーさんにとっても、日頃はあまり馴染みのない名前かもしれませんが、ことマクロな市場の調査・分析に関しては、分野を問わず定評のある企業です。ただし、中小・零細規模の事業者が中心となるミクロな市場については同一には論じられませんが……。上記アンケートのうち、サラリーマン大家さんに関連の深い部分のみを抜粋すると、「賃貸マンション(ワンルーム)」は、東京主要部の全セクターでNOIベースの期待利回りの下限値が前期比▲30bpsと大幅に低下(上限値は変わらず)。また「賃貸マンション(ファミリー)」でも、上限値には変化がなく下限値のみが同▲10bpsと低下を見せています。ちなみにNOIとはNet Of Income、またはNet Operating Incomeの略で、「正味稼動利益」とも訳されます。不動産投資家が収益還元法に基づいて収益を算出する際に用いる指標で、わかりやすくいえば、次のような計算式で表されます。

NOI=年間家賃収入−不動産管理コスト(管理費+修繕費+各種保険料+共用費+固定資産税等)

ところで、同社は今回のアンケート結果について「多くのセクターで下限値のみが低下していることから、市場が安定してきたとみて多少強気にシフトする投資家が一部で出てきている一方、ほとんどの投資家は上限値は従来通りとして相応のリスクを想定していることがうかがえます」と分析しています。上限値が変わらないということは、少なくとも一部の優良物件に関しては値崩れが下げ止まったということと考えられます。その一方で、劣悪な条件の物件に関しては、下限値の低下に表れているようになおも下落が続いているのですから、必ずしも楽観できる状況ではないようです。不動産を所有し続けるにせよ、適当な時点で売却するにせよ、少しでも利益を高めようと考えるのであればNOIを上げることですが、これには年間家賃収入を上げるか、不動産管理コストを下げるか、あるいはその両方を推進する必要があります。家賃収入を上げるには、家賃単価を値上げするか、空室をゼロにして稼動率を高めればいいのですが、いつも当コラムをお読みいただいている読者の皆様であれば、そのために非常に有効な手法をひとつご存知でしょう。そう、シェアハウス化することです。

一方、「市場の安定化」あるいは「景気の回復傾向」の最も早い予兆を示す指標は、ほかにもあちこちで見られはじめています。たとえば、24日に(株)東京カンテイが発表した「三大都市圏のマンション価格変動指数」でも、首都圏では新築・中古ともわずかながら上昇を示しています。また、25日にアットホーム(株)が発表した「2010年10月期の首都圏の居住用賃貸市場動向」によると、同月の成約件数は前月に続き2ヶ月連続で前年同月比プラス。1戸当たりの成約賃料平均も、賃貸マンションで2ヶ月連続、賃貸マンションで3ヶ月ぶりの前年同月比プラスとなっています。さらに、26日には国交省の「地価LOOKレポート」(2010年第3四半期)も発表されました。依然として地価は全体の58%が下落傾向を示しているものの、残りの42%は上昇または横ばいに転じ、下落幅も小さくなってきているようです。いずれも、ちょっと強い風が吹けばたちまち消し飛んでしまいそうなささやかな予兆ですが、不動産投資家にとっては無視できない追い風となるかもしれません。

次回も引き続きこのテーマで参ります。
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