2010年も残りわずかとなりました。1年間、当コラムでは不動産市況を中心にさまざまな情報をお伝えして参りましたが、今回はその総まとめも兼ねて、今年の動向を振り返ってみたいと思います。
シェアハウスのメディアへの露出は、前年までとは比較にならないほど急増しました。NHKや民放各局のビジネス番組でたびたび題材として取り上げられたのをはじめ、新聞・雑誌や書籍など、さまざまなマスメディアにシェアハウスが登場し、入居者・オーナー・管理会社などさまざまな角度からスポットが当てられました。これらの番組や記事では、年の後半になるほど、シェアハウスを「既知のもの」として取り上げる傾向が強くなり、視聴者・読者の大多数がシェアハウスの何たるかを承知していることを前提とした構成になってきました(いささかオーバーな表現ですが、1〜2年前から少しずつ認知度が高まり、今年に入って一気にブレイクした、という意味で「twit○er」や「AK○48」に似た状況と言えるかもしれません)。たんにメディアでの紹介に留まらず、自治体や大企業などの市場参入、地方都市への展開など、シェアハウス市場は新たな局面を迎えています。ここで予言しておきますが、5年後、10年後に振り返ってみたとき、2010年は「シェアハウス元年」だったのだと改めて気づくことになるはずです。
では、明けて2011年はどんな年になるでしょうか? 12月20日に
(株)不動産経済研究所が発表した2011年の「
首都圏マンション市場予測」によれば、首都圏のマンション供給量(前年比20%増)および供給戸数(同16.3%増)は、いずれも2ケタ増の回復傾向を見込んでいます。ただし、物件規模では総戸数100戸以下の中・小型物件が中心となり、在庫は適正水準を下回り不足気味になると予測されています。また、建築コストの上昇が見込まれることから、特に都心一等地では物件価格の高騰も懸念されています。
これに呼応して、中古マンション価格は現在、調整局面を迎えつつあるようです。12月21日に
(株)東京カンテイが発表した「
中古マンション70平米価格月別推移」(三大都市圏・主要都市別/11月度)によれば、東京23区を中心とした首都圏の中古マンション価格は、9月から3ヶ月連続でコンマ数%の横ばい傾向が続いています。同社ではこれを新築マンション供給増の影響で上昇率の鈍化、弱含みに転じたと分析しています。以前の当コラムでも指摘した通り、同社のデータは「売却希望価格」の集計ですが、希望価格が弱含みとなれば、実際の成約価格の相場が今後、横ばい〜下落に転じることも十分予測されます。
ちなみに、12月24日に
アットホーム(株)が発表した「
首都圏の新築戸建・中古マンション価格動向」によれば、首都圏の中古マンションの成約価格は11ヶ月連続で前年同月比プラスとなっていますが、直近である11月の内訳を見ると、価格帯1,000万円以下の物件は首都圏全体で成約件数が減少しているのに対して、価格帯4,000万円以上の成約件数は東京23区で前年比3.7%増となっているなど、一部の高額物件の成約に引きずられて相場が上昇している傾向が読み取れます。こうした価格の二極化は今後ますます加速するものと見られ、これに伴って「平均価格」という実体を持たない数値は、ほとんど意味を成さないものになっていくかもしれません。
さて、年の改まる次回からは、新しいテーマで論じて参りたいと思います。