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第4回 不動産市況とシェアハウス

早いもので、あの東日本大震災からまもなく半年が過ぎようとしています。その間、日本列島は、余震や集中豪雨による土砂災害、常識はずれの猛暑、相次ぐ台風の接近など、例年に数倍する自然災害に見舞われてきました。9月2日には菅内閣の退陣に伴い野田新内閣が組閣されましたが、即日新総理に対する外国人献金問題などのスキャンダルが噴出。さらに台風12号により死者・行方不明者80名以上(9月5日午前0時現在)という激甚災害に見舞われ、早くも暗雲がたれこめています。
こうしたなかで8月末には今後の不動産市況を占うのに重要ないくつかのデータが発表されました。

まず、リーシング・マネジメント・コンサルティング(株)が8月24日に「東日本大震災後の都心賃貸マンション市場の動向」追跡調査結果を発表しました。これは同社が2ヶ月前に発表した調査結果の続報で、調査期間は7月11日〜8月5日、205店舗より回答を得て集計したものです。これによると「客足や反響数に対して、まだ震災の影響は残っているか」という質問に対して、「完全に抜け出した」と「完全ではないがだいたい抜け出した」を合わせると60.8%となり、「震災の影響は残っているが、長期にわたるものではない」との回答も30.2%あったことから、現場では9割がた震災の影響を脱した、もしくは脱しつつあると感じているようです。

8月30日にはアットホーム(株)「首都圏の新築戸建・中古マンション価格(7 月)」を発表しました。これによると、新築戸建の登録価格は9ヶ月連続で前年同月比プラスとなり、成約価格も7ヶ月連続でのプラスとなっています。この要因として、同社では高額物件の比率が高い東京23区の成約が好調だったことが首都圏平均を押し上げたものと分析しています。いっぽう、中古マンションの登録価格は20ヶ月連続のプラス、成約価格の前年同月比は前月のマイナスから再びプラスに戻しました。震災前から上昇気配を見せていた物件価格(登録価格・成約価格)は、とくに震災の影響を受けることなく、引き続き上昇が続いているという状況が読み取れます。
続いて8月31日には(株)東京カンテイ2011年7月度の「中古マンション価格天気図」を発表しました。こちらは、同社独自の指標により全国47都道府県のファミリータイプ中古マンションの月ごとの流通事例価格を集計し、価格が上昇傾向なら「晴」、下落傾向なら「雨」などとして、価格変動を天気図のイメージで表示しています。前月から比較して、「天気」が改善したのは青森県・宮城県・大阪府・島根県・徳島県・高知県・長崎県の7府県、逆に悪化したのは岩手県・山形県・福島県・愛知県・奈良県の5県でした。全国的に見ると、天気図の推移は前月から横ばいとなっている地域がもっとも多く、天気マークでいえば「薄日:価格はやや上昇傾向にある」となっている地域がもっとも多いことがわかります。

さらに同じ31日、国土交通省2011年7月の新設住宅着工戸数を発表しました。これによると、7月の新設着工戸数は8万3,398戸(前年同月比21.2%増)で、4ヶ月連続でプラスとなりました。新設住宅着工床面積も4ヶ月連続のプラスです。用途別では、持家が3ヶ月ぶりに増加に転じ、貸家は2ヶ月連続の増加、そして分譲住宅はじつに17ヶ月連続で増加となっています。分譲住宅の内訳は、マンションが9,785戸(同79.6%増)と4ヶ月連続で増加し、1万戸の大台に近づきました。一戸建住宅は1万375戸(同7.8%増)となり、こちらも2ヶ月連続の増加です。これについて同省では「厳しい雇用・所得環境等に加えて、東日本大震災の影響も一部で継続しているとみられるものの、大震災発生後に低下したマインドが徐々に改善してきている可能性がある」とコメントしています。
これらのデータから読み取れることは、全国的に不動産取引が活発化しつつあり、新築物件の着工件数も増えてきているという頼もしい事実です。価格については、昨今の景気動向を鑑みれば短時日には改善されそうもありませんが(また、そう短期間で価格が高騰しても困りますが)、少なくとも、一時期の底なしの下落傾向からは脱して、下げ止まり感が見られます。日本という国がゆっくりと、しかし確実に立ち直りつつあるということが数字に表われているように思われます。

こうした市況を背景に、9月1日には、綜合不動産大手の某社がシェアハウス事業への参入を宣言しました。同社は来春東京23区内に大型シェアハウスをオープンすべく、すでに着工を開始しています。今回は初めてのシェアハウスということで、新築+中古物件のリニューアルというあまり予算をかけない方針でいくようですが、同社のこれまでの基本戦略から考えて「イケる」と判断すればアッという間に手を拡げ、1〜2年後には数ヶ所同時に新築のシェアハウスをオープンさせているでしょう。以前から当コラム内で何度か指摘して参りましたが、大手資本が本格的にシェアハウス事業に参入してきた場合、小規模資本のシェアハウス大家さんにとって苦しい戦いが予想されます。今後は、ますます不動産市況の動向から目が離せなくなる、と思っていた方がよいでしょう。
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