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第5回 住宅政策とシェアハウス

東京電力福島第一原発の事故から7ヶ月が過ぎ、ようやく各地で放射能汚染の除染作業が本格化して参りました。その一方で、10月に入ると、関東地方では各地で放射能騒動が起こっています。東京都世田谷区の区道で検出された高線量の放射線は「民家の床下のラジウム入り瓶」という怪しげな原因で一件落着とされそうですが、神奈川県横浜市港北区のマンション屋上や道路上などで放射性ストロンチウム90が検出された問題や、千葉県船橋市の公園では最大で毎時5.82マイクロシーベルトの放射線量が検出された問題など、今後調査が進むにつれて、こうしたホットスポットはまだまだ大量に出てくるものと予測されます。いつまでたっても国や自治体が積極的に動こうとしない以上、市民団体による自主的な調査に頼らざるをえないのが現状ですが、非公式な放射線量測定が新たな風評被害を生む恐れもあります。いえ、なまじ風評ならまだ救いがありますが、公式にホットスポットに認定されようものなら目も当てられません。
もし、所有物件のすぐ近くにこうしたホットスポットが発見されたら……フットワークの軽さが身上のシェアハウスの住人たちのこと、たちまち引っ越してしまうに違いありません。しかも、この損害に関して東電や国に賠償を請求しても、もはや補償は望み薄です。このような場合の対応としては、まず冷静に事態の推移を見守ること、そのうえで、ときには思い切った判断も必要になります。いずれにせよ、判断を下すには正確で素早い情報収集が不可欠。日ごろからインターネットなどを通じて地元の地域情報などに注目しておくと良いでしょう。

去る10月12日、筑波大学教授大村謙二郎氏を座長とする「東京都住宅政策審議会」が東京都の住宅政策の検討結果を踏まえた中間取りまとめを発表しました。これは、急激な社会情勢の変化に対応する方策として「安全な住宅市街地の形成」「マンションの管理適正化・再生」「既存ストック活用の推進」「住宅セーフティーネットの強化」など、10項目の取り組みとしてまとめたものです。

このうち、シェアハウス大家さんにとって特に関心の高い取り組み項目としては「賃貸住宅におけるトラブル防止や、消費者満足度の高い賃貸住宅の供給を促進するため」として、賃貸住宅の敷金を保全する仕組みを構築することと、賃貸入居者によるセルフリノベーションを前提とした賃貸方式や原状回復義務を負わない賃貸契約モデルを検討することなどが挙げられます。また「賃貸住宅における管理業務の適正化のため」として、賃貸住宅管理業の登録制度などの検討も重要とされています。後者に関してはすでに、国土交通省による「賃貸住宅管理業登録制度」として9月30日に公布され、12月1日からの施行が決定していますが、当コラムの第1回でも指摘している通り、任意登録から段階的に法律で義務化されることは間違いないところです。今回の中間とりまとめ発表から判断して、法制化に先立ち、東京都をはじめとする各都道府県の条例レベルでまず登録の義務化が推進されていくことになるでしょう。

ちなみに、この項目の最後に興味深い一文が付記されています。短いのでそのまま引用しましょう。「また、賃貸住宅におけるコミュニティの増進策についても検討すべきである」……うっかりすると見落としてしまいそうな、じつにさりげない一文ではありますが、シェアハウス大家さんなら即座にピンときたはずです。これが「規制」を意味するのか、それとも「助成」を意味するのか、現時点では判断材料が不足していますが、今のところ野放しに近いシェアハウスに対して、行政が何らかの「介入」を検討しはじめたひとつの証拠と見ることができるのではないでしょうか。

他の項目では「既存ストック活用の推進」にも要注目です。公共住宅や郊外住宅市街地、既存住宅など、東京都内の住宅ストック数は現在約75 万戸に達しており、これは都内の世帯数を1割以上も上回っています。今後も空き家は増加することが見込まれており、これらを如何にリフォーム・リノベーション等によって再生・活用していくかが焦点とされています。シェアハウス大家さんであれば、これらの空き家物件をどのように活用するでしょうか? ここにもビジネスチャンスの種が転がっているかもしれません。なお、東京都は10月26日までに都民からの意見をメール等で募集しており、11月には同審議会から石原都知事への答申が予定されています。これを機会に、行政に物申してみるのもいいでしょう。
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