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第8回 賃貸トラブルとシェアハウス

波乱の年明けから早くも1ヶ月半が経過しました。その間、「南関東でマグニチュード7クラスの地震が今後4年以内に70%の確率で発生する可能性がある」と発表した東京大学地震研究所の平田直教授をはじめ、東海大学海洋研究所地震予知研究センター長の長尾年恭教授、北海道大学地震火山研究観測センターの森谷武男博士ら地震予知のプロフェッショナルが口をそろえて「マグニチュード8〜9クラスの巨大地震がまもなく起こる!」と警告しています。こうした予言を裏づけるかのように、各地で不気味な揺れが続き、動物の異常行動や地震雲が観測されるなど、ここしばらく何やら不穏な空気が漂っています。地震そのものも物騒ですが、ある意味それ以上に厄介なのが風評による人心の動揺です。平素から万一の事態に備えつつ、軽挙妄動は慎む……とまあ、口で言うのはカンタンですが、人間、これがなかなかできることではありません。不動産オーナーにできることはいえば、自宅はもとより所有物件の防災の備えと、入居者に注意を呼びかけることくらいでしょうか。その一方で、貸室に過剰な備えを持ち込もうとする入居者がいれば逆の注意をしなければならないのですから、因果な商売かもしれません。

さて、国土交通省は去る2月10日、およそ20年ぶりに『賃貸住宅標準契約書』を改訂しました。これは、賃借人の居住の安定の確保と賃貸住宅の経営の安定を図るために、住宅賃貸借の標準的な契約書の雛形として1993年に作成されたものですが、昨今の賃貸借当事者間のトラブルを未然に防止するなどの観点から、条項の改訂や解説コメントの追加などを行った『改訂版』を作成したということです。おもな変更点としては、「反社会的勢力の排除を新設(第7条)」「明け渡し時の原状回復内容の明確化(第14条)」「記載要領を契約書作成にあたっての注意点に名称変更」「賃貸住宅標準契約書解説コメントを新たに作成」の4点。特に原状回復に関しては、これまで更新料と並んで賃貸人・賃借人間のトラブルのタネになってきた争点ですから、「入居時に賃貸人、賃借人の双方が原状回復に関する条件を確認する様式を追加、退去時に協議の上、原状回復を実施すること」を追加しています。もっとも、これでもなお、原状回復トラブルが完全になくなるということは考えにくいでしょうが……。なお、国交省では今後『定期賃貸住宅標準契約書』『サブリース住宅原賃貸借標準契約書』『終身建物賃貸借契約書』『サービス付き高齢者向け住宅事業の登録制度に係る参考とすべき入居契約書』等についても、反社会的勢力の排除等の観点からの改訂を予定しているということです。

賃貸でのトラブルといえば、東京都行政書士会の賃貸住宅問題相談センターは、きたる3月16日(金)に賃貸トラブルに関する無料講演会を開催するとのこと。これは国土交通省の補助事業(住宅セーフティネット基盤強化推進事業)の一環として開催されるもので、扱うテーマは「修繕をめぐるトラブル(貸主の修繕義務と特約の効力)」「更新に関するトラブル」「賃料滞納と契約解除に関するトラブル」「賃料の増減請求に関するトラブル」「契約の解除と立退き要求トラブル」「原状回復をめぐる敷金精算トラブル」等々に関する法律の定めおよび解釈と、実務における対応の留意点、また敷引特約および更新料に関する最高裁判例等について。先着180名まで無料ということですので、興味のある方は参加してみてはいかが……? また、(株)社会空間研究所でも同じような趣旨の無料研修会を開催するようですので、こういう機会に勉強してみるのもいいでしょう。

ちなみに、東京都に関していえば「賃貸住宅紛争防止条例」があり、「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」も策定されています。ただし、その内容は……ご存じの方も多いと思いますが、徹底的な賃借人優遇で、賃貸人にとってはかなり一方的に譲歩が求められます。なにしろ「何ヶ月分もの家賃を踏み倒された賃貸人」よりも、「何ヶ月も家賃も払えないほど困っている賃借人」を保護すべきとする趣旨で定められた条例だからです。シェアハウスの場合、入居に当たっては厳格な審査が行われていると思われますが、それでも不良賃借人を水際で完全に排除することは難しいでしょう。また一方では、昨今の景気動向から勤務先の経営破綻や突然のリストラなど、賃借人本人の人間性とは何ら関係のない事情で収入が途絶えるケースなども考えられます。いずれにせよ、不動産賃貸ビジネスに伴うリスク自体が多様化している時代ですから、皆さまのシェアハウスも今後、いつ予期せぬ賃貸トラブルに見舞われないとも限りません。いつ起こるかわからない天災とともに、こうした人災に対しても、常に備えを怠らないようにしておきたいものです。

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