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第11回 リフォーム市場とシェアハウス

消費税増税を柱とした、いわゆる「社会保障と税の一体改革関連法案」の民主・自民・公明3党による修正協議が大詰めを迎えています。皆さんが当コラムをご覧になるころには決着がついているかもしれませんが、野田首相は「会期中の法案成立に政治生命を賭ける」と大見得を切りながら、その一方で「解散云々ということは軽軽に言えない」などとお茶を濁し、民意を問うことからはひたすら逃げ回っています。ここで野党側が安易に妥協するようなら、年内の解散・総選挙、そして政権交代は絶望的といえそうな状況です。

さて、その野党側の妥協を引き出すために野田首相が行ったのが、6月4日に実施された第二次内閣改造。このとき新たに入閣した民主党羽田グループの羽田雄一郎国土交通相は、6日に行われた建設専門紙記者会の共同会見で、今年3月に国交省が策定した「中古住宅・リフォームトータルプラン」の具体化が重要だと語りました。これは一昨年6月に閣議決定された「新成長戦略」で示された「中古住宅・リフォーム市場の倍増」に向けて、従来の新築中心の住宅市場から、今後はリフォームによって住宅ストックの品質・性能を高め、中古住宅流通により循環利用されるストック型の住宅市場への転換を図るというものです。限りある資源の有効活用という意味で時流に沿った政策というだけでなく、シェアハウス大家さんにとっても関心の高い「身近なテーマ」ではないかと思われます。具体的には、上記プラン中にある「リフォームによる民間賃貸住宅の有効活用の促進」「リフォームの魅力向上のための多様なプレーヤーの参入・連携の促進」といったあたりは、シェアハウスとの親和性が高いテーマといえるでしょう。

折しも14日には、
(株)矢野経済研究所が、2012年第1四半期(1〜3月)における住宅リフォーム市場に関する調査結果を発表しました。これによると、2011年度(2011年4月〜2012年3月)の住宅リフォーム市場規模は前年比5.8%増となる6兆1,276億円と推計され、2012年度は5.8〜6.2兆円と予測されています。昨年下半期は東日本大震災の復興特需などで住宅リフォーム市場は好調でしたが、年明けからの第1四半期は前年同期比▲0.4%といささか低迷しているようです。同社では、昨年下半期の好調は消費者の一時的なリフォームトレンドによって支えられていたに過ぎず、時間の経過とともにこれらのトレンドが沈静化しつつある一方で、新たなトレンドの盛り上がりに欠けたことが第1四半期の苦戦につながったと分析しています。そのうえで、昨年に引き続き断熱改修や窓のリフォームなどの「省エネ」、太陽光発電を中心とする自家発電設備の導入などの「創エネ」分野がリフォーム需要を牽引すれば、市場が上向くことも期待できるだろうと指摘しています。ただし、長引く不況の中でこれらの設備投資を推進するには、減税や補助金など国による支援が不可欠ですが、今の政権にどこまで期待できるものか……? 現に、羽田国交相は日経新聞のインタビューに対して、消費税増税時に影響が懸念される住宅市況への対策として、住宅ローン減税の拡充や住宅エコポイントなどの予算措置を「総合的に検討する」と述べるにとどめています。いずれ問題が表面化すれば場当たり的な対策は打ち出すでしょうが、現時点では具体的な腹案は何もないことを図らずも露呈したような恰好です。

国に期待できない以上、自分たちで何とかするしかありません。そして、リフォーム市場の伸び悩みは、見方を変えれば不動産投資家にとってチャンスでもあります。何故なら、一般にリフォームを行う理由は「居住者が長く住み続けるため」または「物件価値を高めて、高値で売却するため」だからです。リフォームの時期を迎えていながら資金等の理由でそれができない中古物件が市場に増えれば、それだけ安値で中古物件を入手できるチャンスが増えるという理屈です。シェアハウス投資はもともとリフォームすることが前提ですから、未リフォーム物件が安く入手できればそれに越したことはありません。

ちなみに、12日に野村不動産アーバンネット(株)が発表した「不動産投資に関する意識調査」によれば、現在の不動産投資市場について、「買い時」と回答した投資家は49.5%、「間もなく買い時が来る」を合わせると78.7%と、前回調査時(52.7%/83.2%)より若干下がったものの、「買い時感」は高い水準で推移していることがわかります。これは同社の投資用不動産サイト「ノムコム・プロ」会員を対象としたアンケート調査で、物件への総投資額1億円以上の回答者が全体の42.0%を占め、28.0%が不動産投資による年間収入が「1,000万円以上」と回答しているように、シェアハウス大家さんに比べるとやや高額所得者層寄りかもしれませんが、じゅうぶんに参考になるはずです。

某大手総合不動産会社が3月にリリースした大型シェアハウスは竣工から約2ヶ月で満室稼動となりました。今後も大手の市場参入が加速することが予測されるなか、中小・零細事業者であるシェアハウス大家さんが生き残るには、わずかなチャンスを最大限に活かす努力が必要となってきます。

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