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第13回 価格動向とシェアハウス

すでに新聞やニュースでご存じのことと思いますが、ゆうちょ銀行が住宅ローン事業に参入するようです。一部報道によれば「サラリーマン向けの一般的な住宅ローンのほか、個人事業主や高齢者、女性など向けの商品展開を行う方針」といいますから、これは個人事業主であるシェアハウス大家さんにとって見逃せない情報です。9月3日に金融庁長官・総務大臣に許可申請が出されたところですが、両省庁は政府の郵政民営化委員会の判断を踏まえて決定するとのこと。早ければ9月中にも認可が下り、来年4月から事業をスタートする方針だといいます。これについて、民間の金融機関から「民業圧迫だ!」との声もあるようですが、融資を受ける側からしてみれば、選択肢は少しでも多い方が助かるのも事実。競合が増えれば、ゆうちょ銀行だけでなく民間の金融機関でも、顧客獲得のために審査基準や金利やサービスなどの面で少しは便宜を図ってくれるようになるかもしれません。期待しつつ、ことの成り行きを見守りたいところです。


さて、今回のテーマは、その融資を受けて投資すべき不動産物件の価格動向についてです。8月末には、民間事業者および公的機関からさまざまな調査データが発表されていますので、順を追って見ていきましょう。


 まずは、8月28日に(株)東京カンテイが発表した、2012年7月度の「中古マンション価格天気図」。これは全国47都道府県のファミリータイプ中古マンションの流通事例価格を月ごとに集計、価格変動を「天気マーク」で表示したもので、価格が上昇傾向にある場合は「晴」、下落傾向にある場合は「雨」と表記しています。これによると、7月時点での価格天気図は、「晴」が前月の8から5地域に減少したのに対し、「雨」は10から16地域に急増していることがわかります。前月に比べて天候が改善した地域が10から6に減少し、悪化した地域は7から16に増加しました。つまりは、全国的に中古マンションは下落基調にあるということになります。


続いて、8月31日に(株)ファーストロジックが発表した2012年7月期の「投資用 市場動向データ」の調査結果。これは7月1〜31日の期間に、同社の運営する不動産情報サイト「楽待」に新規掲載された物件や問い合わせのあった物件を対象とした調査です。これによると、投資用1棟アパートの物件価格は、新規掲載された物件で5,125万円(前月比▲392万円)と大きく下落し、問い合わせのあった物件で3,688万円(同▲107万円)と下落、いずれも今年最安値となっているそうです。ちなみに、投資用1棟マンションでは新規掲載物件の価格が1億4,633万円(同▲2,690万円)と大きく下落し、問い合わせ物件では1億3,093万円(同▲22万円)とほぼ横ばいでした。いっぽう、投資用区分マンションでは新規掲載物件の価格が987万円(同47万円増)と上昇し、問い合わせ物件では969万円(同285万円増)と大きく上昇しています。ここから読み取れる傾向としては、5,000万円から1億円超という大型物件に関しては概して市場の動きが鈍く、売主側が値引きに踏み切っていること。また、小資本の個人投資家の関心が、おそらくはリスクを少しでも抑えたいという狙いから、1,000万円未満のワンルーム物件に集中しているという現状が見て取れます。


こうした民間レベルでの調査はかなり昔から続けられてきましたが、ついに官公庁も重い腰を上げたようです。8月29日に国交省「不動産価格指数(住宅)」の試験運用を開始、2012年4月分の速報値を発表しました。こちらは年間約30万件の住宅・マンション等の取引価格情報を基に、全国・ブロック別、都市圏別に、毎月の不動産価格を指数化した不動産価格指数を公表するものです。国際指針に基づき、2008年度平均を100として、更地・建物付土地、マンションのそれぞれの価格の変動を月次で指数化しています。2008年というと、今なら「リーマン・ショックのあった年」としてイメージしてしまいがちですが、不動産価格の相場は同年上半期あたりまでは、前年までのプチバブルの影響で高値が続いていました。もっとも、夏前から雲行きが怪しくなり、6月ごろからマンションデベロッパーの連鎖倒産が始まるわけですが……。いずれにせよ、2008年度平均を100とした場合、2012年4月度の全国の住宅総合指数は91.9(対前年同月比▲1.9%)、更地・建物付土地で89.0(同▲2.7%)、マンションは106.8(同1.9%増)となっています。ちなみに東京を含む南関東圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)では住宅総合指数93.6(同▲4.2%)、更地・建物付土地90.0(同▲5.7%)、マンション105.3(同0.7%増)と、いずれも全体的には下落傾向ながら、ことマンションに関しては上昇傾向を示していることがわかります。ただし、これは「2012年4月度」のデータ、という点がポイント。前述の東京カンテイやファーストロジックの調査からもおわかりのように、直近数ヶ月でマンション価格の値崩れが起こっており、今後継続的に調査が行われていけば、国交省のデータでも同様の結果となるはずです。


それを裏づけるのが(株)東京証券取引所が8月28日に発表した2012年6月度の「住宅価格指数」で、こちらは4ヶ月連続の下落となっています。


 とはいえ、こうした目先の価格下落を見て「今なら買い時!」と短絡的に飛びつくのは考えものです。データはあくまで傾向を分析するための材料に過ぎません。「点」ではなく「線」、中長期的傾向から判断することが大切です。これらのデータは毎月更新されていますので、それぞれのサイトをブックマークしておいて、定期的にチェックするように習慣づけておくとよいでしょう。

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