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第14回 価格動向とシェアハウスその2

日本と中国、韓国の領土問題がこのところメディアを賑わせていますが、特に中国では一時期、連日のように反日デモが報道されていました。今はそれなりに落ち着いてきたようですが、それでも中国への出張を中止または延期された方、中国駐在から一時帰国された方など、民間レベルでも少なからぬ影響を与えたことは記憶に生々しいことでしょう。欧米諸国の長引く不況のなか、日本にとっての中国市場の相対的重要性はますます高まりつつあるだけに、政府の対応が注目されるところです。

その中国で今、かつての日本をそのままなぞるような不動産バブルが起こっているようです。『香港ポスト』の報道によれば、香港の住宅価格の相場は新築・中古とも高騰が続き、今年8月の住宅価格指数は1997年のいわゆる「返還バブル」を20%近くも上回り「過去最高を更新し続けている」とのこと。かつての日本と違うのは、ほとんどの人が「バブル=いずれは弾けるもの」という認識を持っており、すでにリスク回避のため所有物件の売却に踏み切った有名エコノミストもいるようです。能天気な土地神話に毒されていない分、冷静な対応が期待できそうではありますが……最終的には、個々の投資家の資質が問われることになりそうです。

ついでに、海外ネタをもうひとつ
『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本版によると、米ニューヨーク州マンハッタンのアッパーイーストサイドで2009年に2800万ドル(1ドル=78円換算で約22億円)で売りに出され、ずっと売れずにいた物件が、最近価格を見直して3500万ドル(同約27億円)に値上げされました。フロリダ州マイアミビーチでは、2010年に2900万ドル(同約23億円)で売りに出された物件が、1年間売却対象から外されたのち、4000万ドル(同約31億円)で再度売りに出されているそうです。同記事ではこうしたニュースをいくつも取りあげながら、「売却希望価格を上げることが最終的な売却価格の上昇につながることはまれだ」などと懐疑的な専門家の見解を紹介して話をしめくくっていますが、米国の高級不動産業界の一部でそのような動きが見られる、ということも事実。日本でもときどき、超のつくような高級不動産物件がいきなり話題になることがありますが、どこの国でも、市場が冷え込んでいるときにこそ、フラグシップとして業界を牽引してくれる効果を期待する向きも多いようです。

さて、前回の当コラムでは不動産価格の下落傾向について指摘いたしましたが、どうやらここへきていささか風向きが変わりつつあるようです。まずは、前回もご紹介した(株)東京カンテイ(株)ファーストロジックの調査から。

東京カンテイは10月15日、2012年9月度の「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」を発表しました。これは同社のデータベースに登録された分譲マンションの「月額募集賃料」を行政区単位で集計し、平米単価に換算したもので、対象となる物件はファミリータイプのみとなっています。ファミリータイプの分譲マンションといえば、シェアハウス大家さんとしても賃料相場の動向には無関心ではいられないでしょう。これによると、同月の首都圏分譲マンションの1平米当たり平均賃料は、2,479円(前月比0.5%増)と、前月の下落から再び上昇に転じました。とりわけ東京23区は3,005円(同0.2%増)と3ヶ月ぶりに3,000円台を回復し、都県別では1都3県すべて、主要都市別では千葉市を除く首都圏のすべての都市で上昇しています。

いっぽう、ファーストロジックは10月9日、2012年9月期の「投資用 市場動向データ」の調査結果を発表しています。これは9月中に、同社の運営する不動産情報サイト「楽待」に新規掲載された物件や問い合わせのあった物件を対象としたもので、前回も当コラムで取り上げたばかりです。しかし、前回では投資用1棟アパートで新規掲載物件・問い合わせ物件ともに「今年最安値」という取り上げ方だったのに対し、今回は、表面利回りでは新規掲載物件・問い合わせ物件ともに上昇、物件価格でも問い合わせ物件に関しては前月から大きく上昇しています。さらに、投資用1棟マンションでは、新規掲載物件の表面利回りが4ヶ月連続で上昇し「今年最高値」をマーク。物件価格も新規掲載物件・問い合わせ物件ともに上昇し、後者が前者を大幅に上回っています。これに対して、投資用区分マンションでは、表面利回りと物件価格について新規掲載物件で上昇しているものの、問い合わせ物件では両方とも下落しました。すなわち、投資家の目がより高額な投資用1棟マンションや投資用1棟アパートに向いていることがわかります。

こうした背景にあって、(公財)東日本不動産流通機構が10月10日に発表した「月例速報Market Watch」を見てみると、2012年9月における東日本レインズの中古マンション成約件数は2,775件(前年同月比10.4%増)となり、前年同月比で2ケタ増を記録しました。1平米当たりの成約単価および平均価格は、いずれも横ばい〜小幅な下落のうちに推移していますが、これは成約件数が増えただけ分母が大きくなっているということで、対象エリア内の価格動向が必ずしも下落傾向にあるとはいえません。それより、中古マンションだけでなく中古戸建住宅でも成約件数が11.4%と2ケタ増になっている点を注目すべきでしょう。レインズに限らず――というより、不動産物件に限らず、あらゆる商品は「安い物から順に売れる」ということはありません。賃貸住宅でも同じことで、安い部屋から順に埋まっていく、などという法則はないはずです。つまり、入居者が集まらないからと家賃を値下げしたり、買い手がつかないからといって売却価格を下げるのは、「なぜその物件は不人気なのか?」という原因分析を放棄した安易なやり方だということができます。

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