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第23回 脱法ハウス問題とシェアハウスその4

早いもので、2013年も残すところあと2ヶ月余りとなってしまいました。9月から10月にかけては、日本経済の今後を占う上で非常に大きな意味を持つ2つの出来事が前後して起こりました。1つは、2020年度に開催が決定した東京オリンピック。1964年に開催された前回大会は、EXPO’70とともに、日本の高度経済成長を強力に推進する起爆剤の役割を果たしましたが――さて、今回はどういうことになりますか。外貨誘致に大いに役立ってくれそうな期待もある反面、これで否応なくTPP参加は「確定事項」となってしまった感があります。そしてもう1つが、言うまでもなく2014年4月1日からの消費税率8%の施行。すでにこの10月1日から、さまざまな小売価格の上昇に加え、国民年金や生活保護費の引き下げが実施されております。貧困層のフトコロを直撃するこれらの政策が、はたしてシェアハウス大家さんにとってどんな影響をもたらすか? 見通しは、依然として明るいものではないようです。

さて、ここしばらく続いている「脱法ハウス問題」ですが、今回も引き続きこのテーマを論じていくことにいたします。まずは、前回のコラム掲載の直後の9月6日に報じられたニュースから。例によって全文引用することにいたしましょう。
「居室が狭く危険な『脱法ハウス』を巡り、国土交通省は6日、事業者が管理して複数人を住まわせる施設に、建築基準法上の『寄宿舎』の基準を適用して指導するよう全国の自治体などに通知した。事務所や倉庫と称して細かく仕切った施設に住まわせるケースだけでなく、近年増加している『シェアハウス』にも適用する。寄宿舎には、一般の住宅や事務所より防火性能の高い間仕切り壁を設けることや各居室に窓を設けることなどが義務づけられる。
 同省はこの基準を適用するケースを『事業者が入居者の募集を行い、自ら管理する建築物の全部または一部に複数の者を居住させる「貸しルーム」』と定義。改修の有無と関係なく用途を『寄宿舎』にする必要があり、自治体に住宅や事務所として届け出ている100平方メートル以上の施設は用途変更が必要となる。例えば、貸す前の建物の用途が住宅(一戸建て)で、間仕切りなどを変更せずに『シェアハウス』とした場合も該当するという。
 またこうした施設で、特定の居住者が就寝するなど『一定のプライバシーが確保され、独立して区画された部分』は同法上の『居室』に当たり、採光窓を設ける必要があると明言。具体的には(1)間仕切りが天井に達していない(2)(寝台部分を隔て)凹凸を設けて空間を上下に区画(3)天井と床の間を上下2段に区画−−などのケースも該当するとした。
 また同日、一般社団法人マンション管理業協会などに対し、『脱法ハウス化』を防ぐため、専有部分の改修に承認規定を設けるなどの規約改定を推奨する『周知文』を全国のマンション管理組合などに配布するよう通知した。(毎日新聞 2013年09月06日 22時02分)」

例によって、毎日新聞の同じ記者による記事です。ちなみに、同記者は10月1日の生活保護費引き下げの際には、「シェアハウス在住の生活保護受給者」からのコメントと称して記事にしていますが、「遵法ハウス」であれば生活保護受給者の入居はまず審査の段階でハネられているはずですから、必然的にこれまた「脱法ハウス」の入居者ということになります。遵法も脱法も無造作に「シェアハウス」とひとくくりにしてしまうあたり、同記者の意図が透けて見えるのは私だけではないはずです。

続いて、「住まいの貧困に取り組むネットワーク」が、9月12日に「脱法ハウス入居者生活実態調査報告書」を発表しました。同ネットワークの場合、「脱法ハウスと呼ばれる違法性を含むシェアハウス」という前提で調査・報告を行っているので、毎日新聞の記者に比べれば公正ではありますが、やはりシェアハウス全体のイメージダウンにつながっている感は拭えません。9月25日にはNHKの「あさイチ」で「どう思う?脱法“シェアハウス”〜増える改修工事トラブル」と題した特集番組が放映され、やはり「シェアハウス=脱法ハウス」と言わんばかりのネガティブキャンペーンを展開。10月2日には葛飾区議会が「脱法ハウスの実態把握と法的規制に関する意見書」を提出しています。

こうした逆風の吹き荒れるなか、シェアハウス経営そのものから撤退しようという大家さんが現れても不思議ではありませんが、ここは踏ん張りどころ。東京オリンピック前後には海外からの短期滞在者が一気に増えることも想定され、また、英会話コミュニティを運営するシェアハウスは付加価値が高まっています。一時的な事業規模の縮小は視野に入れるとしても、シェアハウスの火だけは消さずに耐え抜いてまいりましょう。
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