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第25回 2014年とシェアハウス

皆様、あけましておめでとうございます。本年も当コラムをよろしくお願いいたします。
2014年の年明けは、思いもよらないアクシデントから幕を開けました。いうまでもなく、1月3日の朝発生し、東海道新幹線をはじめとして山手線・京浜東北線など首都圏の交通網をマヒさせたばかりでなく、折からのUターンラッシュに深刻な影響を与えた「有楽町火災」です。火災の原因はパチンコ店の水槽の電気配線からの漏電だそうですが、まさかこれほどの重大事故になろうとは……。昔から「もらい火は仕方がないが、火元にだけはなるな」と申します。今回の場合、死傷者はゼロにも関わらず、パチンコ店の失火責任に対する賠償請求額は莫大なものになることが予想されます。シェアハウス大家さんも不動産管理者ですから、これは決して他人事ではないと考えるべきでしょう。

さて、2014年は暦の関係で本日1月6日から仕事始め、という方も多いことでしょう。毎年恒例の業界団体や企業の経営トップによる年頭所感も、今年は本日付でメディアに発表されています。例によって不動産業界関連の大御所が顔を揃えておりますが、今年はやはり2020年の東京オリンピック招致決定を受けて、先行きの明るさを感じさせるコメントが多かったのが印象的でした。

三井不動産の菰田社長は「日本の国際競争力を復活させるには、都市としての東京の国際競争力を高めなければならない」という意味のコメントを述べていますし、中長期経営計画「BREAKTHROUGH 2020」を掲げる三菱地所の杉山社長は「2020年にめがけ、東京が世界に誇れる街となるよう、努力と工夫を重ねていきたい」と抱負を述べておられます。ほかにも、東京建物の佐久間社長は「オリンピック招致決定は社会的にも明るいニュースとして歓迎するが、これにより都市のインフラ整備加速も期待される。国際都市東京としての魅力を高め、世界に発信すべく、街づくりを通じて一躍を担っていきたい」と述べ、森ビルの辻社長は「2014年はオリンピック開催に向けた『東京再生元年』」と語っています。これらのコメントに共通するのは、オリンピックの舞台装置となる「東京」という都市そのものの再生に向けたビジョンでしょう。いずれもビッグネームぞろいのメンバーだけに、言っていることもスケールが大きいですが、これは、じつは個人レベルに置き換えても同じことが言えるのです。

もちろん、シェアハウス大家さんに責任が持てる範囲はせいぜい建物1棟、あるいは1区画が精いっぱいという世界ですが、東京という都市を形成しているのは、ギリギリまで突き詰めれば一人ひとりの個人。ならば、それが数名、十数名という人数の集合体であるシェアハウスは、ミニマムな単位の「都市」……というのが大げさなら、「街」あるいは「町」ということができるはずです。「国際競争力」とか、「街づくり」などというと、いかにも他人事のようにそらぞらしく感じてしまいますが、それだって個人レベルに置き換えることができないわけではないのです。

今回のコラムの冒頭でご紹介した、有楽町火災のことをもう一度思い返してみてください。あれは、個人レベルの管理責任が、ひとつの都市どころか、複数の都市にまたがって影響を与えた事例ということができます。もちろん、悪影響であり、マイナスの影響です。しかし、個人の行動がマイナスの影響を複数の都市にまき散らすことが実証された以上、逆にプラスの影響をもたらすことだって不可能ではないはずだといえるでしょう。

……何やら抽象論のようになってしまいましたが、要は、何ごとも他人事ではなく、自分自身のこととして考える習慣を持つことです。そうすれば、お金も地位も権力もない私たち庶民にも、街づくり・都市づくりの主役として参加することができるのです。昨年から続いているシェアハウス業界の暗雲を吹き払うヒントは、案外そんなところに見つけられるかもしれません。
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