不動産関連お役立ち情報  >  新・今月の不動産コラム  >  第26回 メディア報道とシェアハウス

第26回 メディア報道とシェアハウス

2月8日から9日にかけて、東京都心では27cmの積雪となり、「45年ぶりの大雪」と騒がれたものでした。ところが、その1週間後の2月14日から15日にかけては、東京都心でふたたび27センチの積雪を観測しただけでなく、関東甲信越で観測史上1位という記録的な豪雪となったのです。当コラムを書いている時点では、まだ詳しい被害報告はまとまっておりませんが、各地で大雪のために交通機関がマヒし、多くの帰宅困難者が出た模様です。15日未明には東急東横線元住吉駅で電車の追突・脱線し、19人が負傷する事故が発生。また、一都三県で数万世帯が一時停電するなど、雪による事故も数多く発生しています。東京の雪は15日午前中に雨に変わったようですが、気温が上がらないため、今後数日からは2週間くらいは足元に注意が必要になるでしょう。皆様もどうぞお気をつけください。

さて、2013年いっぱい続いた「脱法ハウス問題」ですが、ここへきてようやく少し沈静化してきたようです。『知恵蔵2014』の定義によれば、脱法ハウスとは「貸事務所や貸倉庫として届けられているが、実際は2〜3畳に仕切られた小スペースが住居用として貸し出されているシェアハウス。保証人や敷金・礼金が不要、賃料が格安、都心に近いなどのメリットがあるが、窓や防火器具がなく、避難路も確保されていない施設が多く、建築基準法・消防法・建築関連条例などで住居用施設としての違法性が強い(後略)」とあり、合法的なシェアハウスと区別しています。その一方で、こうした定義が世間一般に浸透しているのかどうかについて疑問もあります。
たとえば、1月16日付の毎日新聞で報道されたこの記事。少し長くなりますが、前半部分を引用してみましょう。
「15日午前7時ごろ、横浜市中区日ノ出町1のビルから出火しているのを近隣住民が見つけ119番した。約30分後に鎮火したが、地下1階、地上7階建てのビル(延べ面積600平方メートル)のうち、5階の約30平方メートルが焼け、居住する男女5人が軽傷を負った。4人が外国人、1人が日本人とみられる。神奈川県警伊勢佐木署などが原因を調べている。
同署などによると、ビルは1〜7階の各階1つの部屋を細かく多数に仕切ったシェアハウス構造で40人弱が暮らしていたという。昨年7月にもぼや騒ぎがあり、地元の中消防署が立ち入り検査に入って管理者に指導中だった(後略)」
ここに引用した文章だけではやや判断が難しいところですが、5階の同一フロアに男女が入居していた(?)と思われること、また昨年7月にもぼや騒ぎがあったこと、これに対する管理者の対応が不十分であった(?)と思われることなどからして、これなどは限りなく「脱法ハウスに近い物件」ではないかと思われます。こうしたものまで、メディア報道ではひとくくりに「シェアハウス」と紹介されてしまうのは、優良(=合法)ハウスのオーナーであるシェアハウス大家さんにとってはいい迷惑でしょう。

いっぽう、2月1日付の朝日新聞の記事では「就活、シェアハウスがお助け 格安滞在、交流の場にも」と題して、シェアハウスに対して好意的・肯定的な記事が掲載されています。こちらも要点だけ抜き出して引用してみましょう。
「地方から上京し、首都圏で就職活動をする学生が安価に泊まることができる『就活シェアハウス』が広がっている。説明会やインターン、面接と、足を運ぶたびにかさむ交通費や滞在費の節約になるからだ。同級生と離れ、1人で就活を続ける地方学生にとっては、仲間と情報を交換できる貴重な場にもなっている(後略)」

ここに紹介している「就活シェアハウス」については、どちらかといえばシェアハウスというよりはユースホステルに近い短期逗留施設のようにも読めますが、ニッチなコンセプトに基づくコミュニティ形成の場という意味では、やはりシェアハウスにカテゴライズしてよいでしょう。それはともかく、こちらの記事では、またずいぶんと好意的に報じられているように感じます。

では、ここへきてようやく風向きが変わってきたのか、といえば、どうもそういうわけではないようです。おそらく、毎日新聞が昨年以降、原則として「アンチ・シェアハウス」の姿勢を打ち出していることから、ライバル紙である朝日新聞サイドとしてはシェアハウス擁護を前面に出してきたのではないでしょうか。事実、朝日新聞出版の週刊誌『AERA』などでもさかんに「シェアハウス擁護論」を展開しています。結局のところ、こうした大新聞同士の対立によって、メディア報道におけるシェアハウスの扱いが180度変わっているのだという実態がどうやら明らかになってきました。シェアハウス大家さんとしては、メディア報道の風向きに一喜一憂したりせず、どんな状況でもブレない姿勢を貫くことが大切ではないでしょうか。
前
第27回 規制緩和とシェアハウス
カテゴリートップ
新・今月の不動産コラム
次
第25回 2014年とシェアハウス

ログイン

ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失


シェアハウス大家さん
倶楽部(無料)

シェアハウスで不動産投資に踏み出すサラリーマンやOLの皆様を応援する会員制プログラムです。ご登録いただくと各種不動産投資情報やサービスを無料提供致します。
入会申込(無料)