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第29回 不動産市況とシェアハウス2014

関東地方は6月に入って早々に梅雨入り宣言が発せられ、豪雨や雷雨など不安定な天候が続いています。中旬に入ると今度は一転して好天に恵まれましたが、長期予報に寄ればこれから6月下旬にかけては、ふたたびぐずついた空模様が続きそうだとか。まだまだ当面は、出かけるときは傘が手放せないようです。また、このところの連日の雨で地盤が緩み、わずかな降雨でも土砂崩れが発生するなどのリスクは高まっています。シェアハウス大家さんの皆様におかれましては、ご自宅はもちろんのこと、所有不動産物件の周辺状況は確認されておりますでしょうか? 建物自体には問題なくても、近隣に坂道や崖など、土がむき出しになっているような場所では注意が必要です。また、地域ごとに注意報や警報が発令されることもありますから、常にアンテナを張りめぐらせておきましょう。

さて、アンテナを張るといえば、4月1日の消費税増税以降、不動産市況の動向はどうなっているか、きちんと把握されていますか? 世間的には、増税の影響をマイナスとして正面から捉えた報道はほとんどなかったように記憶しています。ここ最近では、マスコミは集団的自衛権をめぐる憲法解釈の問題やら、あるいはサッカー・ワールドカップの話題やらで忙しく、「消費税増税の市場への影響」などという話題はなんとなく忘れ去られたかのような印象さえ受けます。とはいえ、業界各社は目立たないながらも定点観測の結果を黙々と公表しており、その中には今後の不動産投資を判断する貴重な材料がいくつも転がっています。

たとえば、当コラムでもたびたびご紹介している(株)東京カンテイのデータを見てみましょう。これは、同社のデータベースに登録されたファミリータイプ分譲マンションの「月額募集賃料」を行政区単位で集計し、平米単価に換算したものです。6月16日に発表された、2014年5月度の「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」によると、同月の首都圏分譲マンションの1平米当たり平均賃料は、2,621円(前月比0.6%下落)。都県別でみると、東京都が3,076円(同0.3%下落)、神奈川県で2,079円(同0.6%下落)、埼玉県で1,604円(同1.5%下落)、千葉県では1,554円(同0.6%下落)と、1都3県で軒並み下落しています。前月まで6ヶ月連続上昇中だった東京都が頭打ちとなり、もっとも下落幅の大きい埼玉県は前月に続いて2ヶ月連続の下落となっています。主要都市別でも、首都圏では横浜市の横ばいを除いて軒並み下落、名古屋市も下落に転じ、元気のいいのは神戸市と大阪市くらいのものです。この結果について東京カンテイでは、「賃貸繁忙期が終了したことで、これまでの上昇基調に一服感が出た。今後は下落というより、いまの賃料水準のまま高止まりする可能性が高い」と分析しています。つまりは季節要因に帰するもので、市況そのものが悪化しているわけではないという判断でしょう。

また、(公財)東日本不動産流通機構が6月10日に発表した、東日本レインズにおける5月の市場動向によれば、首都圏中古マンション成約件数は2,638件(前年同月比14.2%減)となり、2ヶ月連続で2ケタ減となっています。これについては、東京カンテイの調査と同様に、季節要因による影響もあるかもしれませんが、前年5月の大幅な成約件数増の反動もあったようです。こちらは賃貸ではなく売買の成約件数ですから、前年同時期における住宅ローンの長期金利下落の影響が大きいと見られます。

いっぽう、オフィスビル市況については、業界大手のシービーアールイー(株)、三幸エステート(株)、三鬼商事(株)などが相次いで5月度の調査を発表していますが、いずれも空室率は横ばい〜低下、募集賃料は上昇傾向にあるとの内容で、異口同音に市況回復の手ごたえを謳っています。マンションといい、オフィスビルといい、いずれもシェアハウスとは直接関係ないように思われるかもしれませんが、これらの業界では長年積み重ねてきたデータの蓄積がありますから、歴史の浅いシェアハウス業界に比べて、不動産市況の動向を読み解く上で参考になることも多いと思われます。

こうしたなかで、(一社)全国住宅産業協会(全住協)は6月10日に開催された第2回定時総会の場で、2014年度事業計画と予算などをとりまとめました。これによると、2014年度は政府に対して、消費税10%時の軽減税率の導入、住宅・土地税制改正、住宅金融支援機構のフラット35をはじめとする融資制度などに関する要望を提出することになりそうです。こうした動きからは、業界団体としても、必ずしも現状を楽観視していないことが伝わってきます。たしかに、現在の消費税率8%はあくまで時限措置であり、いずれ10%(もしくはそれ以上?)に跳ね上がることは確実なのですから、短期的な市況動向だけを見て「増税の影響は少ない、あるいはまったくない」などと結論づけるのは早計でしょう。
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