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第31回 景気低迷とシェアハウス

ここ数日来、日本中を熱狂させていたものといえば、テニス・全米オープンの錦織圭選手の活躍でしょう。9月9日朝に行われた決勝戦では惜しくも0‐3で敗退したものの、日本人初の四大大会決勝進出、準優勝という成績は、ひさしぶりに日本人の心を湧き立たせました。敗れたとはいえ、今後のさらなる飛躍を予感させる戦いぶりでした。錦織選手はまだ24歳の若さ、今回の苦い経験を活かして必ずや次につなげてくれるものと期待しております。一方、その前日には、同じアメリカのニューヨーク外国為替市場の円相場は1ドル106円を突破し、5年11ヶ月ぶりの円安水準となりました。安倍改造内閣の発足に対する「ご祝儀相場」との見方もありますが、この円安を追い風とする輸出産業が日本経済の低迷をどこまで牽引してくれるものか、まだまだ安心はできません。

さて、東京都は9月4日、2014年7月の住宅着工統計(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2014/09/60o94100.htm) を発表しました。同月の新設住宅着工戸数は1万1448戸(前年同月比1.5%減)と2ヶ月ぶりに減少し、特に持家とマンションは6ヶ月連続の減少。そして都心3区(千代田区・中央区・港区)は347戸(同48.0%減)と大幅に減少しています。同日に発表されたハウスメーカー各社の四半期決算を見ても、積水ハウスは15年1月期の第2四半期で主力の戸建住宅事業で受注が前年同期比33.3%減、ファースト住建は14年10月期の第3四半期で戸建事業の販売棟数が同10.2%減と、いずれも直近の駆け込み需要から消費税増税実施の反動で大幅に業績が落ち込んでいます。

同じく9月4日に帝国データバンク(TDB)の発表した「2013〜14年度 業界天気図」(http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p140806.pdf) の調査結果を見ると、住宅業界では「戸建」「マンション」とも「薄日」から「曇り」へと悪化しました。TDBではこれについて「同業界は、建材価格や労務費の高騰に伴う販売価格の上昇などから、さらなる下振れも懸念されるとしている。また、同業界の悪化により、賃貸物件などを手掛ける不動産仲介や、木材・金属などの建材関連のほか、住宅設備機器、家具などの周辺業界もそれぞれ悪化する見通し」と分析しています。また、その前日には「TDB景気動向調査(全国)」8月調査分(http://www.tdb.co.jp/report/pdf/201408_jp.pdf) の結果が発表されていますが、こちらも3ヶ月ぶりに悪化しており「国内景気は足踏み状態で、先行きに慎重な見方も一部出始めている。景気見通しはピークの3月以降、伸びは鈍化傾向で、景気上昇の勢いが弱まるとみられている」と分析しています。地域別にみても全地域で悪化、業界別にみると特に「不動産業」「建設業」の両業界で悪化していることがわかります。同調査に対して、不動産業界からは「消費税増税後の反動減が予想より厳しい」「建築費高騰により住宅の販売価格が急上昇」「状況が悪い」といったコメントが寄せられており、また建設業界からは「受注は増えたが労務費・資材の値上がりにより利益率が低下」「受注競争が激しく受注価格の低減を招いている」といったコメントが寄せられているとのことです。

こうしたなかで、比較的元気のいいのがJ-REITを主催する不動産証券化協会(ARES)です。9月4日に開催されたARESの第76回理事会では、平成27年度税制改正の要望項目の進捗報告が行われましたが、理事会後の記者会見で岩沙弘道会長は「引き続きJ-REIT市場は堅調。8月末時点で時価総額8兆8,000円となった。今後もさらなる不動産投資市場の拡大に向け、税制改正要望など関係各所へ働きかけていく」と述べています。また、これに先立って発表された「J-REIT REPORT No.58(2014年9月)」(http://j-reit.jp/download/ares_jreitreport_201409_58.pdf) でも、ARES会員企業の堅調な実績が報告されています。

ただし、忘れてはならないのは「REITはもともと不況時のリスクヘッジとして生まれた商品である」という事実です。REITが好調だということは、とりもなおさず世間が不況であることの裏返しなのです。前述のARES理事会と時期を同じくして、REITポータルサイト「JAPAN-REIT.COM」を運営するJapan REITが「すべての適格機関投資家のための私募REIT情報コミュニティサイト」をコンセプトに、会員限定の「JAPAN PRIVATE REIT.COM」(https://www.japan-private-reit.com) をオープンしていますが、これもやはり実物不動産市場の不況を反映した動きといえます。シェアハウス大家さんにとっても、ここしばらくは厳しい状況が続くと見た方がいいでしょう。
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