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第32回 景気低迷とシェアハウスその2

9月27日の御嶽山噴火に続いて、10月に入ると台風18号、19号が立て続けに上陸、各地に甚大な被害をもたらしました。大雨のために地盤がゆるんでおり、今後も二次災害、三次災害の発生が警戒されています。郊外にお住まいの方はもとより、都心部でも豪雨による冠水被害や強風、竜巻の発生など、さまざまな災害が予測されますから、ご自宅や所有される物件についてはくれぐれも安全確認を怠らないように注意しましょう。

さて、国土交通省は10月10日、2014年8月度の「建設工事受注動態統計調査報告」( http://www.mlit.go.jp/common/001057449.pdf )を公表しました。これによると、同月の建設工事受注高は6兆1135億円となり、前年同月比4.4%減と9ヶ月ぶりに減少に転じています。同報告では、この要因として、民間等からの受注高の減少に着目していることが読み取れます。たとえば、元請受注高のうち、公共機関からの受注高は17ヶ月連続で増加しているのに対し、民間等からの受注高は5ヶ月ぶりに減少に転じました。また、公共機関からの受注工事額は国の機関・地方機関ともに減少していますが、いずれも比較的小幅な減少にとどまっているのに対し、民間等からの建築工事・建設設備工事の受注工事額は同22.0%減と大幅に減少しています。ただし、民間等からの受注工事額については1件5億円以上の大規模な工事に限定されていること、さらに消費税増税の影響を受けない前々年同月比でみれば16.8%増となっていることを踏まえると、今回の調査結果が景気低迷を意味しているとは一概には言えないようです。

しかし――私たちにとってより身近な指標に目を向けてみるとどうでしょうか? 同じ10月10日、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2014年9月度の首都圏不動産流通市場の動向( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_201409data.pdf )を発表しています。こちらを見ますと、同月の首都圏中古マンション成約件数は2,938件(同5.9%減)と6ヶ月連続で減少しました。都県別では、埼玉県を除く1都3県でそれぞれ減少となっており、特に東京都は同8.6%減と大きく減少しています。ただし、成約の母数となる在庫件数は20ヶ月連続で減少しており、新規登録件数も3ヶ月ぶりに減少に転じるなど、中古マンション物件自体が少なくなってきていることから、必然的に成約件数もまた減少しているということが読み取れます。これに輪をかけているのが価格の上昇で、1平米当たりの平均成約単価は42万4,600万円(同3.7%増)と21ヵ月連続で上昇しています。モノが少なくなれば値段が上がり、それだけ売買は成立しにくくなるという単純な理屈です。

前日の10月9日に野村不動産アーバンネットが公表した2014年10月1日時点の首都圏の住宅地・中古マンション価格実勢調査( http://www.nomura-un.co.jp/page/news/pdf/20141009.pdf )の結果は、この理屈を裏付けるものでしょう。同調査は、東京都区部・東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県の住宅地および中古マンションを対象として、通常取引を想定した実勢価格を査定し、四半期ごとにまとめたものです。これによると、7〜9月期の住宅地価格の平均変動率は+0.4%となり、6四半期連続のプラス。「値上がり」を示した地点は25.5%(4〜6月期18.6%)と増加し、「値下がり」は1.3%(同2.9%)と減少しています。また、中古マンション価格の平均変動率は+0.3%で、「値上がり」は21.7%(同18.7%)と増加、「値下がり」は3.2%(同8.9%)と減少しました。首都圏における住宅地・中古マンション価格はいずれも引き続き上昇トレンドを示しており、シェアハウス化に限らず、投資目的で物件取得を考えている方にとって歓迎しづらい傾向が続いていることがわかります。

これも同じ10月9日にファーストロジックが発表した2014年9月期の「投資用不動産の市場動向調査」( http://www.firstlogic.co.jp/wp-content/uploads/2014/10/firstlogic_press_201410.pdf )の結果を見ると、投資用1棟アパートおよび投資用1棟マンションは、新規掲載物件・問い合わせ物件ともに表面利回りが前月比で下落を示しており、物件価格はいずれも上昇しています。かろうじて、投資用区分マンションでは新規掲載物件の表面利回りがわずかに上昇し、問い合わせ物件の物件価格がわずかに下落していますが、これは売り手側・買い手側双方のニーズを反映したものでしょう。売り手側は少しでも表面利回りを高くして買い手を見つけたい、買い手側は少しでも価格の安い物件を買いたい、というホンネが表れた結果だといえそうです。残念ながら、シェアハウス大家さんにとって、まだまだ追い風は吹きそうにありません。
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