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第35回 不動産投資とシェアハウス

ここしばらく、世界中で話題にならない日はないといえるのが、いわゆる「イスラム国」による国際的なテロ事件です。最悪の結末を迎えた日本人人質殺害事件はいうまでもなく、フランスやベルギーなど欧州各国で爆弾テロなどが相次いでおり、何とも物騒な世の中になりました。この「イスラム国」という名称は、「ISIL」とか「ISIS」とか、NHKでは「過激派組織IS=イスラミックステート」などと言い換えることにしたそうですが、それはさておき、テロという言葉がかつてないほど身近に聞かれるようになりました。つい先日、とある大手不動産グループ傘下のPM会社の社長にお話を聞く機会がありましたが、ごくごく当たり前のような口調で「テロ対策」について話しておられたのに少々驚かされました。私たち一般庶民にしてみれば、どこか遠い外国の話のような印象がありますが、大手企業さんにとってはすでに身近な、喫緊の課題となっているようです。今後、2020年の東京オリンピック開催に向けて海外からの渡航者がさらに増えてくれば、彼らの日本での受け入れ先のひとつとなるであろうシェアハウス大家さんにとっても、他人事ではなくなるかもしれません。

さて、その東京オリンピックに向けた不動産投資家の意識の変化について、2月12日に日本財託が「投資に関するアンケート調査」の結果( http://www.nihonzaitaku.co.jp/bs/object/images/NewsRelease-investor-and-tokyo-Olympic-20150212.pdf )をまとめて発表しました。このアンケートは1月18日・30日、2月1日に同社が開催した「確定申告説明会」で実施されたもので、2014年に投資用物件を購入して不動産投資を始めた不動産オーナー250人を調査対象としています。同調査によると、「東京オリンピック開催までに、さらに物件を購入することを考えていますか?」という設問に対しては、「検討している」92人、「少し考えている」84人となり、全体の約7割、4人中3人が今後さらに物件を買い進めることを考えているという結果になりました。また「物件購入の意思決定に、東京オリンピックはどの程度影響がありましたか?」という設問に対しては、影響が「大いにあった」15人、「少しあった」74人と、合計3割超に達しています。ただし、「全くない」とする回答は70人で、こちらも3割弱を占めており、一概に「オリンピックの影響で不動産投資を始める人が増えた」とまでは言いきれないようです。さらに、回答者の声としては「オリンピックバブルが弾けた後の相場が気になる」「物件価格が値上がり、利回りが低下することが気になる」「5年間のうち、いつが買い時か見極めたい」など、慎重な意見も少なくなかったとのことでした。

ちなみに、同アンケートの回答者である250人の内訳をみると、年齢層は「20〜40代」が全体の6割強を占め、職業は「会社員」が7割強、年収については「700万円以下」が全体の5割弱に達していました。特に、年収については「200万円以下」という回答が9人、「500万円以下」までの合計で全体の2割強に達し、「1000万円以下」まで広げれば全体の8割弱を占めるという事実は注目に値するでしょう。不動産投資の間口は確実に広がりつつあり、ついに低所得層からも不動産投資家になろうという動きが出てきたといえそうです。とはいえ、さすがに「年収200万円以下」などという人の場合、おそらくはたんに会社からもらっている給料がその程度という意味であり、親が資産家であるとか、もともと不動産を所有しているといった人たちなのではないかとも想像されますが……。

その一方で、実物不動産取引に関しては、依然として投資家にとっては厳しい状況が続いています。2月10日に東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した「月例速報 Market Watch 2015年01月度」( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201501data.pdf )によると、同時点における首都圏不動産流通市場の動向は、中古マンションの成約件数が前年同月比10ヶ月連続で減少。また、平均成約価格も25ヶ月連続で上昇しており、在庫件数は24ヶ月連続で減少しています。これはつまり、市場に出回っている中古マンション物件が少なくなり、需要が供給を上回ったことで価格が上昇した結果、成約に至る件数が減ってきたということができるでしょう。また、中古戸建では成約件数が12ヶ月連続で減少、平均成約価格は3ヶ月連続で上昇していますが、在庫件数に関しては4ヶ月連続で増加となっています。

これに関連して、同じ2月10日にファーストロジックが発表した2015年1月期の「投資用 市場動向データ最新版」の調査結果( http://www.firstlogic.co.jp/wp-content/uploads/2015/02/firstlogic_press_201502.pdf )を見てみましょう。これは、同社の運営する不動産投資サイト「楽待」に掲載された物件の統計データですが、「投資用1棟アパート」の表面利回りは、新規掲載物件が下落し、問い合わせ物件が上昇しています。また、「投資用区分マンション」の表面利回りは、新規掲載物件・問い合わせ物件ともに上昇しました。これに対して、「投資用1棟マンション」の表面利回りは、新規掲載物件・問い合わせ物件ともに大幅な下落となり、いずれも過去最低水準を記録しています。この原因のひとつとして、「投資用1棟マンション」は新規掲載物件の平均築年数が26年0ヶ月と古い物件が多く、それでいて平均物件価格は1億9310万円とまだまだ高額であることが挙げられます。

また同じ日、外資系不動産総合サービスの大手ジョーンズ ラング ラサール(JLL)が2014年第4四半期「ジャパンプロパティダイジェスト」の調査結果( http://www.joneslanglasalle.co.jp/japan/ja-jp/Documents/New%20Release/20150210_JLL_JPPD2014Q4.pdf )を発表しています。こちらは調査対象がオフィス、商業施設、ロジスティクス、ホテル市場などで、シェアハウス大家さんの守備範囲からは外れますが、東京のオフィスの投資利回りは5四半期連続で下落、商業施設は3四半期連続の下落となっています。賃料上昇・空室率低下という好況が続く中での利回り下落は、それだけ物件価格の上昇が顕著であることを示しています。

投資の世界ではよく「ピンチとチャンスは表裏一体」などといわれますが、これは要するにハイリスク・ハイリターンということであって、利回りが低い=ローリターンなのがわかっていて、価格が高い=ハイリスクな物件に手を出すのは賢明とは言えません。結果的に、決断が遅れて儲け損なったとしても、決断を焦って大損害を被るよりはマシでしょう。いずれにせよ、最終的に判断するのは自分自身なのですから……くれぐれも慎重にいきましょう。
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