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第48回 民泊ビジネスとシェアハウスその2

当コラムを執筆している7月31日は、東京都知事選の投票日。猪瀬元知事・舛添前知事と、二代にわたって「政治とカネ」の問題で任期半ばにして辞任するという異例の事態、与野党ともに党推薦候補をなかなか絞り込めずに迷走、さらに先日の参院選に続いて二度目の投票機会を迎える18・19歳の有権者たち……。結果はまもなく明らかになりますが、誰が都知事に就任することになっても、4年後の東京五輪まで任期を全うできそうもないですね〜。

さて、ここ何回かのコラムで取り上げてきた「民泊ビジネス」関連の話題ですが、ここにきて何やら聞き慣れない単語が出てきました。「民泊新法」に「ヤミ民泊」……いえ、意味はだいたいわかりますが。(一社)日本シェアハウス協会は7月20日、「『民泊新法』対応事業で既存のヤミ民泊の合法再生を応援」( https://www.atpress.ne.jp/news/107904 )なるタイトルでプレスリリースを発信しています。要約して引用すると、
「(前略)営業日数を制限する『民泊新法』制定後へ向けて、新たな『民泊モデル』を開発し、全国の地方創生を応援すると共に既存の非合法民泊(ヤミ民泊)の合法再生を応援します。
観光客の増加による宿泊施設不足が続く中、旅館業法違反の『ヤミ民泊』が増加し住民とのトラブルも多発しているため、国は新たなルールとして『民泊新法』を早ければ2016年秋の特別国会で制定します。しかしホテル業界の反発を考慮し営業日数の上限を180日以内とするなど、空き家対策として期待する不動産業界を落胆させています。
(中略)
今後、都市部はもちろん、観光客の拡大や移住促進に取り組む地方にも本事業を提案すると同時に、既に各地に拡大している非合法の民泊事業者の合法再生と経営の健全化を応援します」とのことです。
一読して、「民泊新法」だの「ヤミ民泊」だのという耳新しい用語を使いたいだけ――という印象さえ受ける文章ですが,主張している内容はごくごくまっとうなもの。同協会では、2015年5月には早くも民泊と賃貸を両立する事業を開発し、『ホームステイ型シェアハウス』と名付けて、既存のホテルや旅館では難しい“おもてなしシェアハウス型民泊”として展開。地元・北海道だけでなく、各地から注目を集めているとのことです。そうした実績を踏まえると、少なくとも「口だけ」で偉そうに言っているわけではなさそうだということがわかります。
ちなみに、同協会は、「民泊新法」制定後へ向けて、合法民泊を推進する仙台の民間企業と提携し、空き家活用や新築で「シェアハウス+民泊」事業で都市および地方を応援していくとのことです。( https://www.atpress.ne.jp/news/108624

一方、シェアハウス業界をとりまく環境の変化に伴い、今改めてシェアハウスとは何かを考えようという動きも見られます。例えば、次に紹介する(公財)不動産流通推進センター主催のセミナー( http://www.retpc.jp/koshu/special#20160829 )などはその代表的なものでしょう。8月29日、新宿区西新宿で開催されるスペシャリティ講座 事業実務XII「シェアハウス市場拡大の背景と大きく変化した法令動向を知る」は、市場を伸ばし続けるシェアハウス事業について、今後の不動産業界における有用性・実態・支持される魅力、また開設時のチェックポイントなどについて、(株)ひつじインキュベーション・スクエア代表取締役の北川大祐氏と、(株)建築再構企画代表取締役の佐久間 悠氏を講師に迎えて詳しく解説するものです(ただし、講座の前半は、2016年3月9日に開催された前回の講座とほぼ同内容だそうです)。時間は13時開場、13時30分開演〜16時45分閉会。会場はエステック情報ビル21階会議室B(東京都新宿西新宿1-24-1)。受講料は10,200円(税込み)、公認不動産コンサルティングマスターは8,200円となっています。興味のある方は、上記URLからチェックしてみると良いかもしれません。

ちなみに、7月19日に発表された(株)矢野経済研究所のプレスリリースによると、シェアハウスを含めた国内のいわゆる「シェアリングエコノミー市場」は、民泊ビジネスの活況により直近1年間で20%を超える拡大傾向を示していると言います。( http://www.yano.co.jp/press/pdf/1560.pdf )以下、概要を抜粋して引用してみましょう。
「【2015年度の国内シェアリングエコノミー市場規模は前年度比22.4%増の285億円】
UberやAirbnbなどの海外で先行的に普及したシェアリングエコノミーサービスが2014 年に日本市場に参入し、その動向や話題性の高さなどから、シェアリングエコノミーサービスを試験的に利用する人が増加した。
2015年度は旅館業法の特例が施行されたことで民泊市場に参入する事業者が増加した。また、モノのシェアリングエコノミーの分野ではファッションシェアリングサービスが次々と開始された。その他、クラウドファンディングの利用も増加しており、2015年度の国内市場規模は前年度比22.4%増の285億円(サービス提供事業者売上高ベース)であった。
【増加する訪日外国人客によるシェアリングエコノミーサービスの利用が拡大】
2016年度は旅館業法施行令が一部緩和された上に、2017年の通常国会に民泊新法が提出予定であることから、それに向けて民泊市場への参入事業者やサービスの利用者がさらに増加していくと見る。また、2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人客の増加が見込まれるが、こうした訪日外国人客が、民泊、オンライン駐車場予約サービス、ライドシェア、オンラインマッチングサービスなどのサービスを利用していくと予測する。
こうしたなか、シェアリングエコノミー国内市場規模全体の2014年度から2020年度の年平均成長率(CAGR)は17.1%となり、2020年度には600億円に達すると予測する」とのこと。
ちなみに、上記リリースの調査期間は2016年4〜6月。市場規模は、サービス提供事業者のマッチング手数料や販売手数料、月会費、その他サービス収入などのサービス提供事業者売上高ベースで算出しています。「シェアリングエコノミー市場」などという大きな枠組みでくくられてしまうと、いささか違和感がありますが……シェアハウス、あるいは民泊ビジネスの伸び率と伸びしろの大きさを知る上で、一つの目安にはなるかと思われます。
毎度の結論になってしまいますが、こうした世間の動きに対しては、できるだけアンテナを張り巡らしておいた方が、いざというとき慌てずに対応することができるのではないでしょうか。
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