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第59回 解散総選挙とシェアハウス2017

10月22日の投票日を目前に控え、衆院選も大詰めを迎えております。今回の選挙では、自民党が初めて憲法9条改正を公約の重点項目に掲げたことや、小池百合子都知事を党首とする希望の党がどれだけ票を集めるかなどが注目されています。民意はまもなく明らかになりますが、今回の選挙の結果がシェアハウス大家さんにとって直接的な影響を及ぼすことは、それこそ天変地異でも起きない限り、ちょっと考えにくいでしょう。ただし、間接的あるいは長期的に何らかの影響が出てくることはありえますし、場合によっては深刻なものとなるかもしれません。業界筋では現状をどのように捉えているか、いくつか指標となるものを見ていきましょう。

まず、(株)帝国データバンク(TDB)が去る10月4日に発表した「TDB景気動向調査(全国)」2017年9月調査( http://www.tdb-di.com/visitors/index.htm )によれば、同月の景気動向指数(DI)は48.4(前月比0.7ポイント増)となり、4ヶ月連続で改善が進んでいます。この「景気DI」とは、0〜100までの数値で表され、50が判断の分かれ目とされています。業界別に見ていくと、「金融」「建設」など合計9業界が改善を示し、このうち「製造」「卸売」などの4業界では消費税率引き上げ後の最高を更新しました。なお、「不動産」のDIは49.9(同0.6ポイント増)で、景況コメントとしては「銀行融資及び業者の仕入意欲は活発である(土地売買)」「土地情報のリクエストが多くあり、リゾートホテルやビジネスホテル、分譲マンション等の土地購入依頼が多い(不動産代理・仲介)」「引き続き需要が減っていない(貸家)」など好調を示すコメントが寄せられましたが、他方では「土地の仕入れが非常に難しい(建物売買)」などの声も聞かれました。ちなみに、「建設」のDIは51.7(同1.0ポイント増)で、50の分水嶺を越えて好況を持続していることがわかります。TDBの分析では「輸出の拡大を受けた製造業が全体の景況感を押し上げたことに加え、株式相場の上昇や旺盛な建設投資もあり、回復が続いた。今後の国内景気は、設備投資の増加や個人消費回復など内需の好調を受けるかたちで、回復傾向が続く見込みとしている」と予測していますが――ただし、発表時期と集計・分析にかかる期間から逆算すると、調査期間はおそらく衆院解散宣言より前だと思われます。今回の衆院選の結果によっては、今後の見通しについては修正が必要になるかもしれません。

続いて、(公財)東日本不動産流通機構が10月17日に発表した『季報Market Watch』サマリーレポート2017年7〜9月期( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_201707-09.pdf )を見ると、首都圏中古(既存)マンションの成約件数は8,791件(前年同期比0.8%増)となり、10期連続で前年同期を上回りました。四半期単位で10期といえば足かけ2年半、2015年4〜6月期が始まりです。最初の期について言えば、これは消費税率8%への引き上げからちょうど1年後に当たります(直前までの駆け込み需要の反動と、増税直後の買い控え感から、成約件数が大幅に減少しました)から、前年同期を上回るのに何の不思議もないもかもしれませんが――それからずっと前年同期比増が続いているということは、明らかに傾向として「中古マンションが売れ続けている」わけです。なお、成約価格は平米単価で19期連続、成約物件価格では20期連続でそれぞれ前年同期を上回っていますから、「高値で売れ続けている」ということも付け加えられます。ちなみに、成約物件の平均専有面積は63.86平米、平均築年数は20.89年となっています。

同じ10月17日には、不動産情報サービスのアットホーム(株)( http://athome-inc.jp/ )が、同社の全国不動産情報ネットワークにおける2017年9月期の首都圏居住用賃貸物件の市場動向を発表しています。こちらはまだ同社のホームページにリリース記事がアップされていませんが、(株)不動産流通研究所の運営する「R.E.port-不動産業務のためのサポートサイト」( https://www.re-port.net/ )に「首都圏賃貸、成約数が3ヵ月連続で増加」( https://www.re-port.net/article/news/0000053569/ )というタイトルで掲載されています。要約すれば、首都圏の賃貸物件のうち、新築はマンションが2ヶ月連続、アパートが4ヶ月連続で成約数が増加。中古はマンションが3ヶ月連続、アパートが4ヶ月連続で成約数が増加しており、「新築・中古」「マンション・アパート」を問わず、すべての賃貸物件の成約数が増え続けているということになります。成約数が増えているということは、それだけ需要があるということですから、貸主側も強気になり、1戸当たりの平均成約賃料は、マンションが5ヶ月連続、アパートも4ヶ月連続でプラスとなっています。

これらのデータからは、直近の不動産市況が比較的安定しており、好調を持続していることが読み取れます。今回の解散総選挙の結果はどうあれ、この市況が短期間でいきなり一変することは考えにくく、少なくとも2年後の2019年10月に予定されている消費税増税(もっとも、これまでの経緯を考えると、どうなるかはまだわかりませんが……)までは、おおむね現在の基調が続くものと予測されます。

ところで、前回の当コラムで「シェアハウスに住みたくない人が8割」云々という記事をご紹介しましたが、(株)リクルート住まいカンパニーが10月17日に発表した「マンション・アパートにおける近所付き合い」についての調査結果( https://prtimes.jp/a/?f=d28482-20171016-7868.pdf )によると、マンション・アパートなど集合住宅に住む世帯で「住人同士で交流がある」と回答したのは、賃貸住宅で22.3%、持ち家では42.6%となっています。同調査では「持ち家は簡単に住み替えをすることができないため、賃貸の場合より近所付き合いを重視していると見られる」と分析していますが、逆に言えば「簡単に住み替えができる場合は、近所付き合いを重視しない」ということで、日本人にある程度共通した傾向が読み取れます。また、「近隣の住人との関わり方で、現状に満足しているか」という質問に対しては、賃貸・持ち家ともに「満足している」「どちらかといえば満足している」を合わせた回答が8割を超えており、理由として「顔を合わせたら挨拶する程度の適度な距離感で付き合うのがちょうどよい」「付かず離れずくらいの程々の距離で、ストレスがあまりない」「顔を合わせたら挨拶、時間に余裕があれば軽く話す。適度な距離感」などのコメントが寄せられています。これらの結果を見ると、集合住宅に住む人の8割は「積極的に近所付き合いをしたくない」と考えていることになり、この割合は前述の「シェアハウスに住みたくない8割」とピタリ符合します。すなわち、前回ご紹介した日本法規情報(株)の調査結果については、それなりに信憑性があるということがわかりました。前回のコラムでは「回答者に一定の偏りが認められる以上、その結果を一般化して『世の中の8割以上の人がシェアハウスに住みたくないと考えている』と結論づけるのはいささか無理がある」などとえらそうに述べてしまいましたが、その点については誤りを認め、お詫び申し上げます。
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