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第66回 逆風とシェアハウスその2

2020年7月24日の東京オリンピック開会式まであと2年を切りました。いよいよ本番まで待ったなしのカウントダウン開始……ですが、今年はこの時期、東京は連日最高気温35℃を超える猛暑日。去る7月23日には、熊谷で観測史上最高となる41.1℃を記録するなど、生命維持に危険の及ぶレベルの異常気象が続きました。しかし、28日から29日未明にかけて「東から西へ」の例年にない進路を取る台風12号が関東地方を通過。この影響もあってか、暦の上では「大暑」となる30日の最高気温は都心部で32℃前後と、前週までの猛暑に比べればピークを過ぎたように感じられます。とはいえ、まだまだお盆前後までは暑さのぶり返しも予想されますから、引き続き熱中症予防など、暑さ対策を怠らないよう注意していきましょう。

さて、去る7月20日、東京・大手町にて「一般社団法人 不動産総合戦略協会(RESA)」( http://resanet.or.jp/ )の設立記念フォーラムが開催されました。このRESAというのは、国民の資産形成などを支援する独立系機関として3月1日付で設立登記されたばかりの新しい団体ですが、ちょうど折悪しく――というべきでしょう――先日来の、シェアハウス投資トラブル問題の真っ最中の立ち上げとなりました。RESAとしては、なるべく早期にこの影響を払拭し、2年後の東京五輪開催に向けて不動産投資市場を活性化したいと考えているものか、上記の設立記念フォーラム開催とほぼ同時に、「不動産投資に関する緊急調査−『かぼちゃの馬車』問題を踏まえた不動産投資への課題と対応−」( http://resanet.or.jp/questionnaire/image/201807research_report.pdf )と題するアンケート調査の結果を発表しました。これは、いわゆる「かぼちゃの馬車」問題を踏まえた不動産投資への課題と対応について、不動産投資をすでに実施している人(不動産投資・有)と、これから不動産投資を考えている人(不動産投資・無)を対象にアンケート調査を行い、結果を集計したものです。ちなみに、回答者の87.5%が何らかの不動産投資経験を持ち、特にシェアハウスを含む実物不動産への投資(賃貸住宅等の購入等)経験者は全体の3分の2超の68.1%、自己所有不動産の利活用(大家として建物を所有)経験者は56.3%となっており、当コラムをお読みのシェアハウス大家さんとほぼ共通する属性と言えるでしょう。調査結果の詳細についてはリンク先をご確認いただくとして、中でも興味深い結果となったのは、やはりタイトルにもなっている「『かぼちゃの馬車』問題」(正直なところ、当コラムとしてはこの呼称については同調しかねるのですが……)についての見解です。問題の要因について、「ディベロッパーによる無理なビジネスモデル」にあるとの回答は、不動産投資・有、無ともに35.3%と見解が一致しました。その一方で、「投資家の自己責任」との回答は、不動産投資・有が36.1%と最多を占めたのに対し、不動産投資・無では17.6%で半分以下となりました。さらに、「金融機関の稟議書改ざん等の不正な融資」との回答は、不動産投資・有が20.2%に対して、不動産投資・無は47.1%と全体の約半数を占めています。RESAではこの結果について、「(不動産投資未経験者は)金融機関への信頼が高いため、その責任を問うことになっている」と分析していますが、不動産投資・有に自己責任論が多いのは、「自分だったらそんなヘマはしない」という自負があるからのように思われます。ちなみに、この問題の影響について、不動産投資・有の見解は「金融機関からの融資条件が厳しくなる」67.2%、「不動産投資全般の信用性が低くなる」47.1%、「サブリース方式への不安が高まる」32.8%、「シェアハウスへの投資がしにくくなる」27.7%の順となっており、身近な問題として現状の投資活動への影響を懸念していることなどがわかります。

この問題に関連して、7月18日には「規制されない自由なコメント」を標榜する提言型のニュースサイト「BLOGOS」に「都内で家賃14000円!運営会社が破産したシェアハウス『かぼちゃの馬車』は魔法が解けても走り続ける」( http://blogos.com/article/311532/ )と題する記事が掲載されています。この「BLOGOS」というのは、LINEが運営するポータルサイト「livedoor」のコンテンツの一つで、議員や経済評論家、教授など有識者のブログエントリを紹介するまとめサイトとして知られていますが、上記の記事では著者名を「BLOGOS編集部」としており、つまりは匿名記事という体裁です。記事内容についてはタイトルからも想像できるように、これは「スマートデイズ社‐スルガ銀行」絡みの物件で、本来の家賃設定は55000円だったものが諸事情から価格崩壊を起こしている……というもの。著者名だけでなく、記事中の登場人物は不動産業者やシェアハウスオーナーなどすべて匿名ですから、どこまで事実なのかは正直、疑わしい部分もあります。文体もルポルタージュにしてはいささか演出過剰で、「ほう…。」だの、「いやしかし、ちょっと待ってくれ。」だの、三文ドラマめいたやりとりが、逆に臨場感を著しく損ねています。とはいえ、以下に引用する不動産業者のコメントなどは、それなりに信憑性があると考えてもいいかもしれません。「都内で多くのシェアハウスを取りまとめていた会社さんがつぶれてしまったんですね。それで個人のオーナーさんが所有するシェアハウスが浮いてしまう形になりまして。同じような物件を持って、仲間だったはずのシェアハウスのオーナーたちが突然競争相手になってしまい、正直、家賃相場が崩れているような状況です」
たしかに、シェアハウス運営に関してはど素人であるオーナー自身が、何のビジョンもノウハウもないまま営業しているのだとすれば、こういうデタラメな事態が起こることも十分考えられます。

かくのごとく、シェアハウス業界ではあいかわらず逆風が吹き荒れていますが、上記で触れているように、本番まで残り2年を切った東京五輪の開催が、この件においても突破口となってくれるかもしれません。たとえば、当コラムでも何度か取り上げたことのある「民泊ビジネス」について――。
(公財)マンション管理センターは7月27日、「民泊対応状況管理組合アンケート調査結果」( http://www.mankan.or.jp/09_research/pdf/minpaku_questionnaire.pdf )を発表しました。これによると、住宅宿泊事業法による民泊の取り扱いでは、「全面的に禁止」が最多の96.2%を占め、「一部許容」「全面的に許容」はいずれもゼロという結果に終わっていることがわかります。もちろん、シェアハウス事業者が民泊ビジネスに参入したとしても、必ずしも成功が約束されているわけではありませんが、少なくとも分譲マンションよりは実現の可能性は高いと考えられます。現状のように逆風下においては、生き残りの確率を少しでも高めるためにあらゆる可能性を検討してみる必要があるでしょう。
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