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第73回 10連休とシェアハウス

「令和」という新しい元号がいよいよスタートしました。平成31年4月30日から令和元年5月1日へと日付が変わる瞬間には、折からの悪天候にも関わらず、渋谷駅前のスクランブル交差点をはじめ全国各地の繁華街に大勢の人々が集まり、カウントダウンや「ありがとう平成」「よろしく令和」などと唱和することになりました。前回、昭和から平成への改元当時は自粛ムード一辺倒でしたから、今回のお祭り騒ぎと比べるとまことに隔世の感があります。そして何より、今回の改元にスペシャル感を演出しているのが、4月27日(土)〜5月6日(月)まで、最大で10連休が見込まれるGWの期間設定。もちろん、業種や職種、勤務体系などから一概には言えませんが、忙しい仕事を抱えた社会人の多くにとって、無邪気に喜んでばかりはいられない長期休暇だったのではないでしょうか。

さて、言い訳するわけではありませんが、大型連休の期間中はニュースサイトの更新もそれほど頻繁ではなく、特にシェアハウスなど不動産関連のニュースについては、それほど目新しいものは見当たりません。そこで今回は、最新ニュースと呼ぶには少々情報の鮮度の落ちる(といっても、旧聞に属するというほど古い話題ではありませんが)ものも織り交ぜながら書き進めていくことをお断りしておきます。
まずは、新元号「令和」が一般に公表されたのと同じ4月1日付の『朝日新聞デジタル』に有料会員限定記事として掲載された記事からご紹介していきましょう。「会社なじめずに退職 元コンサルが運営するシェアハウス( https://www.asahi.com/articles/ASM316W3ZM31UJHB00H.html )」というタイトルがつけられています。ここから、無料で公開されているところまでを引用してみましょう。
「就職した会社になじめず1年で退職した男性が、茨城県つくば市で昨年から、ひきこもりの人たちが住めるシェアハウスを運営している。今年2月には、入居者も参加できるボードゲームバーも開店。会社員生活に挫折した経験を踏まえ、悩める人の『駆け込み寺』を目指している。
 運営するのは木本一颯(かずさ)さん(27)。千葉県出身で、筑波大学で哲学を専攻していた。卒業後の2016年4月、都内のコンサルタント会社に就職し、顧客企業が開くイベントを担当。売り上げを膨らませようと派手な演出を追加した提案を、客は断った。客が必要としない案を無理に勧める気になれず、上司に『これって意味あるんですか』と真顔で尋ねて怒らせた。仕事についていけず、ストレスを感じるようになった。
 やがて、外出中に息苦しさを覚えて座り込むことが増えるなど体調を崩し、17年5月に退職。『言われたことを着実にこなす能力がなかった。会社や上司にうらみはない』と振り返る。
 退職後、大学時代の友人に誘われ、『自分と同じように社会に適応できない人を救いたい』とひきこもりの人を対象にシェアハウスを開設。昨年6月に移転し、同市高見原5丁目に、ビルの4階を借りて現在のシェアハウスをオープンした。
 現在、入居者は20代が中心で6人。発達障害を抱えていじめにあったり、ひきこもるうちに親との関係が悪化して家を出て来たりと、様々な事情を抱える人が木本さんのブログなどを見てやってくる。部屋は3人で共有し、男性用が2、女性用が1の計3部屋。入居に際して、保証金1万円と家賃3万円の計4万円と免許証など身分証明書が必要で、木本さんが面接して入居の可否を決めている。(後略)【鹿野幹男/2019年4月1日07時20分 更新】」
一読すればおわかりのように、記事としては「ひきこもり支援」が主で「シェアハウス」は従……というより、目的のための手段といった扱いになっています。もちろん、それ自体は決して悪いことではありませんが――これでは、相対的に「会社に勤めるよりも、シェアハウスを経営するほうが楽」というイメージを与えることになってしまうのではないか、という疑問も感じます。本人の適性にもよるでしょうが、上記のように考える人よりも、「いやいや、会社勤めのほうがはるかに楽だよ」と考える人のほうが、世の中には多いのではないかと思えてなりません。

シェアハウスに関するイメージ形成、という意味では、テレビや映画などの映像作品の影響も無視できないものがあります。中でも、一般視聴者の認知度という点で他の追随を許さないのが「テラスハウス」のシリーズでしょう。当コラムの中でも何度か(どちらかといえば、あまり好意的ではない扱いで)触れたことがありますが、なんだかんだ言いながらも「シェアハウスとはこういうものだ」というイメージを世間に広めるのに一役買ったことは間違いありません(誤解を広めた、という言い方もできますが……)。その「テラハ」シリーズの最新作が東京五輪開催の2020年に向けて製作されるということは2月にすでに発表されていましたが、4月25日には『シネマカフェネット』( https://www.cinemacafe.net/ )において、その先行配信を報じるニュースがリリースされました。「『テラスハウス』新シリーズ、5月14日よりNetflixにて先行配信決定( https://www.cinemacafe.net/article/2019/04/25/61310.html )」という見出しで、以下記事の全文を引用します。
「シェアハウスに同居する男女6人の青春模様を記録したリアリティー・ショー『テラスハウス』の新シリーズ『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』が、5月14日(火)より『Netflix』にて先行配信スタート。この度、本番組のメインビジュアルが公開された。
2012年10月からフジテレビ系列で放送され、2014年9月に地上波放送終了後、2015年9月から『Netflix』などで配信。『TERRACE HOUSE BOYS AND GIRLS IN THE CITY』や、ハワイを舞台に繰り広げた『TERRACE HOUSE ALOHA STATE』、『TERRACE HOUSE OPENING NEW DOORS』と配信し、そして来月5月からは、2015年以来となる東京を舞台にしたリアリティー・ショーならではの様々なドラマを記録・放送する。
配信に先駆けて今回公開されたメインビジュアルでは、6人の男女が集結。吹き抜け3階建のプール付きの邸宅で、見ず知らずの男女6人の新たな青春の日々がスタート。
なお、スタジオメンバーにはYOU、トリンドル玲奈、徳井義実(チュートリアル)、馬場園梓(アジアン)、山里亮太(南海キャンディーズ)、葉山奨之とお馴染みメンバーが参加する。
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』は5月14日より毎週火曜日に新エピソードをNetflixにて先行配信。6月11日より毎週火曜日深夜0時〜FODにて配信予定(4週に1週休止)。7月より地上波放送予定」
以前使用していた「リアリティ番組」という怪しげなカテゴライズから「リアリティー・ショー」と冠を変えたことで、いくらか番組の実態に近づいた点だけは評価しますが……次に述べる「事件」のように、シェアハウス全体に波及する風評被害をもたらすようなマネだけは勘弁してほしいものです。

その事件とは……2018年10月27日付けで「週刊文春デジタル」が報じた有料会員限定のオリジナル記事。半年以上前の話題ですが、2019年5月3日現在、「文春オンライン」にて「週刊文春」創刊60周年記念「GW10連休大放出!」と題し、期間限定で特別無料公開されています。「リアリティ番組『テラスハウス』の顔“てっちゃん”がシェアハウスの寝室で出演女性に“強制わいせつ事件” - 『週刊文春』編集部( https://blogos.com/article/374880/ )」というこの記事、いかにも“文春らしい”低俗趣味なので、あえて本文は当コラム内では引用しません。タイトルだけで十分でしょう。ただ、上記の新シリーズのニュースが報じられたこのタイミングで、わざわざ半年以上も前に書かれた同記事を掘り起こしてきたり、しかも有料会員限定記事を無料で公開してくるのは、悪趣味というよりむしろ対象への悪意すら感じます。ある意味、このような記事が書かれること自体、「テラハ」シリーズの功罪と言えるかもしれません。

その他、ここ最近のシェアハウス関連の話題としては、プレスリリース配信代行サービス『ドリームニュース』に4月23日付けで「起業家シェアハウスにて世界中の起業家に事業相談できる専用Facebookグループを開設( https://news.biglobe.ne.jp/economy/0423/dre_190423_5403707846.html )」というニュースを発信しています。今さら目新しくもない「起業家シェアハウス」というコンセプトに、かつての勢いを失って久しい「Facebook」での専用グループ開設と、もはや何番煎じになるかわからないくらい手垢のついた試みですが……それでも、何もしないよりははるかにマシでしょう。この事例に比べると、より先見性のありそうなのが、【住居のシェア × 傘のシェア】と銘打って、近頃渋谷あたりで話題となっている「日本初の傘のシェアリングサービス『アイカサ』( https://i-kasa.com/ )」とのコラボを4月11日付でリリースした某シェアハウス運営会社です。この会社は、偶然ながら今回のコラムの冒頭で取り上げた木本氏と同じく「現代の駆け込み寺」をコンセプトとしたシェアハウスを展開しており、上記のアイカサとのコラボに関しては「雨の日に、住民にも訪問者にも優しいシェアハウスへ!」というキャッチフレーズを謳っています。「起業家シェアハウス」と「駆け込み寺」、「Facebook」と「アイカサ」……こうして並べてみると、いずれも後者のほうが言葉としては古いイメージなのに、受ける印象としては何故か後者のほうが目新しいのですから不思議なものです。

もちろん、いくらか「目新しい」という程度では、成功するかどうかはまるで未知数なのですが……それでも「手垢のついた」何番煎じのアイデアよりは成功する可能性は高いと考えることもできます。いずれにせよ、シェアハウス経営はもはや「何もしなくても儲かる」時代ではありません。どうせ何かをしなければならないのであれば、ご自身が納得できる選択肢を選ばれたほうが、万一失敗したときのダメージも少ないのではないでしょうか。
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