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第86回 不動産投資とシェアハウス(コロナ禍編)

アメリカで大統領選を戦っている真っ最中のトランプ現大統領のコロナ感染の報が伝えられたかと思えば、入院後わずか4日目のスピード退院、さらに選挙戦の継続という異例づくめの事態となっています。トランプ氏は「コロナに勝った!」「免疫を獲得した!」と言いたい放題で、対立候補のバイデン氏を逆に「認知症」と決めつけ、意気軒高ですが――10月14日にはトランプ氏の子息がコロナ陽性と診断されていたこと(現在は陰性)が報じられるなど、二転三転のめまぐるしい状況が続いています。一方、10月14日にCNNが報じたところによれば、世界全体における新型コロナウイルス感染者数は少なくとも3800万6221人、死者数は108万3875人に上るとのこと(米ジョンズ・ホプキンス大学による集計値)。世界総人口を約70億人とすれば感染者数は約0.5%、これを多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところでしょうが……いずれにせよ、未だに特効薬も予防薬も認可されておらず、万が一にも罹患したら重症化・死亡リスクもつきまとう恐るべきウイルスが世界中に蔓延しているのは事実。それだけに、経済への影響も計り知れないものがあります。

さて、10月14日、(株)扶桑社の運営するWebサイト『日刊SPA!』に、「不動産投資『今が始めどき』な3つの理由。コロナ禍で仕込み時が到来か( https://nikkan-spa.jp/1702343?cx_clicks_art_mdl=8_title )」という興味深いタイトルの記事がアップされました。以下、抜粋して引用してみましょう。
「老後資金問題にコロナ禍による不況が重なり、我々のお金に関する不安は増すばかりだ。しかし、こんな時代だからこそ少しずつでも資産を増やし、漠然とした将来不安に向き合わないといけない。ウィズコロナ時代でも“手堅く”資産を増やす方法を、『お金のプロ』たちが徹底解説する!」
まずはこんな、威勢のいい煽り文句から始まります。続いて本文では、「40歳の(新)投資戦略」と銘打ち、不動産コンサルタントの長嶋修氏が持論を展開します。以下、記事中に紹介されている長嶋氏の言葉のみを引用してみましょう。

「『駅近』『都心部』『利便性重視』という住宅需要は、むしろ高まっていくだろう」
「確かに宿泊系や商業系は大打撃を受けましたが、住宅系の需要はほとんど落ちていません。テレワークによって移住が進むという声もありますが、共働き世帯の多さや車の所有率の低さを考えれば、すぐに実行できる人は少ないです」
「周りの不動産投資家の話を聞いても、『新型コロナの影響で空室になってしまい、困っている』という人はいませんでした。今はむしろ不動産投資熱が高まっている状況です。不動産投資家の心理としては、コロナの影響を様子見していた時期が終わり、今後の値下がりも視野に入れつつ“仕込みどき”を狙っている状況でしょうね」
「少額の元手で、なおかつローリスクで始めるなら、やはり大都市の1R〜1DKほどの中古マンションになるでしょう。都内でも安いエリアなら、数百万円で買える物件がありますから。ただし、将来的なニーズを考えれば、利便性を重視して少なくとも駅徒歩7分以内にしたいところ。
 初心者が今から始めるのなら、利回りはそこまでよくなくても、まずは王道の投資対象に徹するべきです」
「世界各国で金融緩和や大規模な財政出動が行われており、’90年代に起きたバブル時と状況がまるっきり同じなんです。このまま市場にお金が溢れれば、コロナ収束後に資産バブルが到来してもおかしくありません。確率としては、60%近くあると踏んでいます。
 バブルが発生すれば、実体経済にかかわらず不動産の価値は高まり、取れる賃料も上がる。バブルを見据えるのであれば、不動産価格が高騰したり、物件の奪い合いが始まったりする前に、投資を行うのも悪くない選択肢だと考えます」
「コロナショック後も低金利は続いており、当分は変わらないと見ています。ローン審査がコロナの影響で厳しくなっているという声もありますが、実際には昨年起きたスルガ銀行の不正融資問題で金融庁検査が入り、行きすぎた融資が咎められただけです。コロナ以降もローンの組みやすさは変わっていない印象ですね」

なお、実際の記事では、長嶋氏の言葉の合間に、氏の意見を補足するようなデータを挿入したりもしていますが、けっきょくのところ、「お金のプロたち」と複数形で謳っているにも関わらず、最初から最後まで長嶋氏の個人的見解に終始しています。記事そのものの執筆者については「取材・文/週刊SPA!編集部」として個人名はクレジットせず、強気のコメントはすべて「長嶋氏の言葉」として、巧妙に編集部の文責を免れようとしています。肝心の長嶋氏の主張にしても、「周りの不動産投資家の話を聞いても〜いませんでした」「〜状況でしょうね」「確率としては、60%近くあると踏んでいます」「〜投資を行うのも悪くない選択肢だと考えます」「コロナ以降もローンの組みやすさは変わっていない印象ですね」と、具体的な根拠は提示せずに、個人の感想だけでものを言っている傾向が読み取れます。記事の書き手である「週刊SPA!編集部」は、一コンサルタントの曖昧な主張だけを拠り所に、記事の最後は「コロナ禍でも『有事の不動産投資』は健在。むしろ、バブル到来の兆候によってこれからがチャンスと言えるかもしれない」と締めくくり、ご丁寧にも「不動産市況を読むポイント」としてこんなふうに総括しています。
「●新型コロナの影響は限定的
宿泊系や商業系の落ち込みに比べて住宅系のニーズは堅調。コロナの影響で物件価値が暴落する可能性は低い。
●資産バブルが起きる可能性も
今はバブル期の状況に近く、金融緩和による余剰資金が不動産市場に流れ込む可能性が高い。物件価値の押し上げに期待」
最後の最後にダメ押しとして、長嶋修氏のプロフィールを紹介して、説得力を強めているようですが……さて? 今回のコラム冒頭で触れたトランプ大統領の演説もそうですが、強気のコメントというのは聞いて(読んで)いて小気味いいものですし、その主張が聞き手(読み手)の願望と合致している場合は、特に受け入れやすく、信じたくなるものです。逆に、自分の願望と相反する主張は認めがたく、反発を覚えるものです。しかし、自分が信じたい意見が正しいとは限りませんし、信じたくない意見が間違いとも限りません(当たり前の話ですが)。誤解しないでいただきたいのですが、長嶋氏の個人的見解が正しいか、間違っているかは、この際問題ではありません。ただ、このように具体的な根拠を欠く意見は、鵜呑みにはせず、あくまで参考程度にとどめておくのが賢明でしょう。

それはさておき、今回のコロナ禍以降、メディア報道では何かと悲観的な論調の記事ばかりが目につきます。これは、なまじ楽観論を展開すれば「不謹慎だ!」と騒ぎ立てる輩が増え、ちょっとしたことで炎上騒動につながりかねない社会情勢にも原因がありそうです。そうは言っても、さすがに半年以上にわたってマイナス発言ばかり垂れ流しているのも精神衛生上よくありません。そろそろ建設的な意見にも耳を傾ける余裕を持ちたいものです。次にご紹介するのも、そんな発想から生まれたと思われる企画の一つです。

(株)全国賃貸住宅新聞社の運営するサイト『全国賃貸住宅新聞』では2020年9月15日〜20日まで「コロナ禍のシェアハウス調査」と題する短期集中連載記事を掲載していました。
「シェアハウス経営、成功の方程式変わる( https://www.zenchin.com/news/post-5417.php )」
「シェアハウス経営、人気のコンセプトは?( https://www.zenchin.com/news/post-5420.php )」
「『共用部充実した物件に人気が集まる傾向』( https://www.zenchin.com/news/post-5426.php )」
「『外国人』『非正規雇用者』に依存するシェアハウスは苦戦( https://www.zenchin.com/news/post-5427.php )」
「シェアハウス経営、一部で収益性向上の模索続く( https://www.zenchin.com/news/post-5428.php )」
会員限定記事のため本文を引用することは控えますが、会員登録すればどれも無料で読むことができます。タイトルを見て興味を惹かれた方は、リンク先で無料会員登録されるのもいいでしょう。

もう一つ、前回のコラム更新後に発表されたプレスリリースをご紹介しておきます。これは(株)LIFULL(ライフル)の運営する不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が去る9月8日に配信した「緊急実施! コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)( https://lifull.com/wp-content/uploads/2020/09/2020LIFULL-HOMES_syutoken_200908.pdf?_ga=2.92393757.1293492999.1602674440-1403350300.1602674440 )」というプレスリリースです。なお、タイトルから予想される内容に反してアンケート形式の調査ではなく、「LIFULL HOME'Sに2020年4月〜8月に掲載された物件のうち、実際の検索・問合せ数から算出した“実際に探されている街・駅”のランキング結果」をまとめたもの。したがって、「住めるものなら住んでみたい!」という、いわゆる「あこがれの街」の人気投票とはおのずと違っていることはご承知おきください。また、これは「借り手」に人気のある街や駅のランキングですが、「貸し手」側にとっても入居者を見込みやすい場所になります。ランキング上位に名前の挙がっている個々の街・駅についてのコメントは差し控えますが、これらの場所に「住宅需要がある」ということは間違いのない事実。少なくとも、漠然としたイメージや、地価や家賃相場だけを見て投資物件を判断するよりは客観性があるでしょう。

当コラムをお読みいただいている皆様の中には、あるいは「コロナ不況で明るい展望が見えない。もう、シェアハウスなんかやめてしまおうか……」とお考えのシェアハウス大家さんもいらっしゃるかもしれません。それはそれで一つの選択肢ですから、本人の納得のいく結論であれば、他人が横から口出しする筋合いはありません。ただ、世の中にはいろいろな人がいて、ものの見方も人それぞれです。それこそ、「コロナの今こそチャンス!」という強気の意見の方もいらっしゃるでしょうし、結果的にそれで失敗したとしても、本人が納得していれば問題はありません。問題なのは、重要な判断を他人任せにして、失敗したらその責任を相手のせいにすること。そうしたい心理は痛いほど理解できますが、そういう人にはけっきょく、はじめから成功はおぼつかないものなのかもしれません。
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