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シェアハウス コロナ 緊急事態宣言 東京五輪 リモートワーク

第93回 コロナ禍とシェアハウス(東京五輪編)

7月23日午後8時、少なからぬ国民がテレビ画面越しに冷ややかな視線を向ける中、「東京2020オリンピック」の開会式が催されました。今回の東京五輪は、開会式のディレクターの一人が前日の朝に解任されるなどギリギリまで不祥事が続き、競技が始まった今も、「はたして、無事に全日程を終えることができるのだろうか……?」という不安がささやかれています。それというのも、すでに4回目となる緊急事態宣言下にも関わらず、増加の一途をたどる新規感染者数。選手を含む五輪関係者の中からも、連日のように新規感染者が報告されています。「五輪どころではない!」と警告する医療関係者たちの声に耳を貸す者は少なく、その一方で、「野球は有観客なのに五輪は無観客?」「五輪はやるのにアマチュアスポーツ大会は中止?」など、やみくもに平等“だけ”を求める声は日に日に大きくなっていくように感じられます。感染拡大がこのままのペースで続けば、東京だけでも1日2000人以上、全国では1日1万人以上の新規感染者が報告される日が来るのもそう遠くなさそうですが……おそらく、オリンピックはそうなっても継続されるでしょうし、その代わりにパラリンピックが中止になったとして、それはそれで批判の嵐が吹き荒れることになるでしょう。今となっては、個人にできる範囲で感染リスクを徹底的に遠ざけ、とにかく我が身だけは守るようにするしかなさそうです。

さて、今月もシェアハウス関連でメディアに取り上げられた話題を見ていくことにしたいと思います。まずは、7月24日の『東海テレビ』で報じられたニュースから。「感染判明者とシェアハウスの大学生も…新型コロナ 三重で11人の感染を確認 10歳未満から60代まで」( https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20210724_10207 )という見出しが付けられています。短いニュースなので全文を引用しておきます。
「三重県で24日、新たに11人の新型コロナウイルスへの感染がわかりました。
 感染がわかったのは、四日市市や名張市などの10歳未満から60代までの11人です。
 四日市市の20代男性は、7月22日に感染が判明した20代男性とシェアハウスに住んでいる大学の同級生で、22日から発熱などの症状が出ていたということです。
 この男性が通う大学ではオンライン授業を実施していて、県は大学での接触者はいなかったとしています。
 四日市市の50代男性は7月19日に症状が出ましたが、翌日に会社に出勤していたため、県は職場関係者の接触者に検査を進めています。
 三重県の24日時点の病床使用率は26.4%で重症者数は3人です」(東海テレビ/2021年07月24日20時19分更新)。

ご一読いただけばおわかりの通り、四日市市のシェアハウスの住人は、2日前に感染が判明した感染者の同居人=濃厚接触者であるとのこと。彼らの住むシェアハウスの規模がどのくらいで、他の住人との接触状況や感染状況はどうなのか、このニュースだけでは情報が不足していますが、いずれにせよ、このシェアハウスではクラスターが発生している可能性が高く、引き続き検査を行う必要があると思われます。

シェアハウスに対するコロナ禍の影響としては、クラスター発生による感染拡大のような直接的なものばかりではありません。よく耳にするのが、入居者の学生さんなどがバイト先の飲食店の休業・廃業によって収入源を失い、学費はおろか生活費の工面にも苦労しているという話です。そして、シェアハウスで困窮しているのは入居者ばかりとは限りません。学生だけでなく、コロナ禍で収入源を失った入居者は「家賃の支払いもままならない……」という人も少なくありません。もちろん、シェアハウス大家さんとしては、家賃を支払えない入居者にはさっさと退去してもらい、次の入居者を募集するのが正解です。というより、それ以外の選択肢はありません。ですが――現実問題として、この不況下で、彼ら自身には何の責任もないのに不幸にして収入の道を絶たれてしまった入居者を、いくら理屈は正しいとしても一方的に追い出せるものでしょうか? 
「……そんな無慈悲なこと、人としてどう考えてもできない――」そんなふうに感じてしまうのが人間というものです。たとえ、その結果、自分の首を絞めることになったとしても……。入居者の困窮が巡り巡って経営者の困窮につながっているように、複数の経営者の困窮が積み重なればどういう結果を招くでしょうか? 次に取り上げるのは、最近のシェアハウスに関するニュースを検索する中で、あるいはそういうテーマに関わってくるのではないか? と感じてアンテナに引っかかったものです。

(株)東京商工リサーチが大型倒産(原則負債総額30億円以上)および注目企業の動向を発信する「TSR速報」では7月21日付で次のようなニュースを発信しました。「シェアハウスの建築工事を手掛けていたスターフ(株)[東京]が破産」( https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20210721_02.html
簡単に要約しますと、
「新宿区四谷のスターフ(株)は7月14日、東京地裁より破産開始決定を受けた。 負債総額は債権者約40名に対して約1億9000万円。同社は(株)ガヤルドシスターの商号で建設工事全般を手掛け、シェアハウスなどのサブリース物件の建築工事を請け負っていたが、2014年8月期をピークに受注不振からその後は減収が続いた」ということで、ここまで読んだところでは特に不審な要素は見当たりません。また、「スターフ株式会社」で検索しても、最上位に来るのは『タウンワーク』の求人情報で、そこに記載されている事業内容には「建築土木等建設工事の請負(総合建設業)」とだけあります。しかし――。
上記の速報の続きを読んでいくと、「2017年に現商号へ変更し、経営陣も交代して食品事業を開始。積極的な仕入活動を展開していたが、信用性は低かった」云々とあり、最終的には、3年も前の「2018年5月には取引先への支払遅延が表面化するなどして信用性はさらに低下。同年8月に事業を停止していた」とあります。従って、これはコロナ不況ともシェアハウスとも何の関係もない、怪しげな詐欺まがいの幽霊会社が破産することになった――というだけのニュースだったようです。これはとんだ見込み違いでした。

気を取り直して、次に取り上げるのは、仙台市に本社を置く東北最大のローカル新聞である『河北新報』に7月18日付で掲載された「廃業旅館をシェアハウスに 福島・楢葉町が移住者誘致拠点」( https://kahoku.news/articles/20210717khn000039.html )という記事になります。こちらは全文を引用しましょう。
「福島県楢葉町は、町内の廃業した旅館を改修し、移住希望者向けのシェアハウスを整備する。東京電力福島第1原発事故で避難した住民の帰還が頭打ちとなる中、町での暮らしを気軽に体験できる施設を整え、移住者を呼び込みたい考えだ。
 シェアハウスとして活用するのは、JR常磐線木戸駅近くにある旧柏屋旅館。今年秋ごろに改修を始め、来年春のオープンを目指す。9日にあった町議会臨時会で建物などを取得する議案が可決された。
 シェアハウスには、数カ月以上の中期滞在者向けに5部屋、短期滞在者向け2部屋を設ける計画。中期滞在は朝食付きで月3
万5000円程度、短期滞在は2食付きで1泊4500円前後を想定する。
 食堂では地元産食材を使った食事を提供するほか、食事時間以外は、仕事場などとして利用できるコワーキングスペースとして貸し出す。利用者や地元住民らが交流、情報交換する場としても活用する。
 町内に暮らす町民は現在、原発事故前の約6割にとどまる。2015年9月の避難指示解除以降、避難先からの住民帰還のペースは年々鈍化している。地域コミュニティーの維持を目指し、町は町外からの移住者獲得に力を入れる方針で、シェアハウスを関連施策の拠点にする意向だ。
 町内には元々、賃貸物件が少ない上、東日本大震災と原発事故後は復興作業に従事する人が増えたために家賃相場が上がっているという。町は本格移住に向けた『お試し移住』用として比較的安価な滞在施設を整備することにした。
 運営方法などは今後検討する。町政策企画課の担当者は『新型コロナウイルス禍もあり、地方移住の機運が高まっている。さまざまな住宅、滞在ニーズに対応しながら、町の活性化につながる人が集まる施設を目指したい』と話す」(2021年07月18日 06:00更新)

こちらはもう、典型的な「シェアハウスを活用した自治体の町おこし計画」であり、それ自体は特段の目新しさはありませんが、タイトルにある「廃業旅館をシェアハウスに」というアイデアはなかなか興味深く思われます。既存の建物をシェアハウス化するにはそれなりのリニューアル工事が不可欠ですが、旅館施設をうまく利用することができれば、リニューアルは最低限に抑えることができそうです。さらに、短期的な宿泊にも中長期的な滞在にも対応できるでしょうし、コロナ禍でのリモートワークが可能なインフラが確保できれば、一種のリモートオフィス(サテライトオフィス)としての活用も考えられます。もちろん、こうした使い方は、おそらく主催者である自治体の希望するところではないのでしょうが……なまじ、自治体の希望(=都合)だけに固執して間口を狭めるより、自分たちが思いつきもしなかった多様な使い方を、利用者の側がどんどん積極的に試していけるような環境をつくっていったほうが、どれだけ可能性を拡げることができるかわかりません。なお、これは民間事業者も同じことです。くれぐれも、目先の自分だけの都合を優先するあまり、将来的な可能性を自ら狭めるような浅はかなマネはしたくないものです。
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