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シェアハウス コロナ 円安 物価高騰 DAO型 Z世代 意識調査

第102回 「今できること」とシェアハウス

日本中を激震させた、元内閣総理大臣・安倍晋三氏暗殺事件から1週間。実行犯である山上徹也容疑者はその場で
逮捕され、犯行の動機とされる「宗教法人 世界平和統一家庭連合」(旧・統一教会)への恨みつらみなども徐々
に明らかになってきました。無論、どのような理由があろうと(そして対象が誰であろうと)殺人という犯罪
行為は絶対に許されることではありませんが、山上容疑者の家庭が追い込まれていた状況を想像すると、多少は
同情の念が沸いてくるのを禁じえません。その一方で、事件直後に行われた参院選では自民党が圧勝し、安倍氏が
国葬となることが決まり、さらに「テロの被害者」となった安倍氏に対しては、事件との関係の有無を問わず一切
の批判がタブー視される、という風潮には、いささかそら恐ろしいものを感じます。「それはそれ、これはこれ」
という感覚で、誰もが公明正大に是々非々を判断できてこそ、健全な世の中だと思うのですが……。

それはそれ(?)として……今月もシェアハウスに関連するさまざまなニュースをご紹介して参りましょう。
まずは、(株)全国賃貸住宅新聞社が発行する週刊『全国賃貸住宅新聞』7月11日号に掲載された「巻組/ ガイ
アックス、入居者運営のシェアハウス」( https://www.zenchin.com/news/post-7393.php )という記事から。
詳細はリンク先を参照していただくとして、ごく簡単に言えば「(物件を供給する側ではなく)入居者を主とした
シェアハウスコミュニティーの中で民主的に運用ルールなどを決定していく」という点が最大の特徴であるとし、
DAO(Decentralized Autonomous Organization=自律分散型組織)と称しているのですが……そもそも、「シェア
ハウスの運用ルール」といったら、かつてはそれこそ「入居者を主としたシェアハウスコミュニティーの中で」
「民主的に」「決定していく」ものだったような気がします。少なくとも20年以上前、日本人の大多数が「シェア
ハウス」を知らなかった頃にはそうでした。そういう意味では、「DAO型」などという仰々しい表現よりも、むしろ
「先祖返り」とか「原点回帰」といったほうがしっくりくると思いますが……見方を変えれば、日本で「シェア
ハウス」という住まい方が普及していく過程で、いつの間にか「物件の供給者側が運用ルールを決めて、入居者に
守らせる」というやり方が定着していた、ということでしょう。何ごとも、固定化されてしまうと途端に陳腐化
するものですから、「運用ルールなどは入居者自身が決めたほうがいいのでは?」という発想が出てきても不思議
はありません。とはいえ、多くのシェアハウスが選択し、長い時間をかけて定着したやり方には、それだけの
合理性があったということですから、この「原点回帰」……もとい、「DAO型」シェアハウスは成功するものかどうか、
なかなか興味深いところです。

同じ7月11日には、(公財)東日本不動産流通機構が「2022年6月の首都圏不動産流通市場動向」
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202206_summary.pdf )について発表しています。これによると、6月
度の首都圏中古(既存)マンション成約件数は3003件(前年同月比7.9%減)で、6ヶ月連続で前年同月を下回りま
した。一方、1平米当たりの成約単価は66万9900円(同12.8%上昇)と26ヶ月連続、1戸当たりの平均価格は4231万円
(同9.2%上昇)と25ヶ月連続で前年同月を上回っています。また、既存戸建ての成約件数は6ヶ月連続の減少となり、
平均成約価格は3822万円(同7.9%上昇)と20ヶ月連続の上昇となっています。これをまとめると、マンション、
戸建てともに中古住宅の成約件数は年明け以降落ち込み、その一方で成約価格は2020年頃から一貫して上昇を続け
ているということになります。昨今の円安不況や建築コストの上昇に伴う新築価格の高騰の中で、中古住宅の成約
価格が上昇を続けているのはごく自然な傾向と言えますが、成約件数が減少し続けているのは、「中古住宅でさえ、
手が届かない……」という顧客層が増えてきていることを示しているのかもしれません。

また、7月5日には(株)不動産流通研究所が運営する不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト
『R.E.port』に「廃業した築40年超の老舗旅館がシェアハウスに」( https://www.re-port.net/article/news/0000069587/
という記事が掲載されました。もっとも、これは同社の発行する紙媒体『月刊不動産流通2022年8月号』の特集企画
に絡めてのネット上での紹介であり、同記事のラストは「同特集では、古民家群を“アート”と“農”の体験拠点に
再生したシェアハウスや、60歳以上の女性アクティブシニアに入居者を限定したシェアハウスなど、全5つの事例を
紹介。空き家や空き物件をシェアハウスとして再生・運用することを通じ、地域が抱える課題解決やまちの活性化を
目指す不動産会社の奮闘ぶりを紹介している」云々、と締められています。なお、上記の特集に興味をお持ちになっ
た方は、リンク先から雑誌購入を申し込むこともできます。

続いて、上記の『R.E.port』からもう1本、7月4日に掲載された「Z世代、約4割が1年以内の住み替え希望」
https://www.re-port.net/article/news/0000069586/ )という記事も紹介しておきましょう。こちらは、(株)三好
不動産が運営するTOKYO<β>が発表した「『住まい』に関するZ世代の意識調査」の調査結果
https://www.miyoshi.co.jp/files/optionallink/%E3%83%95%E3%82%9A%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%20%E6%9D%B1%E4%BA%AC%CE%B2%EF%BC%88%E5%85%A5%E5%B1%85%E8%80%85%E8%AA%BF%E6%9F%BB%EF%BC%89.pdf?1301315074 )が元ネタですが、
簡潔にまとまっているので『R.E.port』の記事から一部抜粋して引用します。なお、同調査は上記のシェアハウス
「TOKYO<β>」を利用している18〜30歳の男女664人を対象に、6月にインターネットを通じて行われたそうです。
「(前略)都内の他の物件に住み替えができるとしたら、どのくらいの頻度で住み替えたいか尋ねたところ、約43%が
入居から1年以内の住み替えを希望。その理由は「職場や勤務先の変更」(52.56%)がトップで、
『今よりも広い家に住みたい』(45.18%)、『今よりもキレイな家に住みたい』(41.72%)と続いた。一方、
『気分転換』(26.81%)、『住んでみたいまちがある』(20.18%)との回答もあるなど、Z世代の住まいに対する柔軟な
考え方が浮き彫りとなった。
 上京して実現したい夢について聞くと、『起業家・経営者』が42.0%で最多。次いで、『資格関係(美容師、看護師、
保育士など)』(31.0%)、『俳優、タレント、モデル等の役者関係』(9.8%)、『YouTuber、ライバー等のインフル
エンサー』(9.8%)となった。
 気軽に住み替えができると思う初期費用については、『1万円以内』が30.57%でトップ。『3万円以内』(29.97%)、
『5万円以内』(22.74%)と続いた。また衣食住のうち月々『住』にかけるコストを聞いたところ、約70%が『5万円
以内』と回答し、『住』の優先度が低いことが分かった(2022/7/4)」
「上京して実現したい夢」という質問は、運営元の(株)三好不動産が福岡県の会社であるが故の発想でしょう。実際に
「TOKYO<β>」の入居者は地元福岡県をはじめ、地方出身者が多いということも考えられます。また、「住み替えに
かかる初期費用」という項目に「1万円以内」という選択肢があるのは、さすがに相場としてどうかと思われますが……要は、
「初期費用ゼロ」という謳い文句が念頭にあるのではないかと。厳密に言えば、「敷金・礼金ナシ」と「初期費用ゼロ」
というのは必ずしもイコールではないと思いますが……シェアハウスから近くにある別のシェアハウスへ移るのであれば、
個人の荷物をキャリーケース1つにまとめ、ゴロゴロ転がしながら徒歩で引っ越しすることも可能でしょう。これなら、
「初期費用ゼロ」を実現できるかもしれません。

歯止めの効かない円安により、1ドル=140円台も「もはや時間の問題……」とささやかれる中、オミクロン株の変異系
統BA.5の流行などを原因とする新型コロナウイルスの新たな大流行、いわゆる「第7波」がついに到来したと言う声も
あります。どちらを向いても「ままならない世の中」ではありますが……とりあえずは今、自分にできることはきっちり
やっておくことが大切なのではないでしょうか。
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