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シェハウス コロナ マスクルール 個人の判断 マンション価格高騰

第110回 不動産市況とシェアハウス2023

新型コロナウイルスの感染法上の分類を季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げる「5類移行」を前に、厚生労働省は「マスクの着用の考え方について」と題し、ホームページで次のように告示しました。「これまで屋外では、マスク着用は原則不要、屋内では原則着用としていましたが、令和5年2月13日以降、マスクの着用は、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となりました。本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、ご配慮をお願いします」これにともない、感染者や濃厚接触者の外出制限や感染者数の把握、感染者を診療する医療機関への補助などが見直され、緊急事態宣言の発出や飲食店の営業時間短縮要請などもなくなり、将来的にはワクチン接種や医療費は一部自己負担となります。経済活動を妨げるさまざまな制約がなくなることから、これを歓迎する向きもあるようですが……「個人の判断」とはすなわち、「自己責任」論に帰する、ということ。つまり、今後は感染予防も治療も原則として個人の責任で行わなければならないことになります。そんな状況にも関わらず、『毎日新聞』では3月18日、「コロナワクチン、少なくとも7783万回分廃棄 2000億円超か」( https://mainichi.jp/articles/20230317/k00/00m/040/241000c )などという記事を掲載し、さっそく政権批判に繋げようという露骨な意図が窺われますが……配布や接種の段取りの悪さはさておき、使用期限切れのワクチンを廃棄しただけで批判されたのでは、国や自治体もたまったものではありませんね。

さて、今回も不動産市況動向の話題から見ていくことにしましょう。まずは3月15日、(一財)日本不動産研究所が発表した「住宅マーケットインデックス2022下期」( https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/372db877c5dc91206653e98e41825a36.pdf )の調査結果から。これは、アットホーム(株)と(株)ケン・コーポレーションが提供した23区内の賃貸マンション・分譲マンション、それぞれ新築・中古(築10年)の事例データを、大型(80平米以上)・標準(40〜80平米未満)・小型(40平米未満)に分け、賃料・価格等を集計・分析したものです。これによると、賃貸マンションの場合、1平米当たりの賃料は、東京23区の新築マンションでは、大型で2022年上期比1.4%上昇、標準は同0.4%上昇、小型は同0.1%上昇となりました。中古マンションでは、大型が同1.3%上昇、標準が同0.3%上昇で、小型のみ同0.1%低下となりました。一方、分譲マンションの1平米当たりの価格は、同じく東京23区の新築マンションでは大型が同0.8%上昇、標準が同5.7%上昇、小型が同2.4%上昇と軒並み上昇しています。中古マンションでは、大型のみ同10.6%低下しましたが、標準は同3.7%上昇、小型は同2.6%上昇となっています。すなわち、賃貸・分譲ともに新築マンションはすべてのタイプで賃料・価格が上昇しており、中古マンションでは小型の賃料および大型の分譲価格には下落が見られるものの、おおむね上昇しており、特に中古分譲価格では標準と小型で同調査開始以来最高値を更新したといいます。これは2022年度下半期のデータになりますが、前回のコラムでも言及しているように、この傾向は2023年に入ってからも継続しており、分譲マンションにおいては、価格高騰が成約件数の減少要因ともなっています。

なお、分譲マンションを自分が住むためではなく、投資目的で購入している場合、賃貸に出した時の賃料の相場はどのくらいになるでしょうか? (株)東京カンテイではこの「分譲マンションを賃貸した場合の募集賃料」を1平米当たりに換算して算出したものについて以前から定期的に調査しています。3月16日に発表された2023年2月の「三大都市圏分譲マンション賃料月別推移」( https://www.kantei.ne.jp/report/rent/1157 )を見ると、首都圏の分譲マンション1平米当たり賃料は4ヶ月連続で上昇していました。首都圏の平均賃料は、1都3県すべてで上昇しており、内訳は、東京都が同1.7%上昇、神奈川県は同2.8%上昇、埼玉県は同2.4%上昇、千葉県は同3.7%上昇となっています。首都圏の平均賃料が上昇した原因は、同社の分析によれば「平均築年数の若返りや季節的要因が追い風となった」ということのようです。また、参考までに、近畿圏の平均賃料は同2.2%上昇、中部圏は同3.1%上昇となっています。

続いて、3月10日に発表された(公財)東日本不動産流通機構の「2023年2月度首都圏不動産流通市場動向」( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202302_summary.pdf )を見てみましょう。こちらによると、首都圏の中古マンション成約件数は前年同月比3.0%増となり、7ヶ月ぶりに前年同月を上回りました。都県別に見ると、東京都が同4.5%増、神奈川県が同6.6%増、千葉県が同6.2%増となり、埼玉県のみ同12.8%減と2ケタ台の減少となっています。また、1平米当たりの成約単価は34ヶ月連続、戸当たり成約価格も33ヶ月連続で、いずれも前年同月比プラスの傾向が続いています。すなわち、2020年3月乃至4月から足かけ4年にわたる上昇傾向ということで、言い換えればコロナ禍以降、中古マンションの成約価格は上がり続けていることになります。価格が上がっているにも関わらず成約件数が増えた、というのは、一見すると景気回復の兆しを思わせますが、もともと2月という時期は不動産取引市場における閑散期。物件購買層の多くは4月の年度替わりからの新生活スタートに備えて、3月〜4月に新居への引っ越しを行います。賃貸住宅の契約更新もおおむねこの時期に集中しており、賃貸から分譲への住み替え需要も3月から4月にピークを迎えます。例年は閑散期に当たる2月は、比較対象となる2022年の成約件数がそもそも少ないことに加え、2023年は3月からの値上げを予定していた一般消費商品も多く、物価高騰が一段と加速することが事前にわかっているため、一種の駆け込み需要が生じた、と見るのが正しい分析であると思われます。事実、中古マンションの新規登録件数は同26.2%増と前年同月から大幅に増加し、さらに在庫件数は同20.1%増でじつに13ヶ月連続の前年同月比プラスとなっており、なおかつ増加率は9ヶ月連続で2ケタ台を記録しています。買い替え、もしくは賃貸への住み替えのために居住マンションを手放した人間がそれだけ多いということは、景気回復どころか、むしろさらなる景気の冷え込みを示すものだと考えたほうがよさそうです。それを裏づけるのが中古戸建ての動向で、成約件数は同13.4%減と14ヶ月連続で前年同月を下回り、平均成約価格は同2.5%上昇と28ヶ月連続で前年同月比プラスとなっています。こちらは成約価格上昇・成約件数低下というわかりやすい相関関係を示していることから、閑散期であることを差し引いても市場動向が沈滞していることが誰の目にも明らかでしょう。もとより、1ヶ月やそこらで市場動向が一変するものではありませんが、前回のコラムでも記した通り、こんな時代だからこそ、できるだけ正確な情報に基づく分析と、適切な判断が必要になります。先行きを正確に予測していくためにも、当コラムでは引き続き、市況の定点観測を続けていきたいと考えております。

それと、もう一つ――現在のような市況がいつまで続くのか? そして、その先はどうなるのか? ということは、多くの方にとって関心の高いテーマでしょう。そんな中で、(公財)日本住宅総合センターでは、「『2023年住宅市場の展望』〜 マンション高騰の限界はいつか 〜」( https://www.hrf.or.jp/app/uploadfiles/seminar_109.pdf )と題したセミナーを開催するということです。講師は、前出の(株)東京カンテイの市場調査部上席主任研究員の井出武氏。Web動画形式での開催で、講演時間は約60分ということです。動画の公開期間は3月20日から31日までとなっており、費用は無料ですが、参加希望者は専用サイト( https://www.hrf.or.jp/app/Contact/input/contact_id/seminar/seminar_id/109 )にアクセスして申し込めばOKです。興味のある方は、参加してみてはいかがでしょうか。「直接」あるいは「即日」役に立つ、というものではないかもしれませんが、将来的に、あなたのビジネスに何らかのヒントをもたらしてくれることはあるかもしれません。
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