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シェアハウス プレスリリース DAO型 DIY 高齢者向け

第131回 年末年始とシェアハウス

12月21日、東京証券取引所の主要3市場(プライム、スタンダード、グロース)の上場企業数が2024年末時点で計3,842社となり、前年末から1社減る見通しであることがわかりました。たかが1年に1社とはいえ、上場企業数が減少するのは2013年に大阪証券取引所の現物株取引が東証に統合されて以降では初めてだと言います。さらに、「上場廃止」企業数は前年末から33社増となる94社で、こちらも2014年以降で最多となっています。要するに、上場廃止に踏み切った企業の数が、新たに上場した企業よりも多かった……というだけの話なんですが。上場企業の減少は、「企業買収の活発化」と「経営の自由度を高めるための自社買収(MBO)が増えている」ことが背景にあると言われており、さらに、「東証は企業価値の向上策を開示するよう上場企業に求めており、プライム市場では2025年4月以降、重要な情報提供については原則として英文での開示も求めるなど、企業側の負担も増している」と指摘する声もあります。つまり、東証に上場すること自体、以前と比べて「メリットよりも、デメリットのほうが大きくなっている……」と感じている企業も少なくない現状にあり、そこへもってきて2025年4月には例の「防衛特別法人税」の導入も予定されていることから、ますます東証株式市場に上場する魅力が薄れてきているというのが現状です。上場企業数の減少傾向は、今後も継続する可能性が高いと見られており、国家の税収減に対する政府の懸念から、2025年以降も増税と景況悪化の負のスパイラルが加速していくことが予想されています。

こうした中で、当月も直近のニュースから気になる話題をいくつかピックアップして参りましょう。まずは、2024年12月10日付で(株)ガイアックスが発信した、「移住促進を目指す空き家DIYのDAOにガイアックスのDAO関連ソリューションを導入〜葉山で始動する『HAYAMA AKIYA DIY DAO』が地方創生の新たな形をつくる〜」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000674.000003955.html )というプレスリリースから。ガイアックスは以前、当コラムでも何度か取り上げたことのある「DAO型シェアハウス」の仕掛け人です。例によって、あまり人口に膾炙しているとは言えない専門用語(造語を含む)と固有名詞を羅列した文章ですが、とりあえず概略を抜粋して引用してみましょう。
「株式会社ガイアックスは、神奈川県葉山町で進行中の『HAYAMA AKIYA DIY DAO』に対し、DAO関連ソリューション『DAOX』と、子会社である株式会社DAOエージェンシーを通じて『DAOX代行法人サービス』を提供します。
DIY DAOは、DAO(自律分散型組織)の仕組みを活用し、地域住民や外部参加者が共にプロジェクトを推進する参加型モデルです。ガイアックスはDIY DAOを通じて、空き家をDIYリノベーションで再生し、移住希望者や観光客が活用できるシェアハウスとして蘇らせることで、移住の促進や地方創生に取り組みます。
また、本プロジェクトの一環として、現在クラウドファンディングが実施中です。集まった資金はDIYリノベーションやシェアハウス運営の準備に活用され、参加者は宿泊券やDAOへの参加権など、様々なリターンを受け取ります。(中略)
課題3:法人契約の必要性
DAOは代表者を持たない特徴がありますが、プロジェクト初期には法人契約やバックオフィス業務が必要です。本プロジェクトでは、DAOエージェンシーの『DAOX代行法人サービス』を導入し、法人契約やクラウドファンディング運営を円滑に進めます。
これらの取り組みを通じて、空き家DIYとDAOの組み合わせによる地方創生の新しいモデルを構築します。(中略)
■今後の展望:DAOが地方創生のスタンダードに
日本各地で進行する人口減少や空き家問題に対し、DAOは革新的な解決策を提供します。DAOXとDAOX代行法人サービスを導入し、技術的障壁や法人契約の課題を解決します。
『DIY DAO』では、空き家を再生して空き家問題を解決し、また、DIYによるリノベーションを通じて地域住民と移住希望者が共創する場を作るとしています。
DAO型での組織運用は、透明性と公平性を保ちつつ、参加者が労働を通じてトークンを獲得し、意思決定に関わり、プロジェクトに長期的に貢献することを可能にします。
今回の取り組みは、DAOと地方創生の相性の良さを実証するモデルケースです。このプロジェクトの成功に貢献することで、地方創生を実現するための新たなスタンダードとしてDAOが選ばれることを目指します。(後略)」
非常に率直な感想を述べさせていただければ、「なんだかよくわからないけど、頭の良さそうな人が小難しい理屈を並べて、世間の人びとを煙に巻こうとしている……」ような印象を受ける文章になっています。「革新的な解決策」と書かれていますが、そもそも「DAOってなんだっけ?」「自律分散型組織って具体的にはどういうこと?」というあたりから説明を始めなければならず、当たり前のように説明抜きに出てくる「DIY」にしたところで「Do It Yourself=手作り、日曜大工」という意味を踏まえて、「リノベーション工事を業者に発注せず、居住者が自らの手で行う」ということだとすんなり理解できる人がどれだけいるか? という疑問もあります。そういった意味からも、世の中の大半のシェアハウス大家さんが目にしたとしても「心に刺さらない」「印象に残らない」プレスリリースとして読み飛ばされてしまう可能性が高いと思われますが……。ただ、以前「DAO型シェアハウス」について当コラムで取り上げた際にも申し上げたように、内容をじっくり読み込んでいけば、それなりに信憑性の高い理論として、ある程度実地検証も進んでいる手法ではあるようです。もし興味をお持ちであれば、実際に問い合わせてみて、よりわかりやすく説明を受けた上で導入の可否を検討されるのがベターではないかと思われます。くれぐれも、「よくわからないけど、何となく良さそうな気がする……」という段階で軽々に導入を決定してしまうことは避けたほうが無難でしょう。

次に、2024年12月2日付の『女性自身web』に掲載された、「月6万円から入居できる物件も!終の住処に『高齢者用シェアハウス』3つのメリット」( https://jisin.jp/life/living/2402989/#goog_rewarded )という記事。こちらは、以下に冒頭部分を引用しておきます。
「『夫が3年前に亡くなり、このまま独り暮らしを続けるのも心細い。かといって子どもの世話になるのも気が引けるので、高齢者も入れるシェアハウスで暮らすことにしたんです』
そう語るのは、“高齢者用のシェアハウス”に入居する都内在住の女性、Aさん(65歳)。
一般的に“シェアハウス”とは、一戸建てや集合住宅で自分専用の部屋を持ちつつ、キッチンやリビングなどは、ほかの住民と共有しながら生活する居住形態のこと。
比較的、初期費用や家賃を低く抑えられ、水道光熱費などもシェアすることで負担が軽減される。なによりも、住民同士の交流が生まれ、『独りではない』という安心感を得られるのがメリットだ。
『ここ数年、高齢者用のシェアハウスが増加しています。2年前の時点で全国に50軒ほどあったので、もっと増えているはず』
と話すのは、高齢者住まいアドバイザー協会の満田将太さん。こう続ける。
『配偶者との離婚や死別、子どもの独立などを機にシェアハウスに入居される方が多いですね。
最近は、65歳を過ぎてもみなさん元気ですから、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)や老人ホームに入るには早いし、費用もかかる。
かといって独居を続けるのも不安という方に、比較的賃料も安く、入居審査も通りやすい高齢者向けシェアハウスのニーズが増えているようです』(後略)」
記事中に唐突に登場する「高齢者住まいアドバイザー協会」というのは、横浜市にある一般社団法人で、「高齢者の住まいに関する正しい知識の普及を通じ、高齢者の生活の安定および質の向上を促進する」との理念の下で、内閣府の認可を受けた「高齢者住まいアドバイザー検定」の資格試験等を実施している団体です。読んで字の如く、きわめてニッチな目的のために組織された団体であり、一般的な認知度はまだまだ低いものの、専門家集団として一定の評価を得ているようです。高齢者向けシェアハウス事業の将来性や今後の発展の可能性については必ずしも保証できるものではありませんが、少子高齢化の加速に伴い、需要が拡大傾向にあることは大筋で間違いのないところ。シェアハウス大家さんとしては、ただちに高齢者向けシェアハウスに参入する意思はないとしても、引き続き情報収集に努めておくことをお薦めしておきます。

このほか、直近の話題で参考になりそうなプレスリリースを2、3例、見出しのみご紹介しておきます。あくまでプレスリリース=当事者の自己申告に基づく“広告”ですから、個々の内容については踏み込みませんが、世の中の動きとしてご参照ください。

ボーダレスハウスが東北エリア初進出。東北大学留学生向けの元学生寮を活用し、国際交流シェアハウスを2025年2月1日にオープン 仙台市から世界と出会う体験を、若者や地域の方へ提供( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000034540.html

都内老舗シェアハウス事業者わびさびハウス株式会社、産学共同事業を通じて和の魅力を発信 学校法人原宿学園東京デザイン専門学校と連携、学生による和をテーマにしたサイネージムービーを制作( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000152838.html

最後に……これはもう、明日に迫ったイベントの告知になります。当日以降に当コラムを閲覧された読者にとっては、すでに旧聞ということになってしまいますが、このようなシンポジウムが開催された、という情報のみ、心の片隅に留めておいてください。なお、イベント終了後には主催者ホームページにおいて結果についても告示されるでしょうし、直接問い合わせれば詳細を知ることもできると思われます。
【イベント情報】「若者が必要としている支援とは?〜若者の包括的支援を広げるための官民連携のあり方を考える〜」シンポジウム(12/25昼開催)( https://www.sankakusha.or.jp/2024/12/02/news-182/

激動の2024年もまもなく終わり、あと数日で新たな年がスタートします。本年も当コラムにおつきあいいただきまして誠にありがとうございました。皆様、良いお年をお迎えください。
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