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第56回 チャレンジとシェアハウス

6月に入ってしばらく、東京では最高気温25度以上の夏日が連続していましたが、この週明けからは雨雲とともに季節が2ヶ月近くも逆行し、4月並みの陽気の日が続いています。特に、12日から13日にかけては最高気温が一気に5度近くも下がり、クローゼットにしまい込んだ上着をあわてて引っぱり出したという方もいらっしゃるのでは……? しかも、梅雨前線はまだ日本列島のはるか下方にあり、本格的な梅雨入りはまだしばらく先になりそうな気配。寒暖差の激しい時期には体調を崩しやすいですから、ご自身のことはもちろん、ハウスの入居者に対しても、健康管理の注意を喚起するように心がけましょう。

さて、半年ほど前の当コラムにて「結婚してもシェアハウス!」というブログを連載中の阿部珠恵氏の試みをご紹介( http://www.flat-house.jp/modules/contents/content0096.html )したことがありましたが、その後、阿部氏はブログでの呼びかけに応じた25人の中から7歳下の男性と交際をスタートし、2月からシェアハウスでの同居を始めているそうです。そして、去る5月15日、朝日新聞の運営するニュースサイト『withnews』に、その後の状況を含めた取材記事が掲載されました。タイトルは「出産してもシェアハウス、夫婦で社会実験中 ぶっちゃけ大丈夫?」( http://withnews.jp/article/f0170515000qq000000000000000W01l10101qq000015196A )。これは朝日新聞・永田篤史記者による記事で、タイトルからもわかるように、本人執筆のブログに比べると公平かつ客観的な第三者の視点で書かれているため、事実関係がすっきり整理されていてわかりやすくなっています。一部抜粋して引用してみしょう。
「『保育園落ちた日本死ね』が流行語となった日本。『結婚してもシェアハウス、子育てもシェアハウスで』という生き方を提唱し、実際に、シェアハウスで結婚生活を送る『社会実験』を継続中の2人がいます。第1子を出産予定ですが、そのまま住み続ける予定です。家賃は? プライバシーは守れる? トラブルはないの? シェアハウスが解決できることについて話を聞きました。
(中略)
『社会実験』をしているのは、ともに会社員で、10月に第1子を出産予定の栗山(旧姓茂原)奈央美さん(32)と、結婚後もシェアハウスに住むことを前提に結婚相手をブログで募集した阿部珠恵さん(32)です。
(中略)
『核家族で子どもができたご夫婦よりは不安が少ないのでは、と思います。例えば、子どもが病気になって急遽迎えに行く時も、夫以外に頼める人が9人いますし』と奈央美さん。
(中略)
先日、同じく夫婦でシェアハウスに住み、妻が妊娠中の人たちとは『保育士の資格を持つ友人などに家に来てもらい、費用を折半して両方の子どもの面倒をみてもらう「保育のシェア」をしてはどうか』と話し合って盛り上がったそうです。
(中略)
奈央美さんと、阿部さんは、元々は同じ会社の同期でした。一人暮らしは家賃が高いし寂しい、ということで奈央美さんの妹を含めて2009年からシェアハウスを開始しました。
掃除は阿部さん、洗濯関連は奈央美さん、などというように家事を分担するととても効率的になることに気づき、当時から『結婚してもシェアハウス、子育てもシェアハウスでやると良いのでは』という話をしていたそうです。
(中略)
このような奈央美さんたちの暮らし方を聞きつけた人たちからは続々と『これから結婚するのですが、シェアハウスに住みたくて……』などという相談が舞い込み、今年だけで既に4組の話を聞いたそうです。
その後、ちなみに夜の生活の方は、『今の家は、防音がしっかりしているから問題ないですよ』とのことでした。
(中略)
ただ、『子育てもシェアハウス』という考え方に課題はないのでしょうか。
奈央美さん、阿部さんはともに、子どもが学齢期などになった際、果たして今の都心に近い場所が子育てに良いのかどうか、という点を挙げました。
最終的に別の場所に移るとなった場合、それは住人全体で決めるのではなく、夫婦の判断で決めることになるのでは、と予想されます。
『それは、なった時に考えるしかない。ただ、1回やってみて、こうだったよ、という事例が生まれることがすごく大事』と阿部さん。
そうした『社会実験』の?末を、新たに本にすることも考えているそうです。」
こうして最後まで読んでみると、阿部氏の“転んでもタダでは起きないライター魂”のようなものを感じずにはいられませんが……。いずれにせよ、前例のないことへのチャレンジには苦労が付き物。阿部氏らの勇気ある実験に引き続き注目していきたいと思います。

当コラムではこれまで、前回の「LGBT(性的少数者)支援シェアハウス」や「ペット共生シェアハウス」をはじめ、差別化を目指す「コンセプト型」シェアハウスの具体例として、「芸能人を目指す女性専用シェアハウス」や「経験や人脈をシェアできる『起業家シェアハウス』」、「『シェアハウス×トライアスロン』をコンセプトとしたカラオケスナック付のシェアハウス」等々、さまざまな事例を取り上げてきました。いささかインパクト重視に走り気味になっているきらいもありますが、こうしていろいろなアイデアが次から次へと出てくるのは、業界全体が活性化している証拠――と、見ることもできます。ここ最近の話題だけをピックアップしても、
「女性専用シェアハウス事業者が新展開する、高額なクルマ・バイクを保管するガレージハウス事業」
「若者に住んでもらうことで地域活性化を狙う築100年余の町家を改修した市営シェアハウス」
「美にこだわる女性のためのコンセプト型シェアハウス」
「起業家同士の切磋琢磨をテーマとしたコンセプトシェアハウス」
「ペット共生シェアハウス運営会社と動物愛護団体のコラボによる『保護犬と住まうシェアハウス』」
など、じつに多士済々、百花繚乱というありさまです。もっとも、さすがに尖鋭的(もしくは前衛的?)過ぎて、瞬間的な話題性はともかく、中長期的な集客性には疑問符がつくようなアイデアも中にはあるようですが……。とはいえ、逆に言えば玉石混淆であり、磨けば光る可能性を秘めたアイデアも隠れているかもしれません。

もちろん、よそで成功しているアイデアを真似すれば自分のところでも上手くいくとは限りませんが、誰かが成功したアイデアには必ず、成功するだけの理由があります。それを分析し、自分のケースに当てはめてアレンジすれば、それだけ成功に近づくことができるはず。少なくとも、十年一日のように同じことだけをくり返していたり、流行の後追いばかりでフラフラしているよりは確実です。せっかく――と、敢えて言いましょう――せっかく、業界にこれだけ「なんでもあり」という風潮が盛り上がってきているのですから、これを追い風とするのも一つの選択肢です。「社会実験」とまでは言わないまでも、「前例のないことにチャレンジする勇気」がシェアハウス大家さんにも必要なのかもしれません。
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